【渡辺美里 インタビュー】
“うたの木”も育ってきたので、
引き続きちゃんと育てていきたい
相手が楽しく歌ってくれれば、
私自身はどうにでもついていけるので
相手に合わせて臨機応変に進めるということですね。
なので、相手を引き立てるために自分が埋もれてしまうっていうことはないです。なぜならば、地図を描いてるのは自分自身なので。もちろん、そういうやり方のために自分のベストなキーじゃない曲がたくさんあるんですけど、“相手がこういうふうに歌ってくれたから自分はこんな声が出た”っていうことのほうが面白かったので、もっと自分の声が活かされるキーに設定してほしかったとか思う曲はひとつもないし、相手が楽しく歌ってくれれば、私自身はどうにでもついていけるので。
そこはすごいですよね。
そうですか? だって、私のアルバムに参加してもらってるんだから。なので、今回の選曲に関しては、そういうことは全然なかったですね。
“相手が楽しんでくれるように歌ってくれたら、自分はどうとでもついていくから”というのは、例えば野球で言えばイチロー選手のようなもので、来た球はどれでも打てるということですよね。
うーん…打てるかどうかは分からないですけど、とりあえず食らいついていきますね。
だからこそ、空堀りをしないってことですよ。
あぁ、なるほど! 必ず塁に出ると(笑)。
それはすごいことじゃないですか。
曲を選んだ時点で、自分がこんなふうに歌えたらいいとか、好きだと思っている歌い方がもう見えていたし、そこに参加してくれる人がこう歌ってくれたらいいなと思いましたね。みなさん、それ以上のパフォーマンスを残してくれるので、もう私としては来た球を打つ、全てを返すだけという。そうするだけで相乗効果が生まれていいものになる…ということだと思います。
今のお話と重なるところもあるかもしれませんが、デュエットの面白さとか、知らなかった自分の声の魅力に気づいたとか、デュエットすることによる発見や自分が変えられたと思う瞬間はありましたか?
LiLiCoさんと川村結花さん以外は、男性とのデュエットなので、“キーの設定はどこがいいのかな?”ということはすごく考えたんですけど、さっきもお話したとおり、相手が心地良く歌ってくれるところに、私は高かろうが低かろうが声は出すので、そうすることによって、例えば「憎みきれないろくでなし」で♪忘れてしまったよ〜の“よ〜”の音なんて結構低い音なんです。だけど、“あっ、このキーも出るね”っていう感じで。自分の曲をそこまで低いところには設定しないけれども、高くも歌って、低くも歌ってみてとやってみた時に、“おぉ!この声も素敵かも”と気づく。それは、アレンジしてくれた人が“そこの声、いいね!”と言ってくれていたから、そこは発見だったかもしれないです。
今回、いろいろ人選を考えら他ともいますが、それでも今回は実現しなかった人がいるんじゃないかと思います。今後一緒に歌ってみたい方はいらっしゃいますか?
今回は見事に全部叶っちゃったんです。なので、“Face to Face 2”を作ることになったら、あらためて考えてみます(笑)。
(笑)。この度、初めてのデュエットアルバムを作り上げたわけですが、他にも何か新たに作ってみたい作品はありますか?
この“うたの木”のシリーズというのは1999年から始めたのですが、最初はフルオーケストラのコンサートをやって、そのままフルオーケストラのライヴ録音を作品にしたんです。そこから不定期にやってきましたけれど、気がつけばその“うたの木”もいいかたちで育ってきたので、引き続きちゃんと育てていきたいですね。同時にカバーが続きましたから、自分自身のオリジナル曲もきちっと作りたいと思っています。
取材:兼田達矢