大地真央＆花總まりW主演　より一層
パワーアップした『おかしな二人』会
見&ゲネプロレポート

2020年の公演で宝塚歌劇団出身の大地真央と花總まりが初共演を果たし、大きな話題を呼んだニール・サイモンの最高傑作『おかしな二人』。初演に続き、大地真央が“無精者”のオリーブ役、花總まりが“病的なまでに几帳面”なフローレンス役を務めるほか、宮地雅子、平田敦子、山崎静代、芋洗坂係長、渡辺大輔らが集結。新キャストとして青木さやかが加わった。また、初演で大好評を博したキャスト総出演のスペシャル・カーテンコールは今回も開催される。

初日に先駆けて、会見とゲネプロが行われた。

――まずは初日に向けての意気込みをお願いします。

大地真央：2年半ぶりにまたこの劇場で、このメンバーで再演できることを嬉しく思っています。初日を前にドキドキしていますが、楽しみのほうが強いですね。

花總まり：前回はコロナ禍真っ只中でした。今は移行中ですが、満席のお客様の前で演じられるのでとてもワクワクしています。

青木さやか：今回が初参加ですが、とにかく楽しい舞台です。見ている人も元気になるお芝居なので、見ていただくのが本当に楽しみです。

宮地雅子：久しぶり感もなく、今回から参加の青木さんもすっと馴染んでいました。大地さんと花總さんのおかげで、みんないい雰囲気で稽古できました。『おかしな二人』ですが、周りも相当おかしいです。負けないように楽しくやっていきたいと思います。

平田敦子：2年半ぶりで、真央さんと花ちゃんがものすごくパワーアップしているので、一生懸命追いつこうとしています。

山崎静代：初演の時はコロナが厳しい時期で、稽古場では触っちゃいけないとかセリフは離れて言うとか色々な制約がありました。今回はそれがなくて、団結力もさらに強まったと思います。花總さん、こんなに綺麗なのに変な顔とか変な声をするのでそれを見てほしいです。

一同：（笑）。

山崎：本当にパワフル。平田さん青木さんの顔芸とか。私も負けないように頑張りたいと思います！

渡辺大輔：宮地さんが仰った通り、久しぶりな感じもなく、楽しく稽古が始まった感じです。こういう時期ですが、たくさんの人が笑顔になって帰ってくれたらと思います。前回は客席が半分ということもあり、「見られなかった」という声もたくさん届きました。今回は思う存分見ていただけたら。嫌なことも吹っ飛ばしてすっきりして帰っていただけるように、お兄ちゃん共々皆さんと協力して頑張っていきたいと思います。

芋洗坂係長：前回の初演を終えた時から、再演を心待ちにしておりました。前回見たお客様は、同じように楽しみにしてらっしゃるんじゃないかなと思います。私たち兄弟は真央さん花總さんとのシーンが多いので女性陣との絡みはあまりないんですが、初参加の青木さんもすっと馴染んでいて。稽古中から楽しく過ごしました。お客様と一緒にますます楽しい作品を作っていけたらと思います。

――2年半ぶりの再演で、バージョンアップした部分や見どころを教えてください。

大地：見どころは全部ですね。一幕はノンストップですし見どころ満載。説明できないくらい間違いなくパワーアップしていると思います。

花總：いつも言っているんですが『おかしな二人』じゃなくて『おかしな八人』です。それくらいみんなおかしくて。前回と少し変わった部分もあるので、新鮮に見ていたらけたら。今回もショーがあり、客席と一体になれるようになっているので、見どころ満載だと思います。

――青木さんの参加で変わったことはありますか？

青木：特にありません。

大地：あります！面白いです。

青木：（笑）。ショーの衣装も一新しましたよね。「本当に大地さんと花總さんがやってるの？」と思うくらいパワフルです。

――稽古中のエピソードを教えてください。

大地：花ちゃんがドアに指を挟んでしまって……。

花總：勢い余って。まだちょっと痛いです（笑）。フローレンスはつい無我夢中になってしまうというか、一生懸命やらないと大地さんに追いつけないので。

大地：熱演です。前回よりももっとコミュニケーションをとっているので、より面白くおかしな二人になっているかなと思います。あと、あっちゃん（平田）はパッと見ると何か食べてます。

平田：真央さんがいつも美味しいチョコとかを持ってきてくれるんです。初演の時はみんなで食べちゃいけなかったから、真央さんが机の下でこっそり回してくれたんですが、今は大丈夫なのでいっぱい食べてます。でもみんな同じ数食べてますよ。

――パワフルな女性陣に囲まれている男性陣はいかがでしょう。

渡辺：初演から変わらず、皆さますごく優しいです。こんなに居心地良くていいのかなと不安になるくらい。あと言っておきたいのが、シーンがちょっと増えました。そこを楽しみにしてほしいです。

芋洗坂：2回目なのもあるのか、仲間感がすごいです。もう打ち上げの話が出るくらい。楽しくやれています。

――大地さんと花總さんの絆もさらに深まったでしょうか。

花總：どうでしょう？

大地：絆だらけじゃないですか？

平田：花ちゃんがすっごい嬉しそうな顔で「（連絡先を）交換してもらった！」って言ってたのがすごく可愛かったです。

花總：前回は勇気がなかったので。でもこの公演が終わっちゃったら、いつチャンスがあるかわからないから。

芋洗坂：交換はどのラインまでOKですか？

大地：みんないいですよ。

一同：おお！

渡辺：あれだけ「仲良い」って言っておいて溝あるじゃないですか（笑）！

一同：（笑）。

――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

花總：『おかしな二人』、前回よりさらにパワーアップしています。面白いです！ぜひ見にきてください！

大地：初演でも「笑って免疫力をあげましょう」と言いました。今回、思いっきり笑っていただいて、より免疫力をあげていただいて、皆さんに幸せな気分でお帰りいただける作品になっていると思います。ぜひ劇場に足をお運びください。お待ちしています！

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＜あらすじ＞

マンハッタンにあるオリーブ・マディソン（大地真央）のアパート。古新聞や雑誌が散らかり、夏だと言うのに冷蔵庫は2週間壊れたまま。離婚後、その無精な性格から部屋は荒れ放題だが、オリーブの部屋には女友達が毎日のように集まってはゲームやおしゃべりで盛り上がっている。オリーブたちの話題は、夫から離婚を切り出されたフローレンス・アンガー（花總まり）のことに。傷心の彼女が自殺でもしかねないと好き勝手に話していると、玄関のベルが鳴り、フローレンスが入ってくる。離婚を突きつけられた理由がわからず未練たらたらな彼女に、オリーブは新たな人生を送るべきだと同居を提案する。だが、フローレンスは病的なまでにキレイ好き。正反対な二人は当然の如く衝突を繰り返すが――。

大地演じるオリーブは、大雑把で快活な性格が魅力的。気のいい姉御のようなサバサバした雰囲気と、元夫に対する甘さのギャップがおかしい。ちょっとした表情やセリフ回しの楽しさやおしゃれさも、コメディエンヌの本領発揮といったところだ。花總はかなり面倒な性格のフローレンスを、憎めない可愛らしさを持って好演。友人たちに心配されて嬉しそうな顔をしたり、頼まれてもいない部屋の掃除や料理に奮闘したりと、繊細なのか図太いのかわからない言動で笑わせてくれる。

オリーブの部屋での会話によって女性陣の性格の違いや暮らしが赤裸々に見えてくるのも楽しく、彼女たちの日常への興味や想像も膨らんでいく。それぞれが好き勝手に話を進めたり、誰かの言葉そっちのけでふざけていたりと、気の置けない友人同士のナチュラルなやり取りに、客席からも笑い声が上がっていた。夫に別れを切り出されて落ち込んでいるフローレンスの様子を気まずそうに伺う彼女たちの表情、妙な気を起こさないように阻止するチームワークなど、ドタバタした様子に笑いつつ、心を掴まれる。タイプのバラバラな女性たちが集まり、絶妙なバランスで成り立っている友情に共感する人も多いのではないだろうか。

舞台のセットや美術も魅力たっぷりだ。物語の舞台となるオリーブの部屋は、呆気に取られるほどの雑然とした空間。壁にはポスターやアートボード、割れた皿などが飾られ、床には雑誌や書類の入った封筒などが散らばっている。だが、フローレンスとの同居が始まると見違えるように綺麗な部屋に。インテリアを比べるのも楽しくてワクワクする。

オリーブに夢中なスペイン人の兄弟を演じる渡辺と芋洗坂は、明るくセクシーに物語を盛り上げる。言葉の壁によって起きるとり違い、会話のスピードに乗り遅れるフローレンスとのズレたやり取りがユーモラスだ。女性陣とはまた違うパワフルさを持つ兄弟が、物語によりハッピーな雰囲気を与えている。

そして全員参加のショーでは、息の合ったパフォーマンスや楽しそうに火花を散らす様子など、本編と一味違ったキャスト陣の姿を堪能できる。会見で出た通り、思い切り笑って一緒に楽しみ、爽快な気分で劇場を後にできるはずだ。

本作は4月8日（土）〜26日（水）までシアタークリエにて上演。その後トークネットホール仙台（仙台市民会館）、富山県民会館、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでも上演される。

取材・文・撮影（会見）＝吉田沙奈