チプルソ × KZ(梅田サイファー)が
交わす、酒とヒップホップーー開催直
前『COCALERO PRESENTS shake』​​
対談

リキュールブランド「COCALERO」が主催する音楽イベント『COCALERO PRESENTS shake』の第二弾が、8月19日(土)に大阪・梅田Shangri-Laにて開催される。出演はNakamura Emi、チプルソ、RowHoo、そしてウェルカムアクトに梅田サイファーのKZ。お酒はさまざまなもの「仕事と遊び、日常と非日常、愛する人同士など」を混ぜることから「音楽と人が溶け合う」をコンセプトにした本イベント。昨年開催された、記念すべき第一回にはSoulflex、tofubeats、梅田サイファー、ぷにぷに電機が出演。酒を飲みかわし、音を融合させた特別な一夜として盛り上がった。今回のイベントも盛大に盛り上げるべく、チプルソとKZ、2人の出演者による特別対談が実現。互いの出会いから、お酒にまつわるエピソード、さらにイベントのオーガナイズにはKZがキーマンに……!? イベントを前にこの記事を読めば、当日がさらに楽しみになるはず。
――今回は『COCALERO PRESENTS shake』に向けての対談ということで、まずはコカレロカクテルで乾杯から。
チプルソ&KZ:乾杯!!
――ふたりはそれぞれ大阪出身ですが、出会いはいつ頃か覚えていますか?
チプルソ:10年位前かな?
KZ:僕は当時のことをめちゃくちゃ覚えてるんですよ。名村造船所跡地でやっていたヒップホップフェスの『THE CARNIVAL』の予選のイベントにチプさんが出てて。実はその日までチプさんの存在を知らなかったんですけど、ラップがあまりにもカッコ良くて、ステージ終わった瞬間に声を懸けにいったのをすごく覚えていますね。その後も、梅田の小さな箱で韻シストのShyoudogさんとライブをするというのを聞きつけて。イベント終わりにKBD(梅田サイファー)と一緒に飯を食いにって、そこで自分でオーガナイズしていたイベント『DELIGHT』にどうしても出てほしいとお願いしたんです。
チプルソ:『DELIGHT』は当時、若い世代のラッパーたちが出演していたイベントで。ヒップホップシーンで初めて出演したライブがそのイベントなんだよね。『THE CARNIVAL』も初めてMCバトルに出演したイベントだったし。僕の初のタイミングにはいつもKZくんが一緒にいて。
KZ:そうなんですか!?
チプルソ:初めてラップバトルに出演した会場が出会いの場なんだけど、当時KZくんがR指定と階段の踊り場みたいなところでラップを楽しんでいた姿が記憶に焼き付いていて。2人はいろんなバトルを荒らしまくっている存在だったけど、オレはバトルそのものが初めてで。
KZ:僕がラップをはじめたのが2007年頃なんですけど、そこから1、2年くらいでチプさんに出会ったんですけど、パフォーマンススタイルとかすごく衝撃的で。
チプルソ:ギターを持ってプレイするスタイルだから、ヒップホップのライブシーンに呼ばれることがなかなかなくて。バンドのライブばかりに出演してたんだけど、KZくんとの出会いでヒップホップのイベントにも誘ってもらうようになって。
KZ:本人を前にしていうのもなんですが……、ヒーローでしたね。まずラップが上手いし、ライブにすごい力を持ってる。初めてチプさんのライブを観たとき、自分は斜に構えていたというか、尖っていた雰囲気があったんですよ。現場に対するやっかみみたいなものが多少なりともあって。でも、チプさんのライブを観たときに「ホンマにかっこいい人っておんねんな」と思えた。当時は梅田サイファーとか梅田界隈以外の人と仲良くなることはほぼなかったんですけど、その頃からの古い知り合いがチプさん。先輩というか、憧れの存在。チプさんはいまはもうMCバトルには出てないですけど、その頃は積極的にイベントに出演していた時期ですよね?
チプルソ:2010年前後は確かによく出てた。
KZ:MCバトルで言った韻とかもすごく記憶に残っているし、『戦極 MCBATTLE』の前身イベントだった『戦慄 MC BATTLE』でのステージも印象に残ってるし。言語感覚がほかのラッパーにはないんですよね。良い意味で勇気のある韻の踏み方をしている。チプさんが何かするたびに梅田サイファーがワーワーキャーキャー騒いでて。いつかのイベントで、チプさんとふぁんくが対決したことがあったんですけど、チプさんがあまりにもうますぎて、ふぁんくが思わず笑ってしまってラップができひんくなるということがあったんですよね。ふぁんくって、梅田サイファーのなかで一番スキルが高い存在だったんですけど、最強やと思っていた存在が一瞬で塗り替えられる。すごい衝撃でしたね。
チプルソ:そんなに褒められると……。ちょっと火照ってきたから冷房強めてもらっていいですか?(笑) でも、本当にありがたい。愛を感じますね。KZくんは当時から人懐っこい感じで、踏み込んで仲良くしてくれる人ってありがたくって。その後も、KZくんがやっている『華金』っていうイベントにも何回か出演させてもらったりしてるんですけど、KZくんは喋りやすいんですよ。梅田サイファーのなかでも特にそう。度胸のある人だなと思う。
――今回はリキュールブランド「COCALERO」が主催のイベントということで、コカレロカクテルを飲みながらの対談です。2人はどんなお酒の飲み方をしていますか?
チプルソ:僕はそんなに周りに迷惑をかけるタイプじゃないですね
KZ:僕も暴れたり、騒いだりもなく、どんどん楽しくなっていくタイプで。
チプルソ:普段は何飲んでる? 僕は最初ととりあえずビールが多いけど。
KZ:僕はジントニックしか飲まないですね。もともとお酒を全くといっていいほど飲んでいなくて。30歳くらいで、「ちょっと飲んでみるか~」となったときに美味しいと思えたのがジントニックだったんです。
――コカレロを飲んだことは?
チプルソ:これまでにいくつも飲ませてもらっているはずなんですけど……楽しい場所で飲んでしまっているから、全部忘れてますね(笑)。
KZ:ハハハ(笑)。僕も実はコカレロってヤバいお酒っていうイメージがあって。まず、人が飲む飲み物の色をしてないじゃないですか。
チプルソ:確かに(笑)。
KZ:自ら進んで飲むというよりも、飲まされることが多いから、ヤバいお酒っいう印象なんですよね。でも、前回の『COCALERO PRESENTS shake』でコカレロを使ってカクテルを作ってもらったら、普通に美味しかったんですよね。
――コカレロは「コカボム」「コカショット」などのショットカクテルで飲むなど、パーティ系ドリンクのイメージを持たれがちですが、本来はハーブをブレンドしたボタニカル系リキュールです。グリーンカラーのイメージも強いですが、最近ではボタニカルハーブとスーパフルーツのピンクリキュールの「コカレロ ヴィーダ」、スパイシーなダークレッドカラーの「コカレロ ネグロ」も展開していて。美味しく飲めるリキュールなんですよね。
KZ:僕はジンが好きだから、ボタニカルなところって通じるものがあって。これは美味しいお酒やったんや! と、ここ最近になって印象がよくなって。最初の飲み方というか、出会いがよくなかったですね(笑)。
チプルソ:『COCALERO PRESENTS shake』でも、ちゃんとおいしいコカレロカクテルを飲ませてもらえるのが楽しみですね。
――KZさんは昨年開催された第一回目の『COCALERO PRESENTS shake』にも出演していましたよね。
KZ:実は僕がオーガナイズの仕事をしていたり、コカレロのスタッフと昔からの知り合いということで、今回のイベントは立ち上げの段階から携わっているんですよ。第一回目のライブはすごく印象深い日で。梅田サイファーは年末のライブ納めの日で、ステージの上でコカレロのショットカクテルでみんなで乾杯したり。出演者もtofubeatsとかSoulflex、ゴリゴリのヒップホップの雰囲気ではない、ミュージックラバーな人たちの集まりだったこともあって、フロアもすごく華やかで。その場にいるだけで楽しい、ハッピーな現場でしたね。
――今回は会場が梅田Shangri-Laとなり、出演者もチプルソ、Nakamura Emi、RowHooと異色の組み合わせが注目を集めています。
KZ:この3組って、ギターをベースに、ブラックミュージックのカルチャーを受け継いでいる。シーンのど真ん中ではないけど、ずっと良い音楽を、自分のスタイルで作り続けている人たちだと思っていて。この3組を一堂に観ることができるのは、いちリスナーとしてもすごく楽しみですね。チプさんは、RowHooくんとは現場で一緒になったことがありますよね?
チプルソ:めっちゃ仲が良いよ。でも、Nakamura Emiさんは共演が初めて。
KZ:今回のライブで、お互いに通じるものがあるなと思ってもらえるはずですよ。
チプルソ:そんなライブに声を懸けてもらえるのはめっちゃうれしいよね。ギターファンにはぜひ観に来てほしい。きっとみんな変なギターの使いかたをしてるんじゃないかなと思うし。
――チプルソさんのギタープレイはどう組み合わせたらそんな音が出るのか、毎回気になってしまうので、ライブ当日は目も耳も忙しくなりそうですね。
チプルソ:いつも足でDJをしているから、それはよく言われますね。
KZ:チプさんって、結構早くから足もとでエフェクトや多重録音をしながらライブを作ってましたよね。僕がチプさんに出てもらった、2009年くらいのイベントではすでにそのスタイルだったかも。
チプルソ:そう。しかもめっちゃややこしいのが、クラシックギターにはケーブルがないからマイクで音を録って、それをサンプラーに繋げるという変なスタイル。あまりにも変すぎて、どのイベントに誘ったら良いのかわからない存在になってて(笑)。そんななかでKZくんがイベントに誘ってくれるようになって。それをキッカケにして、ラッパーだけじゃなくてバンド界隈にもぶわ~っと広がって言って、全国にライブツアーとかもできるようになって。KZくんは初めての場所、キッカケ作りをしてくれた存在なんだよね。
――チプルソさんにとって、KZさんは音楽活動のキーパーソンとなる存在なんですね。
チプルソ:そう。だから、今日も久しぶりの会えるのがうれしくって。
KZ:チプさんをはじめ、3組の出演が決まった瞬間はガッツポーズするくらい嬉しかったんですよ。やっぱりイベントとしてはオモロイもんを観てほしいし、自分も観たいし。
チプルソ:でも、出る側としてはテロリスト2人に挟まれた感覚があるけどね(笑)。RowHooくんとはライブハウスのイベントで共演したことがあるんだけど、ライブ終わりにも関わらず2人でセッションしようやと熱くなっちゃって。セッションオバケみたいなタイプだから、当日はどうなるのか楽しみですね。
――もしかすると3人でセッションとか、特別なステージも観られるかもしれない?
KZ:じゃあ、それように時間を作っておかないと……。
チプルソ:終電がなくなる勢いでね(笑)。でも、KZくんもどっちかっていうとテロリストなタイプ。RowHoo、KZ、オレら3人がいたらきっと朝までやっちゃうでしょうね。
――そこにNakamura Emiさんが加わると、どうなるのか。
チプルソ:ラップ野郎に挟まれて困らせちゃうでしょうね(笑)。
――イベント当日は「コカレロ」を飲んで、最高の音楽を浴びる。開放感が高まりそうです。
チプルソ:お酒はパーティに必須。酔っ払いがいてくれたら、それだけでイベントは盛り上がるし、むしろ盛り上がりすぎて心配になるかも。最初の1杯目からしっかり楽しんでほしいですね。
――KZさんはオープニングアクトとしても出演が決定しています。ギタープレイヤーにマイク1本で乗り込む、どんなステージになるのか楽しみです。
KZ:最初は出る予定がなかったんですけど、会場が梅田ということもあってコカレロスタッフから梅田サイファーで誰か出てくれないかというラブコールを受けて。当日のメインはNakamura Emi、チプルソ、RowHooの3組。日頃からヒップホップをがっつりと聴きこんでいない人も多いと思うんで、ラップってこういうものか、ヒップホップってこんな音楽なんだと伝わるようなアクトができたらいいですね。あと、チプさんと同じステージに乗るのが久しぶりなんですよ。確か最後は『華金』に出てもらった2018年くらいかな。久しぶりにチプさんのライブを観たいし、チプさんにも僕のライブを観てほしいです。
――ヒップホップシーンのなかでも互いにスタイルが異なる2人。偶然の出会いをきっかけに、いまに至るわけですが何か共通点はありますか?
チプルソ:……なんか弱さとか、優しさが見えるところがちょっと似てるかな。自分のことをそういうふうに言うのは恥ずかしいけど、KZくんのそういう面が好きですね。
KZ:チプさんの音楽もそうなんですけど、暗い時期があるんですよね。それが自分のなかにもある。チプルソというアーティストを好きになったのはそこなんですよ。自分の10代の頃と似ている感覚がある。
――今回の出演者はギタープレイも印象的ですが、作品のメッセージ性も印象深いものがある。チプルソさんとKZさんが互いに通じるものが、出演者のラインナップにも感じられますね。
KZ:サウンドに個性があるし、リリックも三者三様だけど、ぶっ刺さる感覚がある人たちばかりなんですよね。
チプルソ:そんなこと聞いちゃうと、当日はあの曲にしようかなとか考えちゃうな(笑)。
――チプルソさん、ステージでKZさんを泣かせにかかろうとしてませんか?(笑)
チプルソ:どっちの感じだろう(笑)。
KZ:チプさんって曲によってはリリックの意味を捨ててダンサブルにすることもありますもんね。
チプルソ:2タイプのセットがあるから、どっちにしようかなって。KZくんをぶっ刺したい。僕もKZくんのステージを観たいし、観てもらいたい気持ちが強いですね。
――印象的なラインナップのイベントだったので、ブッキングにどんな意図があるのかなと思っていたら、KZさんがキーパーソンだったんですね。
チプルソ:今回のイベントをキッカケに、また広げてくれる。「ありがとう~」という気持ちが強くって。
――初出演のMCバトルで出会い、初めてのヒップホップイベント出演のキッカケ作りをしてくれたのがKZさん。チプルソさんにとってのキーパーソンもKZさんですしね。
KZ:またご飯行きましょうね。
チプルソ:いいね。
KZ:チプさんって変な言い方だけど、アイドルみたいな存在で、近寄っていいのかわからないんですよね。自分にインパクトを与えてくれたアーティストは「おいっす!」みたいに簡単に挨拶できないんですよ(笑)。
チプルソ:そんなことないよ、いつでも気軽にきてよ。
KZ:ありがとうございます! ほんと、この3組が一堂に集まるような企画ってこの先ないと思うんですよ、しかも大阪で。梅田Shangri-Laは雰囲気の良いライブハウスだし。これを逃すと、次はないと思うんで、ぜひ観に来てほしい。チケット代金以上の何かがペイされるはずです。人とマイクとギター、むきだしの音楽が鳴っている。それが3組も続くんだから、すごいものを体感できると思いますよ。
取材・文=黒田奈保子 撮影=小川星奈

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着