有澤樟太郎、矢崎広、赤澤遼太郎が語
る『四つの署名』

小説家アーサー・コナン・ドイルの描く「シャーロック・ホームズシリーズ」の長編の一つ、『四つの署名』(原題: The Sign of Four )がリーディングシアターとして上演される。脚本・演出を毛利亘宏(少年社中)が手掛け、細谷佳正、有澤樟太郎、赤澤遼太郎、長妻怜央(7ORDER)、矢崎広、仲村宗悟濱健人岡本信彦、島﨑信長、鈴村健一(出演順)らが2人一組で公演日ごとに組み合わせを変えて出演する。同じ組み合わせの公演はなく、この上演で、また新たなホームズとワトソンが生まれる予感がする公演になりそうだ。
このほどSPICEでは、文化放送で毎週水曜日25:00~26:00で放送中の『よるステ!』のパーソナリティーをつとめていて、『四つの署名』にも出演している有澤樟太郎、矢崎広、赤澤遼太郎の3名に8月2日の開幕に向けて、公演にかける意気込みやそれぞれの想いなどの話を聞くことができた。
ーー本作にかける意気込みを、お1人ずつお願いいたします。まず有澤さんから。
有澤:やっぱり前回『緋色の研究』はお客さんを入れない状態で、無観客配信という形でやったので。しかも、最初の緊急事態宣言でいろいろと演劇が止まっていた時で。
矢崎:配信ならやれるんじゃないかみたいなときだったよね。
有澤:ですね。そういう緊張感が高い時だったので、すごく印象に残っていて。その『緋色の研究』の続編、さらにお客さんがいるので、気合いも入っています。
矢崎:たしかに本読みはリモートでやりました。今、思えば、いろいろなやり方を先駆けてあの公演でやってみていた気がします。
赤澤:いや、大変でしたよね。あの時。
有澤:その当時電車に乗るのも久々だったので、駅から稽古場まで歩くだけですごい疲れちゃって。それぐらい体力や感覚みたいなものを取り戻そうとしていた時にやった作品でした。今回は、満を持しての有観客で、しかもホームズとワトソン、両方の役をやります。細谷さんとは僕がワトソンで、赤澤くんとの回ではホームズ。
赤澤:いいなぁ、細谷さん。聞きたいです(笑)。
赤澤遼太郎
有澤:声いいですよね。前回はホームズだけでしたが、今回はワトソンも演じられるので、新しい試みとして、頑張っていきたいなと思っています。
ーー矢崎さんはいかがでしょうか?
矢崎:僕も、前回を経てというところなんですけど、もっと言うと僕は前々回もあって。最初に毛利さんが手掛けた『緋色の研究』にも出ていて、その後、2020年の無観客配信での公演もあって。僕は『緋色の研究』という作品がすごく好きだったので、その続編っていうことだけですごくワクワクしています。ホームズとワトソンの出会いから最初の事件を経てこの先どうなっていくんだろうっていうところで『緋色の研究』は終わるので、この2人のすごく面白い関係が『四つの署名』でまたどういう発展を遂げていくんだろうと、一観客としてもすごく楽しみです。さらにいうと出演者としてもお客さんとしても、企画としてこうやって続きがあるってすごい楽しみでうれしいじゃないですか、きっと。だから、これからこのシリーズがどんどん続いていけばいいなって思うような『四つの署名』にしていきたいと思います。
ーー赤澤さんはいかがでしょうか?
赤澤:僕は今回初参戦なんですけど、シャーロック・ホームズ作品自体はミュージカル『憂国のモリアーティ』に出させていただいたので、すごい親しみがあります。内容ももちろん知っていますし。だからこそ、平野良さんのシャーロック・ホームズ、みたいなイメージがあって。
矢崎:また癖の強い……。
赤澤:そう、そのホームズを自分が演じるという……(笑)。さらにワトソンといえば、鎌苅(健太)さん! ということで、ご縁みたいななにかを感じていて、すごく楽しみですね。今回、声優さんともお芝居するので、演じ方や役へのアプローチの仕方が全然違ったりするだろうから、改めて演じる楽しさみたいなものを感じたいと思っています。
ーーお話に出た声優さんと共演する時はどういう心持ちになりますか?
矢崎:僕は、異種格闘技戦のつもりでやっています。
赤澤:あー! そうですよね、絶対(笑)。
矢崎:そう。声優さんのアプローチの仕方を学ぶし、でも声優さんの声の技術に対して対抗しなきゃというか、自分はどうアプローチしていこうかっていうところは毎回考えます。そういうところが異種格闘技戦であり、見ていただく楽しみのひとつだと思います。
矢崎広
有澤:僕も朗読劇やるたびに声優さんと共演していますが、名だたる声優さんが朗読劇に出られているので、正直最初はファンの気持ちにもなりますよね。
赤澤:そうですよね(笑)。
有澤:僕も台本で読んで、最初はその人と対面するわけじゃないから、声だけの情報だとやっぱりあの声だ、と。
赤澤:あのキャラクターの、っていう。
有澤:そうそうそう! 稽古で想像しちゃう。やっぱり声優さんって読むことにこめる情報量が多いし、読み語ることにすごく慣れている。単純にすごいなって感じるし、矢崎さんが言うように、異種格闘技戦のようではあります。朗読劇を大きく分類すると、演出や動きのある朗読劇と、しっかりと読む朗読劇、2種類あるとして、割と今回は、座りながらしっかりと読む朗読劇。演出や動きのある時だと声優さんの動きとかも、僕はすごく楽しみにしてて。異種格闘技戦とはいえど、お芝居上手な方がすごく多いから、引っ張られますよね。
赤澤:今回、岡本信彦さんとご一緒しますが、僕は中学生の頃観た『とある魔術の禁書目録』という作品にすごく影響を受けていて、その作品の一方通行〈アクセラレータ〉役の人と一緒にやるっていうのもどういう状況なんだという思いになりました。濱健人さんは『A3!』で、僕が舞台で演じている七尾太一の声をされていて。僕のファンの方もとても喜んでいました。僕もすごく嬉しいので、リスペクトを持ちつつある意味芝居で戦えたらなぁって思っていますね。
ーー赤澤さんは脚本・演出の毛利(亘宏)さんと今回初めてご一緒するということで、ぜひ有澤さん、矢崎さんからアドバイスをお願いします。
赤澤:安西先生みたいな人だよ、とは聞いたことがあります。昔めっちゃ怖くて、みたいな。
有澤:(笑)。
矢崎:あ、でもね、合ってる。もうちょっとしたら実写版いけちゃうと思う。
赤澤:そうなんですね(笑)。昔めちゃくちゃ怖かったんですか、やっぱり。
矢崎:そうらしいけど、それを知る人は、僕らの世代ではいないと思う。劇団の人で、ギリ知ってる人がいるくらい。すごい怖かったらしいけど、本来はやさしい人だから、やさしいからこそ怒ったりすると自分も疲れちゃったみたいで。それで仏の毛利になったらしい。そのエピソードがもう安西先生だなぁとは思ってる。
(左から)有澤樟太郎、矢崎広、赤澤遼太郎
赤澤:僕も今聞いててそう思いました(笑)。
矢崎:すごく優しい方で、役者のことがすごく好きな方。役者をすごく信頼している方なので、まず自分たちの芝居を生かしてくれて、魅力を最大限に引き出してくれる演出家だと思っています。それでいて、実は心の中にはものすごく少年性を持っているので、熱いことが好きだし、どんどんアイデアに乗っかってきてくれる方だから、こういう『四つの署名』とか熱い展開の作品にはすごくぴったりの演出家さんだと思う。
赤澤:めちゃめちゃ楽しみですね。
有澤:僕もご一緒して、劇団(少年社中)公演にも出演してみて、劇団作品やプロデュース作品とか関係なしに、作品に愛を持ってつくってくださる方だと思いました。最初はとにかく自由にやらせてくれるようなイメージはあります。前回『緋色の研究』の時も、朗読劇だけど、最初わりと立ち稽古みたいな雰囲気で始まって、徐々に最終的にはこうしようかっていうことは決まったんですけど、はいどうぞ、みたいな感じでもなくて。あっという間に稽古が楽しく終わっていったのですが、最終的にはちゃんと導いてくれていました。演劇への愛がある人だなって思いました。
矢崎:とにかくほんとにやさしい。
有澤:マジでやさしいですよ。
赤澤:安心です(笑)。今はとにかく、ひたすらに楽しみです。
ーーラジオ『よるステ!』でパーソナリティーを続けてきて、俳優としてプラスになったことがあれば教えてください。
矢崎:僕は自分の思いを言葉にするっていうことを、『あさステ!』『よるステ!』を通して鍛えてもらったと思っています。頭の中だけで処理してうまく言葉にできなかったことをラジオで発表することによって、例えば日々の出来事で面白いことを共有する時、もっとこう言ったら伝わったかも……みたいなことだったり、こう話したら、うまく伝わったこともあったりで、とにかく話すことが好きだっていう風に思わせてもらえたのがこの場所なので、すごく感謝しているし、自分が話したいことを話していいと思わせてもらえたのが変わった部分かなと思います。たまに矢崎さんって役者だったんですねって人がいて。
赤澤:えぇ!(笑)
有澤:いるんですね、そんな人(笑)。
矢崎:ぜひこの朗読劇をみてください。僕は役者だよっていうところを見ていただければなぁと(笑)。
有澤:僕も『あさステ!』で、本当に一から教えてもらいました。何もできないところから始まって、最初はどうなることかと思いましたけど、矢崎さんと同じく、何かを伝えることと自分の日常の話を、ラジオを通してちゃんと共有できるっていうことがめちゃくちゃうれしくて。近況とか話すことも楽しいし、リスナーのみなさんがそれを楽しみにしてくれているってこともうれしくて。人に物事を伝えることだったり、自分の話したいことをどうやったら伝えられるのかはすごく研究することができました。良い機会をいただいたな、ほんとに充実した5年間になっているなと思っています。
有澤樟太郎
赤澤:そもそも1人喋りが多分最初よりはうまくなってきたっていうのはもちろんそうなんですけど、僕は、アニメとかゲームとか漫画とかが好きなんですけど、その好きなことを話せる場ができたのはすごい大きいことだと思っていますね。好きをどんどん発信していくことで、この間も僕の大好きな声優さんをゲストにお呼びすることができました。自分の「好き」がきっかけでその声優さんともつながり、自分の舞台を見に来てくれたりして、いろんな自分の好きからの幅が広がっていくのがすごくいいなぁって思っています。なので、今後もいろいろ発信して行けたらなと思っています。今後もよろしくお願いします!
有澤・矢崎:よろしくお願いします!
ーー最後に、お客様にメッセージをお願いいたします。
赤澤:今回、朗読劇ということで、ご一緒する機会が少ない珍しいメンバーが揃っているなと思っていて、お客さんにその組合せもぜひ楽しんでいただけたらなぁと思っています。そしていろんな役を2人だけでやっていくっていうことがすごく難しいことでもあると思いますし、役者のいろんな面が見られるんじゃないかな、新しい顔を見せられるように頑張っていきますので、ぜひ劇場にお越しください。お待ちしています。
矢崎:『緋色の研究』から続く『四つの署名』というシリーズが、前回は無観客でしたけど、今回はお客様の前でできるっていうことが純粋にうれしく、喜ばしいことであると思います。朗読劇は本当に目の前で役者が朗読をしていくんですけど、お客様とどんどん世界を共有していく感覚があって、舞台ともまた違って、どんどん頭の中で可能性が広がっていくっていうところが魅力だなと思うので、ぜひその時間と頭の中の想像力をお客様と共有して素敵な作品を作っていきたいと思いますので、ぜひ劇場にたくさんお客さんが来ていただければなと思います。
有澤:前回は『あさステ!』で、今回は『よるステ!』で。ちょっと間は空きましたけど、ラジオパーソナリティーをやりながらも、こういう俳優としての一面もちゃんとイベントとして入れながらやっていけるのって恵まれているなと実感します。ラジオパーソナリティーとしてのスキルだけでなくて、俳優としての面も出させてくれるっていう。そして、今回、本当に豪華な組み合わせでやらせていただけます。またここから続いていく作品になるためにも、改めて、今作をしっかり盛り上げていき、推理要素もあるので、お客様をしっかり引き込んでいければいいなと思っています。ぜひ劇場でお待ちしてます。

インタビュー・構成=コータ    撮影=池上夢貢

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