協調性重視の“舞台”で、“エゴ”が
テーマの面白さを~舞台『ブルーロッ
ク』サッカー指導公開稽古&合同取材
会レポート

2023年5月より上演される舞台『ブルーロック』のサッカー指導公開稽古が行われた。東京公演が池袋・サンシャイン劇場で開催されることから、豊島区を本拠地とした社会人サッカーチーム「エリース東京」によるサッカー指導が実現。潔 世一役の竹中凌平、蜂楽 廻役の佐藤信長、千切豹馬役の佐伯 亮が参加し、現役選手から実践的なプレースタイルを学んだ。
『ブルーロック』は「週刊少年マガジン」(講談社)連載中の金城宗幸(原作)、ノ村優介(漫画)によるエゴイストFW育成サッカー漫画。日本をW杯優勝に導くストライカーを育てるため、300人の高校生を集めた”ブルーロック(青い監獄)”プロジェクトが展開される。
サッカー指導公開稽古が行われたこの日は、晴れ渡った絶好のサッカー日和。ブルーを基調としたユニフォームに身を包んだ竹中、佐藤、佐伯がグラウンドに現れた。ウォーミングアップ中の色摩雄貴選手、松岡ジョナタン選手、神田凜星選手のプレーに目を輝かせている。
いよいよサッカー指導公開稽古がスタート。自己紹介を交わした後、基礎である「止め」と「蹴り」の練習からスタート。神田選手から「足の面を相手に向けることで、まっすぐ蹴ることができる」とアドバイスを受け、さっそく実践。インサイドキック、アウトサイドキックなどを次々にマスターしていく。
どんどん難易度は上がり、カラーコーンを立てたドリブル練習も。サッカー歴10年の佐伯はメキメキと頭角を現し、指導にあたっていた色摩選手も驚きの上達ぶり。サッカー未経験という竹中、佐藤も必死に食らいついていく。休憩中には、誰からともなく三角パスを行うほどの熱中ぶりだった。
最後は、ハーフコートを使って試合。まずは竹中・佐藤・神田選手、佐伯・色摩選手・松岡選手のミックスチームで対戦することに。開始10秒もしないうちに色摩選手が容赦なく先制。続けて、佐伯が練習の成果を生かした足さばきを見せ、ゴールを決め絶好調モード。松岡選手や神田選手からアドバイスを受け、佐藤が絶妙なポジショニングでシュートを打ち込む。竹中も佐藤への細やかなパスワークでチャンスを作りつつ、自らもダイレクトにゴールを狙う。シュートを外すと「今のは決めなきゃね!」と悔しがる場面もあった。
後半は役者チームと選手チームで対決。選手側のシュートはヘディングのみ、ドリブルは利き足と逆のみというハンデつきのようだ。序盤から積極的に攻める役者チームは、選手とのマッチアップに挑む場面も。逆を突く攻撃が決まり、役者チームが見事勝利を収めた。

(左から)神田凜星選手、佐藤信長、松岡ジョナタン選手、竹中凌平、色摩雄貴選手、佐伯 亮

終了後、合同取材会が行われた。
ーーサッカー指導公開稽古を終えた感想を教えてください。
竹中凌平:サッカー経験がないので、小学生の体育以来にボールを蹴った気がします。うまくなったかどうかは別にして、サッカーの楽しさを知ることができたのは大きな収穫でした。
佐藤信長:チームスポーツとしてはバレーボールをやっていましたが、サッカーは未経験。テレビやワールドカップを見るのは好きです。サッカーに対する解像度が上がりましたし、サッカーというものがより身近になった気がします。
佐伯 亮:幼稚園から中学まで10年くらいサッカーをやっていましたが、今日は久々にボールに触れられて楽しかったです。信長くんとは今日初めて会ったんですが、コミュニケーションのきっかけにもなりました。チームワークやパスをし合うところは、どこか舞台を作っていくことにも似ている気がしますし、プラスになった一日でした。
ーーエリース東京の皆さんは、指導されてみていかがでしたか?
松岡ジョナタン:才能がありすぎてビックリしました。最初はなかなか蹴り慣れていないところもあったんですが、どんどんうまくなっていった。舞台にどう生かせるかはわからないですが、頑張ってください。
神田凜星:普段は選手として教わる立ち位置ですが、いざ稽古という形で教えさせていただくと皆さんの吸収力のすごさを感じました。サッカーは、ボールひとつで繋がれるスポーツ。皆でやれて、やっぱりサッカーって楽しいなって思いました。
色摩雄貴:僕は主に千切さん(佐伯)に教えたんですが、すごいうまくて教えることがあまりなかった。(松岡、神田の)2人はちゃんと教えているのに、自分は何も言えなくて劣等感がありました(笑)。最後の試合は負けちゃったんですけど、すごく楽しくやれてよかったです。
松岡:次は勝ちます。
ーー選手の皆さんが、俳優陣からスカウトするとしたら?
神田:『ブルーロック』では蜂楽くんが好きなので、蜂楽くんを!
佐藤:ありがとうございます!
色摩:自分は千切くんが好きなんですよ。
佐伯:おっ!
色摩:でも、千切くんは足が速いので自分とタイプが被るんです。それはちょっと嫌かな(笑)。なので、世一くんがいいです。
竹中:ありがとうございます。意外なところだ!
松岡:正直、3人とも欲しいです。3人とも連れて帰ります(笑)。
ーーご自身が演じるキャラクターについて、現時点での印象をお聞かせください。
佐伯:千切の第一印象としては、美しい人だなと。他のキャラクターにも通ずることでもありますが、野心が強く内に持ったものが熱い人物でもあります。どことなく読めないキャラではあるので、台本をいただいてから自分なりの千切を作っていきたいです。
佐藤:蜂楽くんは、オンとオフの差が激しいキャラだなというのは感じています。皆でミーティングしているシーンではひとり寝ているけど、試合になるといろんなプレーで楽しませてくれる。身体能力が高いキャラなのでプレッシャーもあるんですが、稽古までに近づけるよう努力していきたいです。
竹中:最初は皆の圧に押されていて「潔、大丈夫かな?」って思ってたんですけど、回を追うことエゴに目覚めて覚醒していって……最近は、だんだん言葉遣いが悪くなっていますね(笑)。僕は性格の悪い主人公が好きなので、ぜひこのままいってほしいです!
ーー現役プレイヤーから見た『ブルーロック』の魅力は?
神田:ストライカーの物語というところに驚きました。(実在するプレイヤーである)僕らがサッカーにおいて大切にしているエゴの部分が、漫画でも描かれていて心に響きました。「自分が勝負を決めるんだ」「チームを勝たせる選手になるんだ」という思いは僕たちも実際にすごく大事にしていますし、『ブルーロック』から勉強させてもらっているところでもあります。
ーーチームスポーツのなかのエゴをテーマにした作品。役者として、舞台を作る際はどんなエゴが?
竹中:自分がどう評価されるかというより、作品がいい評価を受けることが重要だよね?
佐藤:例え自分がかっこよく見せられるシーンであっても、物語の焦点じゃないのなら抑えるかもしれないですね。
佐伯:もちろん個性は絶対あったほうがいいんですけどね。
竹中:ピンスポ(ピンスポット)の独白とか苦手。
佐藤:めっちゃ緊張するよね。でも今回、いっぱいあるんじゃない?
竹中:役に入っていたら大丈夫なんだけどね。もし自分自身としてあの場に立つとしたら嫌かも。「僕なんかが目立ってごめんなさい」ってなる。
佐伯:どんな作品でも、役者同士は仲間でありライバルという関係は何があっても変わらない。エゴと協調性の塩梅を見ながらお仕事しているのかもしれないです。
ーー俳優陣へエールをお願いします。
神田:自分も読んでいる作品ですし、舞台を楽しみにしています。舞台の世界のことはあまりわからないですけど、きっと難しいことやうまくいかないことがたくさんあるはず。僕たちもサッカーでよくあります。楽しみにしている人っていうのはたくさんいるので、いい作品ができるのを楽しみにしています!
竹中・佐藤・佐伯:ありがとうございます!
ーー最後に、公演に向けて意気込みをお願いします。
佐伯:サッカーをやってみて、チームワークというものの大事さをすごく感じました。まだどんな舞台になるかはわかりませんが「皆で熱い作品を作る」を目標にお届けできるよう精進します。
佐藤:実際に(競技を)やっている方から見ると気になってしまう部分もいろいろあるはず。説得力を出すためには、僕らがいかに頑張れるかどうかだと思っています。本番までにちょっとでも一流に近づけた状態でお届けできたら。僕らも楽しみにしています。
竹中:青空の下で運動するのって、気持ちいいですね。協調性が大事な“舞台”で、テーマが“エゴ”というのは矛盾していて面白い。まだ稽古は始まっていませんが、どういう作品になるんだろうとすごくワクワクしています。今日教えてくださったエリース東京の皆さん、楽しみに待っていてくれるお客様が「いい作品だった」と思ってくれるように頑張りたいです。
衣裳協力:DESCENTE UMBRO
取材・文・撮影=潮田茗

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