【THE MADNA インタビュー】
ビジュアルシーンに一石を投じる
ミクスチャーロックの新たな傑作爆誕
新しい融合ができているし、
新しいものが作れている
まさに唯一無二だと思います。では、今作のなかで特に気に入っている曲や、この曲のここはぜひ注目してポイントを教えてください。
朋
ちょっと概念的な話になってしまうんですけど、ミクスチャーってそもそもがハイブリット的なものじゃないですか。何かと何か、ふたつ以上のものを組み合わせたものがミクスチャーで、だから一度混ぜて出来上がったものは、同じことをもう一回やってもミクスチャーじゃない気がしてしまうんですね。また新たな融合をしないとミクスチャーじゃなくなっちゃうというか。僕らは結成当時からずっとミクスチャーというものを掲げて活動してきているわけですけど、このアルバムが完成して聴いた時に“よかった。俺ら、まだミクスチャーしている”と思えたんです。新しい融合ができているし、新しいものが作れていると感じられたので、ポイントがどうこうっていうよりも、ミクスチャーのアルバムとして気に入っているんですよね。
太嘉志さんはどうですか？
この曲はとても苦労したとか、そういうものでもいいのですが。
太嘉志
苦労ではないですけど、「SHINE」ですかね。この曲は歌詞が出来上がったあとにトラックを変えているんですよ、実は。最初に作ったトラックがちょっと怖すぎる気がして変えたい気持ちが強くなったので、そうさせてもらったんです。そんなことをするのは初めての経験だったから、すごく印象に残っていますね。でも、変えたことで、自分の中でもちゃんと“完成できたな”と思えたので良かったです。
涼太
面白かったですよ、単純に。“こういうやり方もできるんだな”と思って。さっきも言ったとおり、俺はトラックを聴いて歌詞を書くので、歌詞自体はもともとのトラックに合った雰囲気のものになっていたんですけど、トラックがガラッと変わったことで、すごく新鮮に感じたんですよね。先に今のトラックが届いていたら歌詞は違うものになっていたと思うんですけど、このギャップが面白いなって。“うわっ、太嘉志すげぇな”って素直に思いました。
「SHINE」もまたきれいなだけではない、凄まじい一曲というか…歌詞に出てくる“二文字”とタイトルの“SHINE”がかかっていることに気づいた瞬間、ゾクッとしましたから。これは涼太さんの中で計算されていることなんでしょうか？
涼太
計算ではないですね。自分にとっては書き進めていくうちにこうなったというか。歌詞を書く時はサビからいきなりとかはあんまりなくて、1行目から順番に書いていくんですよ。で、頭から書き進めていくうちに“結末はこうしたいな”とか徐々に浮かんでくる感じなので。
英単語としての意味とローマ字読みした時の意味が、まるで正反対なことにも驚かされました。
涼太
うまくハマりましたね。ただ絶望的なだけではなく、ひと筋の光みたいなものを表現したかったんですよ。縋るような気持ちと、暗闇の中の小さな光の儚さとが、うまくマッチしたのかなって思います。
理緒さんはいかがですか？
理緒
「極彩色」ですね。今、ライヴでこの曲だけ披露しているから好きなのかもしれないんですけど、特にCメロの歌詞が好きなんですよ。僕は結構ひねくれていたりもするので、何に関しても基本的に婉曲した表現を使いがちなんですが、これはものすごくストレートじゃないですか。自分にはない表現の仕方に憧れるというか、羨ましいというか…すごくいい歌詞だなと思っています。あと、ここのドラムもカッコ良いので（笑）、余計に気持ちが乗るんですよね。
分かります（笑）。涼太さんは？
涼太
「完全世界」ですかね。これは歌詞を書きながら、ライヴでの照明の雰囲気とかもイメージできていて。視覚的な部分も込みで、これからライヴでやるのが楽しみな曲です。
これぞ“THE MADNAっぽい”一曲ですよね。展開の派手さや多さ、勢いも含めてTHE MADNAにしかできない曲だと思いますし、個人的には「完全世界」がアルバムの締めになってもいいんじゃないかと思うぐらいなのですが、ラストを「CREAM SODA」にした理由はなんだったのでしょうか？
涼太
単純に「CREAM SODA」はライヴでラストに演奏することが多い曲で、そこには“みんな、ハッピーな気持ちで帰ってくれ”“明日からも頑張ろうぜ”みたいな気持ちもあるんです。なので、アルバムのラストにすることで、ライヴじゃなくてもそういう気持ちを感じ取ってほしいなって。この順番で聴いて、また1曲目の「極彩色」に戻るっていうのが俺ららしい気もするんですよね。セットリストとして考えた時にしっくりくるというか。
今、お話いただいた曲以外にも、キュートに振りきった「PrairieDOG」に、閉塞感と浮遊感が同居した「ジェリーフィッシュ」、スリリングなエネルギーでアグレッシブに攻め込む「グロテスク」や、ドリーミーなポップチューンながらもハッとさせられる「fanciful suicide」と本当に個性も音楽的バリエーションも豊かな、また新たなTHE MADNAの魅力が詰め込まれた、最強の1stアルバムになりましたね。
涼太
ありがとうございます。作っている間は自分たちを試されているみたいな感覚でしたけどね。“おまえら、作れるのか？ これを作れねぇなら上がっていけねぇぞ？”みたいな。“やってやるよ！ これを作ってレベルアップしてやるからな”って気持ちで挑んでた気がします。
実際、レベルアップできましたか？
涼太
このアルバムを持ってツアーを回ってから、そこで実感するんじゃないかなと思います。絶対にレベルアップはしていかなきゃいけないですし、そこはリリース後にまた試されるのかな？ 今は早くいろんな人に聴いてほしいです。“こんな曲をやっちゃうの!?”とか“こういう表現してくるの!?”ってみんなに驚いてもらいたいですね。普段はあんまり自分の作品に感想とか求めないんですけど、このアルバムは久々にそれぞれの感想を聞きたいと思っていて。そういうアルバムになったんだと思いますね。
THE MADNAのこの先に目指したいところとか、そういうものが新たに見えてきたりも？
涼太
制作の終わり際に『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023』に行く機会があったんですよ。俺、フェスって今まで行ったことがなかったんですけど、初めて行ってみたらめちゃくちゃ圧倒されちゃって。“俺らが立たなきゃいけないのはここじゃないか？”と思ったんですよね。今、俺らはビジュアルシーンの中で活動していて、このシーンのトップになるという目標を掲げてきたけど、“いやいや、ここじゃん！”みたいな。この何万人を沸かせるバンドにならなきゃ意味がないって、このアルバムを作っている最中にそういう感情が芽生えたのはすごくいい経験になったし、そこは目指したいですね。
それはぜひ見届けたいです。では、最後にそのための一歩として11月からスタートするレコ発ツアー『THE MADNA ElecTЯiP TOUR’23 「ELECTЯIP PARADE」』への意気込みをお願いします。
理緒
新曲をこんなにたくさん演奏できる機会が目前まで来ていて、自分でもすごく燃えてます。それぞれの曲がライヴでどういう聴かせ方になるのか、あるいはみなさんにどういう受け止め方をしてもらえるのか本当に楽しみで。あと、新宿BLAZEが来年7月で閉館するんですけど、もしかするとTHE MADNAにとってはこのツアーのファイナルがBLAZEでの最後になるのかもしれないので、そこで今まで以上にいいライヴができるよう、頑張って回ってきたいと思います。
太嘉志
セトリもいつも以上に変化が出て新鮮だと思いますし、気が向いたらぜひ足を運んでください。自分で言うのもなんですけどTHE MADNAはやっぱりライヴバンドなので、直接、目と耳で感じ取ってもらえたら嬉しいですね。
朋
今までそれなりにライヴの本数は重ねてきているぶん、緊張感みたいなものは自然と薄れつつある気もするんですよ。ただ、今回は久々にお邪魔する土地もあるので、ある意味、忘れかけていた緊張感を改めて味わいながらライヴができるんじゃないかなって、それがちょっと楽しみだったりもします。
涼太
俺は単純に新しい自分に出会えるのが楽しみですね。新しい曲はもちろん、過去の曲も新曲が加わることでまた表現が変わってくると思うんですよ。今回はアルバムのツアーということもあって今まで以上に未知数ですから。
これは見逃すわけにはいかないですね。
取材：本間夕子
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アルバム『ElecTЯiP』2023年10月25日発売
HAPPINET CORPORATION／Timely Records
- 【初回限定盤】（CD+DVD）
- LHMH-2022
- ￥5,400（税込）
- 仕様：アマレーBOX、24Pブック付き
- 【通常盤】（CD）
- LHMH-2023
- ￥3,600（税込）
『THE MADNA ElecTЯiP TOUR’23「ELECTRIP PARADE」』
11/16（木） 北海道・札幌CrazyMonkey
11/17（金） 北海道・札幌CrazyMonkey
11/23（木） 神奈川・川崎セルビアンナイト
11/25（土） 愛知・名古屋HeartLand
11/26（日） 静岡・Sunash
12/02（土） 宮城・仙台enn 3rd
12/06（水） 福岡・Graf
12/07（木） 広島・Cave Be
12/09（土） 兵庫・神戸 KINGS X
12/10（日） 大阪・アメリカ村 FANJ twice
12/16（土） 茨城・TSUKUBA PARKDINER(涼太BD）
12/26（火） 東京・新宿BLAZE
マドンナ：2021年12月にデビューEP『Beautiful Inferno』を発表。メンバーの狂った遺伝子が混ざり合った予測不能なサウンドで、最後まで飽きさせない無限の可能性を秘めた傑作となった。22年11月に2ndシングル「CREAM SODA」を発表し、結成1周年ワンマンツアー『THE MADNA CREAM SODA TOUR「チェリーボゥイ＆チェリーガァル」』を開催。23年4月に3rd シングル「sweet dream」、10月には1stアルバム『ElecT ЯiP』をリリース。THE MADNA オフィシャルHP
「極彩色」MV
「sweet dream」MV
「CREAM SODA」MV
「GiANT KiLLiNG」MV
