L→R MASAKI(Ba)、KENTARO(Gu)、NoB(Vo)、JOE(Dr)

L→R MASAKI(Ba)、KENTARO(Gu)、NoB(Vo)、JOE(Dr)

【DAIDA LAIDA インタビュー】
10周年を飾るアルバムは
新曲と昔の曲というハイブリッド形態

余裕を持ってライヴをやれるくらいに
収めようということがテーマだった

続いて、『一閃』のプレイ面について話しましょう。今作を録るにあたって、それぞれプレイや音作りなどでこだわったことは?

JOE
さっきも話したように、最近は支えたい気持ちが強くなってきていて。初期の頃はどんどん難しいことをやっていかないといけない意識があって、ライヴになると余裕がなかったりしたんです。なので、もっと楽しめるにはどうしたらいいかと考えて、手数を減らしたり、必ずユニゾンするのをやめたりするようになったんですね。だから、“余裕を持ってライヴがやれるくらいに収める”というのが、僕の中では今回のテーマとしてありました。

その結果、スケールの大きさを感じさせるドラムになっていますし、「Liar~真実の唄~」や「鉛色の咎」など、“ここぞ!”という場所でテクニカルなフィルをガンガン入れるのも絶妙です。

JOE
ありがとうございます。そういう場所は“ここは自由に叩いてほしい”という指示があって自分でフレーズを考えるんですけど、ギターとベースが前面に出ているので、ドラムもそこに一緒に乗っているような感じを出すという考え方でした。最初にフレーズを完全に決め込みましたけど、もっと分かりやすくしようという気持ちになったんですよね。僕はドラムをやっている人とかに“あのフィルはどうなっているんですか?”と訊かれることがよくあって、手順を教えると“普通はそこにいかないですよ!?”と言われるんです。で、“もっと分かりやすくしてもいいんじゃないですか?”と。ギターもベースもすごいプレイだから自分もそれに合わせないといけないと思っていたけど、そういうわけでもないんだなと気づいたというか。なので、少し分かりやすいフレーズにしたりしました。そんなドラマーとして特に印象の強い曲を挙げるとしたら、「DAIDA LAIDA~魂の唄~」ですね。一番最初にできた曲だから思い入れもあるし、いい感じのドラムが叩けていると思うし。今回、KENTAROのギターになったバージョンを入れることができて嬉しいです。
MASAKI
ベースはいつもどおり“MASAKI節”を曝け出すことを目指しました。DAIDA LAIDAは往年のDeep Purpleみたいに、ギターソロがきて、キーボードソロがきて、歌に戻るみたいな感じで、必ずギターとベースのソロが入るというのが方程式になっているんです。なので、全曲にベースソロがあるという。それは他で聴けないものだし、自分たちの個性になっていると思います。今回だと、例えば「瑠璃色の空」はエンディングにベースソロがくるんですけど、その入り方のタッピングはちょっと今までにない味つけにしてみました。こういう音使いのタッピングはあまりやったことがなかったから、今回のアルバムならではのフレーズになったと思いますね。あと、「煉瓦色の涙」はちょっと特殊なスラップをしていて、スラップのようでスラップではないというか、タッピングでスラップしているんですよ。これを僕は“タップスラップ”と呼んでいます(笑)。

すごいことになっていますよね(笑)。それに、MASAKIさんのタッピングは音が非常にクリアーなのも注目です。

MASAKI
それはもう“ギターを抹殺したい!”という気持ちでタッピングしているから(笑)。

いやいやいやっ!

MASAKI
あははは。まぁ、それは音作りでしょうね。タッピングする時は、音が抜ける帯域を持ち上げて、あえてローを少し削った音にイコライジングしますし、ゲインも上げるんですよ。レコーディングの時はベースも替えますね。ベーシックは全部パッシブのベースで録るけど、タッピングの時はアクティブに替える。ライヴの時もマルチエフェクターを使って、そのつどそのつど音を切り替えています。

タッピングが聴こえなくて困っている人は、ぜひ参考にしてほしいです! ベースとギターの高速フレーズのユニゾンも多用されていますが、入れる場所はどんなふうに決めているのでしょう?

MASAKI
作曲者が決めています。
KENTARO
だから、MASAKIさんの曲はMASAKIさんが考えたフレーズが入っているし、僕が作った曲は僕の癖が顕著に出ていると思う。ユニゾンは曲を作っていく段階で入れようと思うこともあれば、出来上がった曲を聴いて、“ここはのっぺりしているから入れよう”と思う時もあるという感じですね。ギター同士でもそうですけど、人の手癖をコピーするのは難しいんですよ。なので、結構大変だったりします。まぁ、それはお互い様でしょうけど(笑)。
MASAKI
そうだね(笑)。今回はKENTAROの曲はユニゾンが多くない?
KENTARO
わりとそうですね。それもDAIDA LAIDAの個性だと思うから。昔はMR. BIGとかがいたけど、最近はそういうことをやるバンドはあまりいないじゃないですか。ずっとやり続けていたら、また次の波がくるんじゃないかと思って、僕らはやり続けています(笑)。

そのままギターのプレイについては?

KENTARO
僕はいつも特に“こうしてやろう、ああしてやろう”というのはないんですけど、あるとしたら“曖昧な音を出さない”ということですね。バッキングにしてもソロにしても、“弾いている圧”みたいなものを出していきたいので。そうすると、例え音量が小さくても伝わると思うんですよ。なので、そういうところは気をつけています。だから、ソロとかでも速弾きする時、何を弾いているのか分からないようなプレイはしないようにしていて。わりと力技でいっていますね。

強いピッキングで弾いているということでしょうか?

KENTARO
強いと思います。効率を考えたら軽めのピッキングで弾くのもありだと思うけど、僕らはずっとライヴを軸にした活動をしていて、軽いピッキングだとライヴで伝わりづらいんですよ。だから、僕は速弾きをするにしてもガツガツいくようにしています。

アタックが効いている速弾きは爽快感があって、聴くと気持ちが上がりますよね。それに、KENTAROさんのギターは速いだけではなくて、“泣き”やエモさがあるところが大きな魅力になっています。

KENTARO
そういう部分は大事にしています。チョーキングとかをする時、ピッキングの加減で音色が変わるじゃないですか。ワウを使わずにそういうことを表現できるようになりたいという想いもあって、ピッキングする角度を変えてフレーズに表情をつけたりすることが多いですね。エモさを出したいならゆっくり弾けばいいと言われるかもしれないけど、僕は癖でどうしても速弾きがどこかに入ってしまうという(笑)。なので、ゆっくり弾くところはよりエモーショナルに…ということを意識しています。

ヴォーカルはどうでしょう?

NoB
歌に関しては技術的なことで面白いことは話せないんですよね。特に何もないというか。

そんなことはないです! NoBさんの歌は情熱的だったり、アツかったりしますが、決して暑苦しくないというところが魅力的です。

NoB
それってどうなんだろう? 僕は昔からいわゆる“ザ・メタル”みたいなキャアーッ!という歌い方はしないタイプなんですよ。歌謡曲が大好きなので、自分にとってのアイドルは沢田研二さんとか西城秀樹さんだから、息の音とかをすごく大事にしながら歌っていて。それを40年以上やっているわけだから、もう最近は何も考えていなくて、自然体で歌うとこういう歌になるんです。ただ、強いて言うと、今回はさっきも話が出た「鳶色の月」は、ここまで抑えて歌ったのは自分のレコーディング史上初めてかもしれない。録音のレベルを上げて、マイクに口を近づけて囁くように歌うという。そういう歌唱もそろそろやっていきたいという想いがあったので、いいタイミングに、いい曲がきたと思いましたね。あとは、こだわりというか、コーラスは全部自分でやるようにしています。普通にハモるだけじゃなくて、遊び心をいっぱい入れながらコーラスを考えるのが好きで、いつも楽しくやらせてもらっていますね。

確かに凝ったコーラスも本作の聴きどころです。

NoB
DAIDA LAIDAを10年やっていると、“もうふた周りしたかな?”というくらいコーラスのアイディアが出尽くしてしまって。だから、今回から3周目という感じでした(笑)。持っている知識とスキルを全部出しきっているから、“鼻血も出ません!”というところまでいってしまう時期があって、それでちょっとシンプルにしようという時期があって、また凝るようになって…ということを繰り返しているんですよ。今回はいろんなパターンを試しましたね。

苦しい時も人任せにしないのはNoBさんらしいです。さて、『一閃』は10周年を飾るに相応しい上質なアルバムに仕上がりましたし、さらに本作を携えた全国ツアーも始まっています。

MASAKI
今回のツアーは“10周年”というタイトルを冠していますが、とはいえレコ発ツアーなので、『一閃』の曲は全曲演奏します。そこにプラスαで他の曲を入れ替えながらセットリストを組んでいて、場所によっては“前夜祭”“後夜祭”と銘打った2デイズの日もあるので、そういう時はアコースティックもやったり。そうやって表情を変えながらやっていきたいですね。それこそ全部のライヴを観ても楽しんでいただけるようなツアーになると思うし、ぜひ何度でも足を運んでほしいです。
NoB
僕はもう寄る年波で、ツアーは自分との戦いです(笑)。だって、ヴォーカリストはアスリートと一緒じゃないですか。いかに効率良く無駄な力を抜いて、必要な瞬間に力を入れるというテクニックを発動できるかという。そうじゃないと2時間のステージは持たないから。でも、だからって自分のスタイルを変えたいとは思わないんですよ。ピッチャーでも速球派として世に出たあと、変化球投手にスタイルを変えたりすることがあるけど、自分は剛速球を投げ続けて、投げられなくなったら終わりたいと思っている。今回のツアーもそういう意識で臨んでいて、それを体感しにきてもらえると嬉しいです。
KENTARO
今度のツアーはしばらくライヴに行っていない人に来てほしいと思いますね。もう海外ではノーマスクでライヴをやったりしているけど、日本はまだまだ先になりそうな感じだけど、来場されたみなさんが不快にならないガイドラインとかがあって、それに沿ったかたちでライヴをするので安心して来てほしいですね。自分たちはそういう中でできることを全力でやるので。最初は僕らもお客さんが椅子に座って黙って観ていることに違和感があったけど、この2年くらいでそれにも慣れて、テンションを上げられるようになったんです。なおかつ、今後状況が良くなって、みなさんが立ったり、声を出したりできるようになったら、絶対に以前よりも楽しいライヴになると思うんで。今回のツアー中にそうなるといいけど、そうならなかったとしても、その先にいいかたちでつなげられるものにしたいと思っています。
JOE
ツアーでは疲れを一切見せたくないですね。そういう姿を少しでも見せると、ライヴを楽しんでくれているお客さんの気持ちに水を差すことになってしまうから。このバンドは本当に集中力が必要で、どうしても疲れてしまう部分があったりするけど、今回のアルバムは余裕を持たせている部分があるので、いい感じでいけると思いますね。ライヴを楽しみたいし、楽しんでいる姿を観てほしい。そういうスタンスで臨んで、来てくれた人がまたさらにDAIDA LAIDAに興味を持ってもらえるようなツアーにすることを目指します。

取材:村上孝之

アルバム『一閃』2022年9月7日発売 Walküre Records
    • 【Deluxe Edition】(2CD)
    • WLKR-0066〜7
    • ¥4,620(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • WLKR-0068
    • ¥3,300(税込)

ライヴ情報

『DAIDA LAIDA結成10周年ツアー』
9/14(水) 東京・両国SUNRIZE(公開ゲネ)
9/16(金) 愛知・鶴舞Music Bar Perch(名古屋前夜祭)
9/17(土) 大阪・心斎橋VARON
9/18(日) 大阪・心斎橋VARON(大阪後夜祭)
9/19(月) 愛知・名古屋HOLIDAY NEXT NAGOYA
10/07(金) 北海道・札幌HOT TIME(札幌前夜祭)
10/08(土) 北海道・札幌SPiCE
10/09(日)〜10/10(月) 北海道・札幌宿泊イベント
11/05(土) 東京・吉祥寺CLUB SEATA

DAIDA LAIDA プロフィール

ダイダ・ライダ:NoB(Vo/OSAMETA、URUGOME、MAKE-UP、Project.R、ex.P.A.F)、KENTARO(Gu/MAZIORA THE BAND、ex.Gargoyle)、MASAKI(Ba/CANTA、地獄カルテット、ex.ANIMETAL、ex.SHY BLUE、ex.JACKS’N’JOKER)、JOE(Dr/the CYCLE、DASEIN、ex.SEX MACHINEGUNS)という屈指のプレイヤー4人によるロックバンド。2011年に結成され、17年に現体制となった。12年3月に1stミニアルバム『風と獅子と罪と魂』をリリースし、22年9月には結成10周年記念作となるアルバム『一閃』を発表。DAIDA LAIDA オフィシャルHP

「 象牙色の嘘」MV

アルバム「一閃」ダイジェスト試聴

OKMusic編集部

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