【明田川進の「音物語」】第66回 「
グイン・サーガ」の豪華な配役、植松
伸夫さんとの初打ち合わせ

 僕はある時期から音響監督の仕事は息子の仁(※明田川仁氏)に任せ、自分から進んでやることはなくなりました。その時期に担当した作品のひとつがテレビアニメ「グイン・サーガ」です。引き受けた経緯はよく覚えていなくて、「銀河英雄伝説」のOVAと同じように長い小説が原作で、キャラクターの数が多い作品だからということで自分に話がきたのかもしれません。
 栗本薫さんの原作小説は話をもらってから読みました。ただ、僕の仕事としては実際に映像化されたものをもとに、どのような世界にしていくかを考えていくことにしました。キャスティングも同様で、とくに主人公のグインは顔が人間ではありませんから、映像のなかで声をどう表現するかは原作サイドに確認をとりつつみんなで検討し、最終的に堀内賢雄さんにやっていただくことになりました。声優が多く出演する会話劇という点ではOVA「銀英伝」と似ている部分があって、配役は「銀英伝」のときと同じように豪華な方々になりました。石塚運昇さん(※マルス役)など、僕がいつもお世話になっている人にも多くでていただいています。
 ナリス役の内田夕夜さんは、当時俳優座で芝居をしながら外画の仕事をやられていて、アニメの仕事は多くありませんでした。その後、声の仕事をメインにやられるようになり2021年には俳協に移られています。「グイン・サーガ」では芝居心のあるいい声でやっていただきました。
 ゲーム作曲家として有名な植松伸夫さんを音楽に起用したのはメーカーサイドでした。自由が丘にある居酒屋で最初の打ち合わせをして、そこでいろいろお話させてもらったのを覚えています。植松さんにとって初めてのアニメ劇伴の仕事で、ノッてつくってくださったのではないかと思います。曲づくりはこちらから音楽メニューをだし、こういう感じでお願いしますと1曲1曲ずいぶん話し合いをしました。もしかしたら植松さんはアニメではこんなに細かくやるのかと思われたかもしれませんが、そういう話ができたからこそ良かったことも多かったように思います。「グイン・サーガ」の音楽はオーケストラの生録音にしたら作品の世界観がでるのではないかと提案したらメーカーさんが了承してくれたのもうれしかったです。
 栗本薫さんは体調がよろしくなかったため、僕が直接お話したのは一回ぐらいでした。会社の社長でもある旦那さんの今岡清さんとは打ち合わせでよくお話させてもらい、収録にも立ち会われていました。栗本さんは亡くなられる前にアニメをご覧になって喜ばれていました。

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