EXiNA 2nd Single「ENDiNG MiRAGE」
インタビュー「やりたいことが段々と
見えてきた。それが一つの形となった
のが今回の楽曲」

西沢幸奏のソロプロジェクトとして2019年にスタートしたEXiNA。本プロジェクトの2nd Single、TVアニメ『終末のハーレム』エンディング主題歌「ENDiNG MiRAGE」のリリースが決定した。これまでのエレクトリカルロックのイメージから次なる一歩として踏み出した今回の楽曲に彼女が込めた想いはどんなものだったのか。そしてTVアニメ『終末のハーレム』をいかに読み解いたのか。EXiNAがどこを向いているのか、どこを目指しているのかを訊けた今回のインタビューをぜひ確認して欲しい。
■全力で自分がやりたいことを今回の楽曲を詰め込んでいる
――昨年リリースとなった「DiViNE」から半年と少しが経ち、今回の新曲「ENDiNG MiRAGE」がリリースとなります。この期間の活動についてまずはお聞きしたいのですが、どのように過ごされていたのでしょうか?
追い風が吹いているのを感じることのできた期間でした。今回の楽曲リリースもそうですし、2021年の年末には久々のライブもやらせていただけてすごく充実しています。まだこれから発表になることもたくさんあるので楽しみにしていて欲しいです! 私自身は早く言いたくてウズウズしています(笑)。
――発表を待つ側としても楽しみです。先ほどおっしゃっていた2021年の年末のライブは久々とのことでしたが。
お客さんの顔を見て歌うのが本当に久しぶりで、すごく刺激になりました。収録したものを皆さんにお届けするということはしてきたんですが、やはりそれとは感覚が違うんです。ただ音楽を届けるのではなく、いかに熱量をお客さんに届けるかとか、どうやって会場を盛り上げるのか、そういうことも考えなければいけない。もういっぱいいっぱいでやった感じでした。
――やはりライブでしか感じられない空気があると。
ありますね。いやぁ、久しぶりで本当に緊張しました。
――以前のインタビューで、自分の中で見せたいライブのあり方が見えつつある、というお話もされていました。今回のライブでは、それを表現することができたという実感はあったのでしょうか?
どうでしょうね、自分なりのその時点のベストは出すことはできたのですが、改めてライブを振り返ってみると修正したいところが出てきたりもしていて。ここに関しては経験を積んで、その中で手探りで自分の理想を追いかけていくしかないのかな、とは思ってはいます。
――さらなる進化、理想に向かっていくと。今後のEXiNAさんの活躍に期待が高まりますね。
期待していてください! 一つ芯として、EXiNAは私が見たり聴いたりして一番楽しいものにするということを目指しているんです。それを皆さんに届けていければと思っていますので。
――確かに自分が楽しいと思えるものを届けないと聴いている人も楽しめない、ですよね。
そうですね、そこは絶対にブレてはいけないと思っています。自分が最高だと思っている曲を、自分が最高だと思える見せ方で見せる、それがEXiNAの目指すところですから。身体がもう一つあればそのステージを観客席から見ていたいぐらいです(笑)。
「ENDiNG MiRAGE」通常盤
――そんなEXiNAの届けたい音楽というものが、今回リリースされた「ENDiNG MiRAGE」にも詰まっているわけですね。
全力で自分がやりたいことを今回の楽曲を詰めています。荒さの残るギターのサウンド感、最高なんですよ。私が大好きなロックのサウンドの雰囲気をすごく感じるんですよね。
――すごくピンポイントに好きなサウンド感だと。
具体的にいうと、90年代後半から2000年代初頭ぐらいの、アメリカとかイギリスとかのロックのサウンド感。私の音楽のルーツってそこにあって、それを現代風にアレンジしたのが今回の楽曲という感じ。作曲をしてくれたKasho Daikiさんが本当に私の趣味をよく分かってくれているんです。
――そんな大好きなサウンド感を生み出してくれたKasho Daikiさんですが、今回初のタッグということですがどのような方なのでしょうか?
Kashoさんは、これまで『グランツーリスモ』シリーズの楽曲などを担当していて、漠然とかっこいいなとは思っていたんですよ。それが今回作曲お願いしたところ、本当に最高な物を作っていただけて。もうここまで私の好きなもの剥き出しの曲を作って本当にいいのかな? と不安にすら感じています。
――初タッグとは思えないほど通じ合えたと。今回歌い方もこれまでとは違っている印象でしたが、そういった歌い方もKashoさんからのディレクションだったのでしょうか?
はい、Kashoさんが私の声の新しい魅力を見出してくれた上で、今回ディレクションしてくださったんです。Kashoさん曰く、私の声の魅力はミドル帯にあるとのことなんです。それで今回これまでのEXiNA楽曲よりも音程が低い楽曲に仕上がっています。歌い方も肩の力を抜いて響かせるように歌っていますね。
――なるほど。そんな今回の肩の力を抜いた歌い方というのはやはり難しかったのでしょうか?
難しいですね、難しすぎてボイストレーニングを受け始める、というレベルで。
――今までボイストレーニングを受けたことがなかったと?
なんかボイストレーニング受けるとかロックじゃないと思っていたんですよね。今にしてみれば何言ってるんだか、って話ですけどね(笑)。
■『終末のハーレムは』は女性キャラクターの目線で見ると切ない物語

「ENDiNG MiRAGE」初回盤

――今回の「ENDiNG MiRAGE」はTVアニメ『終末のハーレム』のエンディング主題歌ですが、主題歌としての要素をどう入れていくか、作品の主題的に難しかったのではないかと思うのですが、いかがでしたか?
すごく迷いました。何せすごくセクシー、カラー版で読むとほぼ肌色みたいなところもありますから。
――やはり第一印象としてセクシーな部分に目が行きますよね。
勿論(笑)。でも読み込んでいくうちに、知らず知らずに登場人物たちに感情移入していて。それで、その時に感じたものを歌詞にすれば主題歌として良いものになるんじゃないかと思って今回作詞をスタートしました。
――なるほど。今回の歌詞から考えると、女性キャラクターに感情移入したと。
はい、やはり私も女の子なので女性キャラクターに感情移入してしまうんです。その目線で見ると本当に切ない話で。何せ出てくる女性キャラクターのほとんどが恋に破れるんですよ。もう前代未聞の失恋確率で……。
――『終末のハーレム』の失恋した側、女性キャラクターに寄り添った作品の感想を聞くのは初めてなのですごく新鮮です。
そんな新鮮な視点から、この作品のことを語って歌詞にしたらエンディングにバッチリだと思ったんです(笑)。なので、「ENDiNG MiRAGE」は失恋歌にしようと決めたんです。
――そういう意図だったんですね。そして「ENDiNG MiRAGE」には『終末のハーレム』にも寄り添っているMVも制作されていますね。
「ENDiNG MiRAGE」Music Video
本当にいいものが出来上がりました。女の子がセクシーな形で登場したり、女の子たちが意味深にマスクしていたり。撮影場所も世界の終わりを感じさせるようなザラついた感じの洋館。『終末のハーレム』っぽさもありながらEXiNAっぽさも感じさせる最高のバランスのMVになったと思っています。
――これだけ多くの要素が詰まっていながらまとまっている、素晴らしい映像だと思います。「DiViNE」のMVには「ENDiNG MiRAGE」から引き続き女子高生が登場しているのも印象的でしたがこれは意識されていたんですか。
そういえばそうですね! 完全に偶然なんですが、女子高生、やはり好きなんだと思います。女子高生の瞬間って人生の中で一瞬じゃないですか。だからこそ儚くてその年頃にしかない良さがあると思うんですよ。
――なるほど、ちなみにご自身が女子高生の服装をするという選択はなかったのですか?
オレンジ髪のグランジ好き女が女子高生っていうのもな、っていうのもあったので(笑)。あと、あくまでこの曲は私が語り手で、女子高生の皆さんを俯瞰して見ている立場なので私が女子高生にはなるわけにはいかないんですよね。
――あくまで語り手であり、曲の中に出てくる登場人物ではないと。
もしかしたらいつか別の機会に私が女子高生の制服を着ることもあるかもしれませんが、それは乞うご期待ということで(笑)。
■自分の音楽活動の原点を改めて記しておきたかった
EXiNA
――今回のシングルにはカップリングとして「CARPET」が収録されています。こちらはどういったコンセプトで制作したのでしょうか?
「CARPET」はペットとして飼われている生き物の心情を歌おう、というコンセプトで作っているんです。最初の「I'll give you all 」というのは飼い主のセリフなんです。「ここがお前の家だよ」って言いながら檻を用意してそこに閉じ込めてしまう。
――なるほど。かなり尖った視点から制作をスタートされていますね。てっきり失恋の歌かと思っていたのですが…。
そうとることもできますよね。いろんな角度から捉えることのできる歌にしたかったので嬉しいです! 彼氏に依存しすぎている女の子の気持ちにもあてはまるし、会社に依存して働きすぎている人の気持ちにも当てはまる。元々はペットの歌として作っていますが、聴く人それぞれ独自の楽しみ方で今回の楽曲は味わってもらいたいです。
――それだけ普遍的な歌詞に仕上がっているということですね。歌詞もすごく象徴的なワードチョイスだと感じたのですが。
特に「割れたグラスの破片を集めるような人生だった」って歌詞がうまく表現できたと思って自分でも気に入っています。他人に依存しすぎて、元々持っていたはずの自分を失ってしまう。それを取り戻そうとして破片を一生懸命集めているだけの人生だった、ということを描いているんです。
――なるほど、そしてそこに「溢れた私はもう居ない」と続く。
どんなに一生懸命、外見の破片を集めても中身として入っていた自分自身はどう頑張っても返ってこない。何かに依存している人全てに当てはまる状況を描けていると思うので、歌詞も存分に読んで味わってもらいたいですね。
――考察のし甲斐のある歌詞に仕上がっている、ということですね。そして今回初回限定版には「吹雪 -HiKiGATARi ver.」も収録されています。
自分の音楽活動の原点を改めて記しておきたかったんです。元々ギターの弾き語りで音楽活動を始めて、西沢幸奏として「吹雪」でデビューさせてもらった。そんなこれまでの経歴が今回の曲にギュッと詰め込まれているんです。
――楽曲としても、収録された経緯にしても、すごくエモーショナルなものを感じます。
中にはEXiNAになって、西沢幸奏は消えてしまったと感じている人もいるかと思うんです。でも、西沢幸奏は西沢幸奏としてきちんと残っていて、その人が今EXiNAとして活動している、これは知っていてもらいたいことなんです。なのでチャレンジですが、あえてここに収録させてもらいました。
――EXiNAと西沢幸奏との関係性、この話を聞けただけでも嬉しい方は多くいると思います。
EXiNAとしての活動にピンときていない人もいると思うんです。そういう人にこそ今回の「吹雪 -HiKiGATARi ver.」と併せて「ENDiNG MiRAGE」と「CARPET」も聴いて欲しい。そう思える楽曲ができましたから!
――今回の楽曲にはEXiNAとして見せたいものがすべて詰まっているわけですね。では最後に、そんな楽曲のリリースを楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
まずは今回のインタビュー記事を読んでいただいてありがとうございます。私がEXiNAとして活動を始めて、やりたいことが段々と見えてきて、それが一つの形となったのが今回の楽曲です。是非聴いていただければと思います! あと、今後EXiNAが見せたいものを発表する機会も増えてきます。それもチェックしてもらえると嬉しいです!
インタビュー・文=一野大悟

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