満員4000人の観客が『のだめ』の音楽
を堪能!~茂木大輔指揮 のだめオー
ケストラ×石井琢磨・亀井聖矢『のだ
めクラシックコンサート』開催

2001年に講談社「Kiss」で連載をスタートし、昨年から20周年を記念して毎月コミック新装刊を発刊してついに第13巻まで完結した、二ノ宮知子原作の『のだめカンタービレ』。20周年を締めくくる企画として、東京ソラマチ(R)5階スペース634で『のだめカンタービレ展』が2022年10月23日(日)まで開催されているが、10月16日(日)には、もうひとつの周年企画『のだめクラシックコンサート』が渋谷のBunkamuraオーチャードホールにて昼夜2回公演が行われた。
満員の観客4000人が『のだめカンタービレ』の音楽を堪能。28日(金)夜には、ソリストを一部入れ替えて、サントリーホールでの公演が開催される予定であり、こちらの公演はStreaming+での生配信も予定されている。3公演で合計6000人の『のだめカンタービレ』ファンが来場する計算となるが、この公演、予約申込数が1万人を超えたそうなので、生配信が最終公演で実施されるのは、チケットをゲットできなかったファンには朗報と言えるだろう。
1公演を残し、生配信を楽しみにしている皆様もいらっしゃる中なので、ここまで演奏曲や演者までも全てを発表することなく神秘のヴェールに包まれてきた公演内容を、主催者の許可が出た範囲でお伝えする。本公演を謎のままお楽しみになりたい方は、この記事を読まずに是非当日を迎えていただきたい。何の曲を誰が弾くのか、知った上で当日臨みたいと思っていらっしゃる方々にかぎって目を通していただきたい。
>次頁より公演内容を紹介!
※以下、プログラム等公演内容のネタバレあり。
原作漫画を使った映像によるイントロダクションのあと、一曲目に演奏されたのは、もはや『のだめカンタービレ』の代名詞となったと言える、ベートーヴェンの「交響曲第7番」の第1楽章。千秋真一が初めて仲間のオーケストラを指揮したときの曲であり、2006年のドラマ・シリーズではテーマ曲に。ベートーヴェンの交響曲の人気ランキングを変えた曲である。演奏は、コミックの初期から音楽まわりの監修を手掛けてきた茂木大輔が指揮する、「のだめオーケストラ」である。
「のだめオーケストラ」は、2006年のドラマ制作時にその音楽録音とドラマ内での実際の演奏シーンを担うために、当時大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサート・マスターであった長原幸太を中心とした、20代の演奏家たちをオーディションで集めて結成したオーケストラであった。今回のコンサートにあたっては、コンサート・マスターの長原幸太はもちろん、当時オーケストラに参加したメンバーを集めつつ、『のだめカンタービレ』で育った現在の20代の演奏家たちも参加してオーケストラが編成された。長原は現在読売日本交響楽団のコンサート・マスターであるが、かつての「のだめオーケストラ」のメンバーも多くが、ソリストや各地のオーケストラで活躍しているメンバーばかりである。16年の歳月を感じさせない、まとまりとクオリティを感じさせる演奏には誰もが驚いたはずである。チェロの首席である金子鈴太郎も「昔も寄せ集めたオケではなく、ひとつのチームみたいにやらせてもらっていた」と語る。
古部賢一
2曲目には、『のだめカンタービレの音楽会』で、茂木と息の合ったオーボエの古部賢一が登場し、モーツァルトの「オーボエ協奏曲」の第1楽章を披露。日本を代表するオーボエ奏者による、オーボエ協奏曲の代表曲が聴ける贅沢。優しく美しいオーボエの響きがホール全体を包み込んだ。
前半のトリを飾ったのは、ピアニストの石井琢磨。YouTubeチャンネルのフォロワー数が20万人を超え、9月にリリースしたCD「TANZ」がオリコンチャートで第1位となった彼は、コミックでもおなじみのマングースの着ぐるみとともにステージに登場した。「夢がった」と自身も表現した、ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」を、茂木大輔指揮の「のだめオーケストラ」と熱演。初挑戦とは思えない、堂々たる演奏で満員の観客を感動の渦の中に巻き込んだ。28日のサントリー・ホール公演では、ジャンルを飛び超えるピアノ・プレイで世界を驚嘆させているピアニスト=角野隼斗が登場し、石井とはまた違ったプレイを聴かせてくれるのも楽しみなところだ。
石井琢磨
休憩の後に登場したのは、今年マリア・カナルス、ヴァン・クライバーン、そして来月にはロン・ティボーという3つの国際コンクールに挑戦して、世界中のクラシック・ファンを驚かせたピアニスト亀井聖矢。『のだめカンタービレ』の連載開始した2001年に生まれたという亀井は、20歳とは思えない、超絶技巧と成熟した表現で、ラヴェルの「スカルボ」(「夜のガスパール」第3曲)をソロで披露。圧巻のパフォーマンスのあとに、茂木大輔とともに再登場し、ミルヒと千秋の共演を思わせる、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」第1楽章で、見事にオーケストラと息の合った共演を果たした。ここまで、豪華で実力のあるソリストたちが続々と登場するのも、「のだめカンタービレ」だからできることなのだろう。
亀井聖矢
そして、再びベートーヴェンの「交響曲第7番」の中から第4楽章を演奏し、「のだめオーケストラ」が日本、いや、世界でも有数のオーケストラであることを再確認させられた。ラストは、新装刊最終第13巻で新たに書き加えられたシーンと関連した音楽が披露され、静かな感動の中でコンサート本編は終了となった。何の曲が登場するのか、公演もしくは生配信を楽しみにしていて欲しい。そして、鳴りやまない拍手に応えて、演奏されたアンコールは……。ここは是非28日を心待ちにしてもらいたい。
観客を全員巻き込んでのアンコールは、これがクラシックコンサートなのか?と感じるほどに、楽しく興奮した空気の中で終了した。楽屋裏でも、全てのソリストやオーケストラ・メンバーが「楽しかった~」と言いながら、笑顔を交わしていたのが印象的であった。
取材・文=神山薫

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