【まるり インタビュー】
この曲の歌詞には
そのままの自分が投影されている
この曲を歌うなら、
まずは自信を持たないといけない
そこから2カ月も経たないうちに、新曲「星のタイヨウ」がリリースされました。最初に話したように、今作はドラマ『壁サー同人作家の猫屋敷君は承認欲求をこじらせている』の主題歌になっていますが。
最初はスタッフさんからこのドラマの主題歌を探しているというお話を聞いたんです。その時点では私の曲で合いそうなタイプのものがなかったから“作ろう!”と思って、そこから3日ぐらいで仕上げました。そうしたら歌詞を気に入っていただけたみたいで、仕事中にマネージャーさんから“主題歌に決まったよ!”と言われて、びっくりして大きい声を出してしまって(笑)、すごく自信になりました。まるりとしては3曲目ですが、全部自分で作詞したのはこの曲が初めてなんです。なので、コンペに出す時は不安な気持ちがあったけど、さらに作詞が好きになりました。
歌詞はどういうテーマで書いたのでしょう?
原作を読ませていただいて、主人公のひとりの猫屋敷守くんの心情が自分の過去と重なる部分があったので、“これで書きたい”と思ったのが最初でした。《こんなはずじゃなかったんだ》ってところから書き始めて、やっぱりみんな“こうなりたい”っていう理想を持っていると思うんですよね。その理想と現実に矛盾が生じるから気分が暗くなる。でも、それってないものねだりなのかもしれないなと。例えば、友達に“私はこういうふうになりたんだよね”と話したら、“いやいや、まるりにはこういういいところがあるじゃん”と言ってくれたり、自分には見えてないけど、人から見たら魅力的な部分があるんだと。この曲を書きながら、“これを歌うんだったら、まずは自分が自信を持たないといけないな”と思いました。
確かに、自信のないまま歌ったら伝わるものも伝わらなくなってしまいそうな気が。
はい。歌詞はめっちゃスラスラ書けたんです。それはこの歌詞に自分が詰まっているというか、そのままの自分が投影されているからなのかなって。“あなたにはあなたが輝ける場所があるから比べなくていいよ”と言いたくて、その場所は私にとってはステージの上だと思っています。ステージで歌っている時の写真を見て、“キラキラしているな”とか“あっ、こんな表情ができるんだ!?”って思うことがあるので。
レコーディングはどうでしたか?
ミックスとマスタリングとかをやってくれたのは、ユニット時代からたくさんの楽曲を手掛けてくださっている方なんです。安心できる環境が整っていたので、いつも以上に声が軽く出ました。この楽曲自体も全体的に可愛らしいというか、幼少期に読んだ絵本のような世界観なので、声を張るよりも、癒されたり聴いていてやさしくなれる楽曲を目指しました。完成した曲を聴いた時は、思わず涙が出てしまいました。私が書いた歌詞がちゃんと作品になったという嬉しさもありましたし、感情があふれちゃったんです(笑)。
MVの撮影はどうでしたか?
私は合唱団を12年間やっていたんですけど、この楽曲でフォーカスしてる男の子と、合唱団をやっていた時の自分に似たところがあったので、ちょっと子供っぽい感じにしたかったんです。大人にだけ届けたいわけじゃなく、幅広く、聴いてもらう層を限定しない感じというか。なので、あえて現実感がないようなファンタジックな仕上がりになっています。雲の上から歌いかけているイメージですね。
「星のタイヨウ」はそんなMVの雰囲気も含めて、「ホントの私」とはまた違ったタイプの曲になりましたね。
そうですね。だいぶ違う感じにしたので、もっともっと届いてほしいです。そんな想いもあって、最近は路上ライヴもやっています。音楽には癒す力があると思っているので、とにかくたくさんの方に届いてほしいです。どうやったらより多くの方に届けられるのか、模索中ですね。
ソロの活動での今後の目標や理想みたいなものはありますか?
私自身が好きだったアーティストが浜崎あゆみさんや西野カナさんのように“歌姫”と呼ばれている方だったので、理想像は私も歌だけじゃなくて存在自体が注目されて、みんなを癒す“令和の歌姫”と呼ばれる感じになれたらなって。時代を作るじゃないですけど、そういう存在に憧れます。
これからの新しい挑戦を含めて、いろいろと楽しみにしています。
ありがとうございます!
取材:田中隆信