鷲尾修斗、杉咲真広、蔵田尚樹「レジ
ェンド的な作品。愛をこめてつくりあ
げています!」 ~ステージ『エロイ
カより愛をこめて』インタビュー

男色家の世界的美術品泥棒「怪盗エロイカ」ことドリアン・レッド・グローリア伯爵の美術品違法収集活動が北大西洋条約機構(NATO)の情報将校「鉄のクラウス」ことクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐の作戦行動と鉢合せすることで、ジェイムズ君ら使用人や少佐の部下たちを巻き込むヨーロッパを股にかけての大騒動を引き起こす“怪盗&スパイ”活劇。コミックは現在累計1000万部を記録する青池保子原作の大人気漫画。
開幕まで2週間に迫った某日、少佐の部下を演じる部下A(アー)鷲尾修斗、部下B(ベー)杉咲真広、部下G(ゲー)蔵田尚樹の3人に意気込みや見どころを伺った。
■いい意味で「大人の稽古場」って感じです
ーー皆さんは『なめ猫 on STAGE』でも共演されていますが、まずは出演が決まった時どう思いましたか?
蔵田:じつは僕は『なめ猫』終わりにLolのお二人に「舞台の仕事ください!」って言ったらくれました(笑)。
あと、原作自体は存じ上げなかったんですけれども、調べてみたら自分が生まれる前からある作品で、しかも少女漫画界でレジェンド的な作品なんですよね。僕は元々少女漫画を読むのが好きだったのでワクワクしましたし、コミックスは全巻揃えました!
杉咲:やっぱりまず『なめ猫』で知り合ったばかりの方たちと一緒にできるという安心感が一番ありましたね。そのあと、作品について検索したり、調べたり、原作も読ませてもらったんですが、部下B(べー)という役を見たときに「カーリーヘアか~!」と(笑)、まずは率直に思いました。初カーリーなので、また新しい自分の一面がみれるんじゃないかなという風に思って、ちょっとワクワクしましたね。
鷲尾:僕もお話しをいただくまでタイトルも存じ上げなかったです。でも、調べてみたらすごく歴史のある作品で、そんな作品に出させていただけるんだということと、世界観がすごく素敵ですし、メンバーもほぼ全員共演したことあるっていうのと、なにより村田充さんと初共演できるというのが自分的にはすごい嬉しかったですね。しかも僕が、少佐の女房役ということでそこは単純に役者としてすごく嬉しかったですね。
鷲尾修斗
ーー(インタビューの時点で)稽古も中盤かと思いますが、稽古場の雰囲気はいかがですか?
杉咲:稽古場の雰囲気は、僕は好きだなと思いますね。僕たちの役どころが近いんで稽古でも3人がよく絡むんですけど、まず修斗くんがしっかりするところしっかりして、締めてくれて、ふざけるところとかも僕と蔵を面倒見てくれてる?わけじゃないんですけど。
鷲尾:お世話係です(笑)。
杉咲:そう! お世話係です。だからふざけるところとかはムチャクチャふざけるし、そうじゃないところでもちゃんと絞めてくれるんで、やっててすごく心地いいですね。他のキャストのみなさんもすごい人が多いので、自分が出てないシーンでも見ててすごく勉強になる現場だなという風にはすごく思います。
鷲尾:稽古場の雰囲気はいい意味で大人ですね。普段の2.5次元舞台って二十代前半の人とかの方が多いですが、この現場は逆なので、“大人な稽古場”っていう感じで、きゃぴきゃぴするときはするけど、でも仕事のときはみんなプロの仕事をしてるなっていう、居心地はすごくいいですよね。伯爵役の優貴(中山優貴)と少佐役の充さんがその空気をつくってくれているので、すごくいい雰囲気というか。
蔵田:僕たち3人が劇中も基本ずっと一緒にいるので、本当ははける場所が違ってても、なんか付いて行っちゃうときがたまにあって(笑)。部下A(アー)と部下B(べー)があっちで、部下G(ゲー)がこっちに行かなきゃならないのについて行っちゃうんです。まぁ、僕ら3人みんな20代なんで仲良くて……。
杉咲:ん?
杉咲真広
鷲尾:ピチピチなんでね(笑)。(鷲尾さんは現在35才)
蔵田:まぁ、修斗パパが本当にしっかりしてくれてて……(笑)。
鷲尾:パパっ?!
蔵田:めっちゃ頼りにしてますね。いてくれてよかったなって。かなり助けられてます。
ーー稽古中のエピソードはありますか?
鷲尾:伯爵がズボンをおろしてパンツ姿になるシーンがあるんですが、優貴はそんな姿でもカッコよかったです(笑)。
蔵田:なんか違和感を感じなかったですね。
鷲尾:そうそう。カルバンクラインのCMかなってぐらいにオシャレに見えた(笑)。
他にも失敗とかトラブルもないですね。演出の児玉さんは最初から細かくシーンをつけてくださる方なんで、とりあえずやってみようみたいなのはあんまりなく、そんなに失敗みたいなのは今のところないですね。
杉咲:エピソード……そうですね、ないですね。とにかく平和です(笑)。
ーー今回の役作りの大変なところはありますか?
蔵田:Gはゲイの役なんですけど、これまでそういう役をやったことがないので不安はありましたね。女性らしく振舞ってみたりというのは初めてなので。そこをどう表現するか難しいなと思います。
蔵田尚樹
杉咲:Bはお調子者で楽観的っていう僕自身と似ている部分があるかも知れないですけど、素の自分を見せるんじゃなくて、Bとしての楽観的、お調子者っていう差別化をちゃんとしないと、ただ僕が舞台上にいるだけになっちゃうんで(笑)。
鷲尾:でも真広は板の上で真面目なんですよ! はけると裏ではBなんですけど(笑)。舞台上に出ちゃうと真面目が出ちゃうっていう。
杉咲:でもBは少佐の前ではめちゃくちゃ真面目ぶるキャラなんですよ。ってなると、今回少佐といるシーンが多いから、さすがに少佐の前ではふざけられないじゃないですか。だから逆にBらしさを出す場面を稽古で見つけていかないとな。ちゃんとBらしさを出してお客さんに伝わったらいいなとは思います。
鷲尾:僕はやっぱりミュージカル俳優として歌をメインにしたいですね。期待してくれている人もいるので…
杉咲:これ、ツッコミどころじゃない?
蔵田:いや、1回泳がせる(笑)。
プロデューサー:鷲尾修斗さんは、歌は苦手といつも言っていまして。だから今回もオファーするかどうか最後まで悩みました。なので、ミュージカル俳優というのは彼の最高のギャグなんです(笑)。
鷲尾:「パンツの歌」とかね、わけのわからない歌もありますけど(笑)。でもやっぱり歌ですかね。あと3人で歌うところもありますし、やっぱりセリフで伝えるのと歌で伝えるのとでは、違うこともあったりして難しいところだと思うので、そこは頑張っていこうと思っていますね。
ーー皆さんの上司である少佐役の村田充さんはどんな方ですか?
杉咲:やっぱりお芝居が素敵で、学べるところしかないというか、一緒に立っててもスゴイなって思います。あと空気感ですね。今回の稽古場って絶対充さんがいることによる稽古場の雰囲気があるので、そういう立ち振る舞いとかも、お芝居だけじゃなくてすごく勉強になるし、素敵な方だなと思います。
蔵田:充さんってめっちゃセリフ多いんですよ。なのに稽古の最初の方からちゃんとセリフを覚えて来られるんですよ。そういうのを見ると僕たち後輩もその背中を見てついていきたくなるというか、僕らもちゃんとしていかなきゃなという。背中で語るじゃないですけど、そういうところが理想の上司だなと思いますね。
(左から)蔵田尚樹、鷲尾修斗、杉咲真広
ーーちなみに今回の共演者の中で上司にするなら誰がいいですか?
蔵田:僕は……修斗くんかなぁ?
杉咲:じゃあ、僕も修斗くん(笑)。
鷲尾:ちょっと嫌ですね~(笑)。
蔵田:修斗くんは尊敬できるところもあるんですけど、とっつきやすい、親しみやすい。上下関係を気にしない人なので、おもしろいしついて行きたくなりますね。
杉咲:蔵が言った通り、年下にも分け隔てなく絡んでくれて和ませてくれて、仕事が終わるとスッと帰るというか……。
蔵田:ビジネスライクだからね(笑)。
杉咲:違う違う(笑)。そういうことじゃないんですけど。現場ではめちゃくちゃ楽しんで、終わったら「じゃ、またね」って言って、あとは後輩たちで仲良くしてもらってっていう。自分もそうなりたいなって思います。
鷲尾:僕は充さんがいいなって思いますね。充さんとは普通にプライベートの話を稽古場ですることもあるんですけど、その時にちょこちょこ小さい天然じゃないですけど、不思議系な部分があって、現場ではすごくピシッとしててカチっとやっているイメージですけど、プライベートな話になるとちょっと抜けてるというか、かわいく見えるというか。その辺は少佐と似てるなと思いますね。
■自分がその時代を生きたわけじゃないけど落ち着く雰囲気
ーー今作では個性的なキャラクターが多いですが、自分がやってみたいキャラクターは?
蔵田:伯爵をやってみたいですね。単純にああいうのカッコいいなって。
杉咲:僕はジェイムズ君ですね。ドケチな役やってみたいですね。どこまでドケチを極められるかなって。(笑)
鷲尾:僕はやっぱり紫を着る男ですね。あんなの舞台でしか見れないですからね、ただの絵画ですよ(笑)。なのに、紫を着る男はしゃべりますからね(笑)。そういう意味では原作にないところなので楽しめるかなと。たまに額縁から出て来ますし(笑)。
鷲尾修斗
ーー『なめ猫』も今回の『エロイカ』も昭和なイメージですが、レトロなもので好きなモノはありますか?
鷲尾:やっぱりレコードですかねぇ。いっぱい揃えていて、あと湿気がダメなのでしっかり除湿して…… あ、すみませんこれ横井翔二郎の話でした(笑)。
蔵田:なんで出てない人の話するんですか!(笑)
レトロかどうかはわかんないんですけど、今スマホで何でもできる時代じゃないですか。電子決済とか。でも僕はかたくなにPASMO持っています。スマホの方が便利ってわかってるんですけど、どうしても定期とかカードで持ちたくて、ネット決済とかもしてなくて絶対現金派ですね。
鷲尾:わかる僕も現金派なんだよ。ネットの数字を信じていないんだよね、基本的には(笑)。
杉咲:だけど、それレトロじゃなくない?
蔵田:でもこれがいつかレトロになる時代が来るんだよ。
杉咲:確かに。今は公衆電話にレトロを感じちゃうもんな。
蔵田:喫茶店とかでもレトロな感じだと雰囲気いいなと。自分がその時代生きたわけじゃないけど、そういういうところに行くと落ち着くなっていうのは感じますね。
鷲尾:わかる。なんかそういうのあるよね。
ーー少佐は戦車(現実主義)、伯爵は絵画(ロマンチスト)自分はどっちだと思いますか?
杉咲:僕は現実主義なんで、機能性一択ですね。
杉咲真広
鷲尾:僕は、仕事は完全に現実主義ですけど、プライベートはロマンチストかも知れませんね。フィギュア集めたり、水槽で生き物飼ってたりとかしてるので。
蔵田:僕もそうかも。ぬいぐるみがめっちゃ家にあるんで。
鷲尾:そういえば、ぬいぐるみあげたもんね。
蔵田:『なめ猫』のときにいろいろもらいました。邪魔だとはわかってても欲しくなっちゃう。
杉咲:僕の家はマジで何にもないです。自分の身長より高いもの置きたくないし。圧迫感を感じたくないんで。余計なものは何もないです。
鷲尾:うちは余計なものしかない(笑)。
ーーもし、伯爵になんでも盗んでもらえるとしたら何が欲しいですか?
杉咲:お金(笑)。
鷲尾:(爆笑)現実的! でもお金って難しいよ。例えば10億円持って来られても部屋に置くとこないよ。逆に盗まれるかもと思ったら不安だし。だとしたらブラックカードじゃない?
蔵田:でも僕現金派だから(笑)。って考えたら金だ! 金の延べ棒! それか財宝!
鷲尾:ひとつなぎの財宝(笑)。僕は鳥山明先生ですね。ドラゴンボール好きなんで会ってみたい!
蔵田:盗んだあとどうするんですか?
鷲尾:サインもらって帰ってもらう。
蔵田:キャッチ&リリースみたいな?(笑)
鷲尾:そうそう。さすがに、生活面保障できないから(笑)。
■伯爵と少佐の関係性はもちろん、アンサンブルの活躍も見てほしい
ーー今回、歌もダンスも多いと思いますが、全編を通しての見どころはどこでしょうか?
蔵田:今回は全体的に曲がすごい好きで。特に伯爵の歌がM1、全員で歌うM3がすごくよくて、じ~んとくるなと思って。あとM13とか伯爵が絡んでいる歌が特に好きですね。ぜひ歌を聞いてほしいです。
蔵田尚樹
杉咲:やっぱり伯爵と少佐の関係性がどんどん変化していく感じですね。そこに注目していただきたいかなという風に思います。
鷲尾:もちろんストーリー上、伯爵と少佐の関係性が進んでいくものだったり、歌やダンスとかいろいろあるんですけど、アンサンブルのメンバーもいっぱい出てるんですが、その子たちがいろんな兼ね役で出ていて、たぶん裏でバタバタ着替えたりしてやってるので、もちろん僕らメインキャストを見てほしいという気持ちはありますけど、そういうアンサンブルの子たちがしっかりと支えてくれて舞台というのは成り立っているというのが、今回すごい表にも出ていると思うので、あの役とあの役同じ人だ!とかいう見方をしてくれたりしてもおもしろいのかなと思いますので、ぜひそちらも気にして観ていただければなと思います。
ーー最後に、観に来てくださる皆さんへのメッセージをお願いします。
蔵田:歌、ダンス、アクションもありますし、シリアスな部分もコミカルな部分もラブシーンじゃないですけれどもキュンとするようなシーンも、とにかくいろいろ詰まった舞台になっておりますので、ぜひメインキャストだけじゃなくてアンサンブルの皆さんの活躍も注目して観ていただきたいです。
鷲尾:マネされた!(笑)
蔵田:いいなと思っちゃった!(笑)
杉咲:今回集まったキャスト、スタッフ、観に来てくださるお客様がいて作品が完成されるとよく言われるんですけど、本当に僕らは愛をこめてこの作品をつくりあげているので、全身全霊身体で受け止めて感じて楽しんで帰っていただけたらなと思います。
鷲尾:コロナ禍になって「絶対に来てとは言えないけれど、来たら絶対に後悔をさせない」っていうのを、鷲尾修斗として役者として掲げているスローガンでもあるんですが、歌だったりアクションだったりいろんなことが舞台上でおこると思いますし、2.5の舞台ってわりと少年漫画系の作品が多いと思うんですけど、少女漫画の2.5次元って今までそこまでやられてなかったりすると思うので、2.5次元だけれど2.5次元じゃない雰囲気というか、ちょっと宝塚みたいな雰囲気もあったりするので、皆さんの人生の大切な1時間半を観劇というものに使っていただいて、1時間半以上の価値のあるものをお届けするので、ぜひぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいなと思います。
(左から)蔵田尚樹、鷲尾修斗、杉咲真広
取材・文=徳本省子    撮影=池上夢貢

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