アニメ評論家の藤津亮太氏が「深海レストラン」の魅力、監督のエピソードを紹介

アニメ評論家の藤津亮太氏が「深海レストラン」の魅力、監督のエピソードを紹介

“深海だけどカラフルな世界”という
ビジュアルのみごとさ――中国アニメ
「深海レストラン」3要素からひも解
く魅力

アニメ評論家の藤津亮太氏が「深海レストラン」の魅力、監督のエピソードを紹介 第36回東京国際映画祭のアニメーション部門で10月26日、中国の劇場アニメ「深海レストラン」が上映された。同部門のプログラミング・アドバイザーを務めるアニメ評論家の藤津亮太氏が東京・TOHOシネマズシャンテでのトークショーに臨んだ。
 本作は、中国で国内興行収入192億円を記録した3DCGアニメ映画「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」で知られるティエン・シャオポン監督の最新作。父の再婚で孤独を感じている少女シェンシウが、クルーズ中に海に落ちたことから物語が動き出す。シェンシウが目覚めると、そこはナンヘという風変りなシェフが働く水中レストラン「深海」だった――。
 トークショーでは、藤津氏が作品の魅力を要素ごとに紹介。さらには、ティエン監督が来日時に語った宮崎駿監督への尊敬の念や、作品作りへの思いも紹介した。
 本作を上映作品に選んだ大きな理由は「ビジュアルのみごとさ」「キャラクターの魅力」「ストーリーの面白さ」の3点。藤津氏は、ビジュアルの魅力について「深海というと、光の届かない暗い世界を想像すると思うが、本作はむしろ主人公の内面の世界を表しており、非常にカラフルな世界が展開されます」と述べ、「特に印象的なのが水墨画をイメージさせる粒子が漂うビジュアルです。これは本作のために開発された技術を使って表現されたものです」と解説した。
 続けて「キャラクターの魅力」を際立たせている要素として、個性的なキャラクター、ナンヘの表情の変化を挙げる。
「面長な顔が伸びたり縮んだり、時には歪んだりと自在に変化しています。それが、比較的リアルに表情付けがされているシェンシウと好対照になっていて、作品の印象的な味付けになっています」
さらに、物語の結末を踏まえて「ストーリーの面白さ」を紹介し、そのうえで「その過程には驚きと、ある種のカタルシスがあります」と語る。また印象的な小道具として、シェンシウが着ている赤いパーカが、シーンごとにさまざまな意味を示していることを解説した。
 映像、キャラクター、ストーリー、小道具に至るまで、細やかな表現詰まっている本作。藤津氏は最後に、ティエン監督の来日時のコメントを振り返りながら、本作の魅力をまとめた。
「2016年に来日した時、ティエン監督は宮崎駿監督を尊敬していること、その理由として、自分の内面の世界を非常に上手く表現しているという話をされていました。そのうえで、この作品では自分の表現したいことをしっかり込めたいと思っていますと、次回作(深海レストラン)について語っています。まさに、その志のままに完成した作品ではないかと思います」
 「深海レストラン」は、11月1日にヒューマントラストシネマ有楽町で再上映される(トークはなし)。第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催。
【関連リンク】・第36回東京国際映画祭(TIFF)公式アニメ特集

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