[Alexandros] の『But wait. Tour?
2022』、アリーナツアーへと続く道の
りの出発点を目撃した

But wait. Tour? 2022 2022.7.16 札幌文化芸術劇場 hitaru
8thアルバム『But wait. Cats?』をリリースした[Alexandros]の全国ツアー『But wait. Tour? 2022』が、7月16日、札幌文化芸術劇場 hitaruにて開幕した。オリジナルアルバムのツアーは『Sleepless in Japan Tour』以来約4年ぶり。ファンもメンバーもこの日を待ち望んでいたことだろう。観客に「来てくれてありがとう」と伝えるとともに「(自分たちも)ずっと来たかったんだなあと思いますね」と噛み締めたのは川上洋平(Vo/Gt)。磯部寛之(Ba/Cho)の「アルバムのツアーが始まるって感慨深いね。みんな本当にありがとう。楽しいね! 楽しんでこうね!」という言葉に白井眞輝(Gt)、リアド偉武(Dr)も頷いていた。
【※以下のテキストには、一部演奏曲名の記載があります。あらかじめご理解の上お読みください】
現在開催中の『But wait. Tour? 2022』は、[Alexandros]にとって初の全国ホールツアーだ。しかし、ホールだからといって[Alexandros]が大人しいライブをするわけがない。「4人でスタジオに入って、“カッコいいリフ、カッコいい曲だけを作ろう”と言いながらセッションして出来上がった」というアルバム『But wait. Cats?』の性質に、ツアー初日特有のテンションが掛け合わさることで生まれた“何度目かの初期衝動”が、この日の彼らを突き動かしていた。[Alexandros]の中でも特にテンポの速い曲は、音源よりもさらに速いテンポで演奏されていて、メンバーの前のめりな感情が伝わってくる。走り出しからバンドの熱量は高く、選曲も相まって早速訪れるぶち上がり必至の展開。この日初めて暗転した時に起きた熱い拍手からは、観客の興奮が伝わってきた。
次々と曲が演奏され、絶え間なくハイライトがやってくる濃密な構成。川上、磯部、白井、リアド、それぞれが渇望とともに過去の自分を超えようとしているという前提の上で、4人の音がかち合いながら、一つの生き物になっていくのが[Alexandros]のライブであり、ステージ上でずっと火花が散っているのがスリリングだ。鳴っている音のみならず、映像・照明演出も生々しい。時にはスタッフがハンディカメラを手に、客席にせり出たところで演奏する川上、磯部、白井の姿を追っている。そんなライブの中心にあるのは、もちろん音源通りには演奏されない即興芸術としての「Aleatoric」、ハッとするような静寂ののちに衝動を解放させる「Baby's Alright」、バンドのダイナミックなグルーヴを堪能できる「クラッシュ」といった『But wait. Cats?』収録曲。
“理屈で考えるな、本能で動け”という『But wait. Cats?』のモードは現在のバンドのモードとイコールであり、もっと言うと、彼らがロックバンドに熱中する理由、ロックバンドとしてライブをやる理由の根源にあたるもの。だからこそ『But wait. Cats?』の曲はライブで聴くのが最高だというのは想像に難くないだろう。また、アルバム収録外の曲もフィジカル剥き出しの『But wait. Cats?』的なアレンジでリニューアルされている。例えば、とある曲をEDM調にアレンジしつつ、しかしどこまでも肉体的な演奏で聴かせたシーンは今の[Alexandros]らしいものだった。
なお、今回のツアーでは『But wait. Cats?』収録曲はもちろん、過去作からの曲も多数披露されている。川上曰く、『But wait. Cats?』は11曲入り38分と尺が短いため、曲数を増やしていったところ、最終的に膨大な曲数になったそうだ。その結果、このバンドの音楽的な多面性を包括したセットリストになっているのが興味深い。そういう意味ではこれから初めて[Alexandros]の音楽に触れる人にうってつけのツアーになっているし、事前インタビューで川上が「新曲と昔の曲を繋ぐなかで“やっぱりうちらは同じバンドなんだな”と確認できているのも面白い」と話していた通り、バンドの活動を追ってきたファンにとっても面白いツアーになっているのではないだろうか。
札幌公演のMCでは、ライブ前にとうきびワゴンで買ったとうもろこしやじゃがバターを堪能したと話していた4人だが、今回のツアー、初めてライブしに行く土地や久々に行く土地を中心に巡るだけに、全国各地を訪れること自体が楽しみなのだろう。そしてメンバーが何よりも楽しみにしているのは、その土地々々のオーディエンスと今この瞬間限りのライブを作り上げること。だからこそ川上は「いろいろなことあると思いますが、今日という日は、この時間だけは、心の底から楽しんで、全部ぶつけてください」、「今日は我々と一緒にバンド組みませんか!」と投げかける。「札幌、心で歌ってくれ!」と呼びかけた「閃光」では自身も腹の底から声を出し、精魂を注いで歌う。声は出せないが、思い思いの形で音楽を楽しむ観客を前に「(札幌は)ロックの文化が根付いていて、みなさん、どんな状況だろうと楽しめることを分かってる。素晴らしいことだと思います。ステージから見えるみなさん、すごく素敵な笑顔です」と川上。だからこそ「2デイズやりたかったね」(川上)、「やりたかったね!」(磯部)なんてやりとりも自然と飛び出した。
そうしてライブを終えると、「ちょっくら旅に出てきます!」(川上)とステージを去った[Alexandros]。バンドの演奏は今後公演数を重ねる中でさらに研ぎ澄まされるだろうし、その先にあるオーディエンスとのコミュニケーションもさらに熱いものになっていくだろう。そんな確信とともに始まった『But wait. Tour? 2022』。16都市17公演をまわるこのツアーを経て、[Alexandros]の旅は東名阪アリーナツアー『But wait. Arena? 2022 supported by Panasonic』へと続いていく。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=河本悠貴

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