中1で全国第1位! 期待の高校生ヴァ
イオリニスト・大岩宝新にインタビュ
ー~名器・1669年製ヤコブ・スタイナ
ーと挑む本格リサイタル

中学1年生にして全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会で第1位を獲得し、サントリー芸術財団より1669年製ヤコブ・スタイナーの名器を貸与された、ヴァイオリニストの大岩宝新(おおいわ・たから)が、浜離宮朝日ホールでのリサイタルに挑む。現在、高校1年生の大器に話をきいた。
――音楽を始めたきっかけを教えてください。
小さいときにヴァイオリンのおもちゃでよく遊んでいたのですが、家の前に音楽教室ができたのをきっかけに、3歳からピアノ、4歳からヴァイオリンを習い始めました。どちらかというとピアノがメインでしたが、小学校3年生のときに、将来、音楽をやっていくにはどちらか一本に集中した方がよいということで、ヴァイオリンを選び、本格的に練習するようになりました。
石崎俊子先生に基礎を教えていただき、現在は、東京藝大ジュニア・アカデミー(註:2019年4月から22年3月まで在籍)から継続して、山﨑貴子先生、玉井菜採先生、高橋奈緒先生にご指導をいただいています。
――どうしてヴァイオリンを選んだのですか?
ヴァイオリンの方が好きだったからです。ヴァイオリンはとても繊細で、ちょっとの力を変えるだけでいろいろな音色が出せます。腕の角度や弓にかける重さを変えると音色が全然違ってくるところが面白いと思います。
――ヴァイオリニストになろうと思ったのはいつからですか?
小学校4、5年生の頃は、コンクールに出てもなかなか結果が出ませんでしたが、6年生になってから少しずつ嬉しい評価をいただけるようになって、ヴァイオリンの奥深さにも気づき、その頃にはヴァイオリニストになりたいと思っていました。
――中学1年生で、全日本学生音楽コンクール中学校の部の全国大会で第1位を獲得というのは、すごいことです。
中学1年のときに全国第1位になり、名器特別賞もいただいて、サントリー芸術財団からヤコブ・スタイナーの楽器を貸与いただきました。中学2年の夏から3年間です。最初はヴァイオリンの音色が自分のものになっていませんでしたが、1か月と少しで馴染むことができて、今では体にしっくりくる感覚があり、とても弾きやすいです。
――今は高校生なのですね。
練習時間をしっかり確保することと、語学の勉強のためや海外のセミナーに参加しやすいように、通信制の高校に在籍しています。
今年の夏は、フランスでセミナーを受けてきました。スイスの国境に近いところで開催されているムジークアルプ夏期国際音楽アカデミーです。講師として参加されている玉井菜採先生に誘っていただきました。
ドン・スク・カン先生ら、外国の先生方にもご指導いただけたのが良い経験になりましたし、ヴァイオリンの技術についてもたくさん教わりました。曲はサン=サーンスの「ロンド・カプリチオーソ」やパガニーニの「カプリース」第20番などでした。クラスの後で、ホテルに近い湖の畔のホールでの演奏会にも出演しました。
――今回のリサイタルのプログラムについてはどのように決めましたか?
先生に相談させていただきながら、自分の好きな曲を選びました。選曲する際に、クラシックを初めて聴く方でも楽しんでいただけるような、親しみやすい曲を意識しました。
――まずはモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第28番ですね。
もともとモーツァルトのヴァイオリン・ソナタが大好きで、いつかこのソナタを弾いてみたいと思っていました。旋律がきれいで、和音の進み方も好きです。調が変わることで、ヴァイオリンの音色の深さが出せるのが好きですね。和音の進行が不思議で面白く、普通の作曲法とは違うことをしているのに自然に聴こえるのがすごいと思います。
――グリーグのヴァイオリン・ソナタは有名な第3番ではなく、第1番を選びましたね。
自分はヘ長調が好きなので、第1番を選びました。3つの楽章があって、第1楽章、第2楽章、第3楽章と、ストーリーが続いていく感じが好きです。民族的な要素があふれる曲で、和音の進行にロマンや物語を感じます。
――パガニーニの「24のカプリース」のなかから第20番を選んだのはどうしてですか?
まず、冒頭の美しい旋律がとても素敵だなと思いました。途中、トリルの連続に入ったところは、高度な弓の技術が試されます。
――サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」はいかがですか?
冒頭の哀愁漂うメロディが好きです。スペイン風の要素が感じられ、次々と目まぐるしく曲が進んでいき、とても熱いものが感じられる曲だと思います。
――今回のリサイタルへの抱負をおきかせください。
東京の大きなホールでの本格的なリサイタルは初めてです。協奏曲では、今年5月に第一生命ホールでの東京ヴィヴァルディ合奏団の演奏会で、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番を弾いたことがあります。
今回のリサイタルでは、本当にたくさんの人に助けていただいています。ヴァイオリンをとおして、人との縁や輪が広がっていくのを感じて、とても幸せだなと思っています。みなさまに感謝と愛の気持ちを込めて、喜んでいただけるように演奏できればと思います。
取材・文=山田治生 撮影=池上夢貢

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