L→R 平井 文(Groove Activator)、yukirie(Gu)、松永 瀀(Vo)

L→R 平井 文(Groove Activator)、yukirie(Gu)、松永 瀀(Vo)

【SpendyMily インタビュー】
新しいことをやっていきたい。
SpendyMilyは
それができるバンドなんです

人間というのは、
こういうことを思うものだ

では、最新曲「後悔」について話しましょう。この曲はドラマ24『シジュウカラ』のエンディング曲ですが、作るにあたってドラマサイドから曲調や歌詞などについて要望はありましたか?

松永
なかったです。『シジュウカラ』のエンディング曲という話をいただいて、「後悔」を聴いてもらったら、“これでいきましょう!”ということになりました。音楽をやっている身からしたら一番嬉しいかたちですよね。
yukirie
本当に嬉しかったです。「後悔」も作ったのは結構前で、「夏とブルー」よりも前だよね?
松永
そう。この曲を作った時は…というか、毎曲そうですけど、メロディーで苦戦するんですよ。“これじゃ普通すぎる!”とか“これでは面白くない!”という感じで。この曲はキーもいろいろ変えてみたんです。最終的に結構高くして、最初に作った音源と聴き比べると全然いいものが作れて良かったですね。yukirieくんのギターも3曲の中で一番テクニックが光っている気がするんですよ。この曲も僕らっぽさを全面に出していて、それをそのままのかたちでリリースできるというのが嬉しいです。

この曲で初めてSpendyMilyに触れるリスナーも多いと思いますので、自分たちの個性を出すことができて本当に良かったですね。「後悔」の歌詞については?

松永
この曲は失恋がテーマですけど、失恋にしては重めというか。失恋だけを描いているわけではなくて、そういう意味では「夏とブルー」と色が似ているけど、もっとダークですね。誰にも打ち明けないし、打ち明けるべきじゃないかもしれない…みたいなところを、うまく歌詞にまとめられたと思います。

この曲の歌詞も深いですね。それに、男性とも女性とも取れる語り口になっていて、ひとりの心情ではなくて、さまざまな人の内面を描いているようにも感じました。

松永
そう。「後悔」のMVは分かりやすくひと組の男女のそれぞれの心情というかたちで構成されていますけど、歌詞を書いている時はAさんとBさんがいて〜とかではなくて、“人間というのは、こういうことを思うものだ”という感覚でした。だから、いろいろな人の内面のコラージュのようにも感じるんだと思います。
yukirie
「後悔」のイントロのギターフレーズは、もともとは個人的にTwitterで投稿しようと思っていたものなんです。それを松永くんに聴かせたら“これめっちゃいいじゃん!”という感じになって、“じゃあ、これを曲にするか”と思ったところから作っていきました。僕は3拍子のちょっとワルツ的なリズムが好きで、ギターパートやリズムアプローチ、アレンジといった総ての面で自分が好きな要素を出せたと感じています。ギターに関しては、最初のヴォーカルが入ってくるところのアルペジオは特にこだわりましたね。そこから惹き込めるように、ものすごくいいものを作ろうと考えたんです。そういうクリーントーンのパートと後半のちょっと激しいところとか、イントロの難しいフレージングとかの緩急をつけることも意識しました。激しくて鋭いような音もありつつ、やさしいところはとことん繊細にしようと。そういう振り幅を出すことで、表と裏を感じさせるポーカーフェイスな楽曲になっているかなと思います。

イントロやサビのギターフレーズは本当に秀逸ですし、ああいうテクニカルなフレーズを誤魔化しの効かないクリーントーンで弾いていることも注目です。

yukirie
めちゃくちゃ難しかったです。このフレーズをクリーントーンで弾くのは難しいと思ったけど、そこはやらないと意味がないから。そうしないと説得力が出なくなってしまうので、クリーントーンで弾ききりました。
平井
「後悔」もドラムは打ち込みです。でも、この曲は3曲の中でも一番ストーリー性があるというか、yukirieも言ったように浮き沈みが激しい曲なので、ライヴとかで生で演奏する時に心がけているのは緩急をつけることですね。緩急をつけて飽きさせないように、ちゃんとストーリーがあるということを思いながら叩いています。

ドラムのフレーズ作りや打ち込みは平井さんご自身がされているのでしょうか?

平井
そうです。最初に参考程度のドラムを送ってもらって、そこから再構築するようにしています。

「後悔」のドラムは生っぽさが強くて、生と打ち込みの中間のようなドラムになっていますね。

松永
今回はそうかもしれない。
yukirie
パーツごとに音量を変えたりしたよね?
平井
うん。バラバラの音源から音を持ってきたりしたし。だから、生っぽく聴こえるんだと思います。ただ、あまりに生っぽくしすぎると雑味が出てしまうから、いいところに落とし込むようにしました。
松永
「後悔」の歌も難しくて。歌ってみたら意外と歌えないという人も多いと思いますね。そういう中で、どう切ない感情とかを表現していこうかというところで、正直言って苦戦しました。最初は切なめな感情のみで歌おうとしていたんですけど、どうもピンとこなくて。それで、パワフルさとかも入れるようにしたんです。“後悔”という言葉の強さというか、重みというか、そういうものは悲しいだけでは表現できないので。この曲を録ったことで得られたものがたくさんあったから、それは今後につながると思います。

先ほど少し話が出ましたが、「後悔」はMVも作られたんですよね。SpendyMilyのMVは、総て平井さんが手がけているとお聞きしました。

平井
やらせてもらっています。「後悔」は最初に聴いた時に恋愛の歌詞だったので、恋愛系の後悔を映像化しようかと思っていたんですね。だけど、タイトルが“後悔”だし、曲調も恋愛系ではないというか、いろんなことを感じられる曲調なので、これは甘ったるいMVにはしたくないなと思って。なので、結構ショッキングというか、パンチの強いものを作ることにしました。

ネタバレになりますので内容は話しませんが、しっかりとしたストーリーが描かれていて短編映画を思わせるものになっています。それに、映像がすごくきれいなことや光の使い方の巧みさなどもポイントです。

平井
ライティングはこだわりました。最初は“この角度からしっかり当てればいいから”と言って撮るんですけど、実際に撮ったものを観て、ライトの位置を変えたりしました。あと、演奏シーンは太陽の自然光を使っているんですよ。太陽は沈んじゃうじゃないですか。だから、みんなに“急いで! 急いで!”と言いながら撮りました(笑)。
松永
ストイックな映像とは裏腹に、すごく慌ただしい現場でした(笑)。でも、「後悔」のMVは本当にすごいと思います。映像は平井さんに全任せにしているんですけど、いつも思っているよりも上の物語を考えてきてくれて、平井さんのお陰でSpendyMilyの楽曲はよりいっそう深くなるんです。彼女は抜群にセンスがいいし、クリエイターとしてのスキルも高い。
yukirie
いつも思うんですけど、平井さんに楽曲を聴いてもらって、MVのデモを観せてもらったり、映像を作ってもらうことで音を可視化するというか…映像として出力するのが本当にうまいんですよ。自分も“映像になるとこういうふうになるのかな?”と想像はしているけど、彼女は毎回その何段も上をいく。松永くんも言いましたけど、平井さんはSpendyMilyの世界をめちゃくちゃ深めてくれる重要な存在です。

SpendyMilyのMVはどれもクオリティーが高いので、ぜひ楽曲とMVをセットで味わってほしいと思います。さて、SpendyMilyはドラマのエンディングを飾る「後悔」をリリースするといういいかたちで2022年をスタートさせました。今後の動きが本当に楽しみです。

松永
僕らは本当に自分たちがいいと思えるものを提示したいし、マイペースなところがあるんですよ。ここまではそういうスタンスでやってこれたし、今後もそうありたいけど、やるからにはスケールアップしていきたいですね。自分たちらしさを保ったままそれを実現させるには、とにかくいい音楽を作ることが大事ので、楽曲にどんどん磨きをかけていって、より多くの人に自分たちの音楽を聴いてもらえるようにしたいと思っています。
yukirie
ドラマのエンディングが決まったことがすごく嬉しくて、そこを足がかりにステップアップしていけたらいいなとは思うんですけど、楽曲作りにおいてはタイアップが決まったからといって作品に媚びるというか、無理して寄せていったりはしたくなくて。あくまでも自分たちの作りたいものを作って、100パーセント出しきって、それを聴いてもらった上で気に入ってもらえたら、それが一番本望です。なので、これからもストイックに音楽を作っていこうと思っています。
平井
バンドとしてはドラマのタイアップを取らせていただいたので、今後はCMとか映画の曲もやってみたいなと思います。個人的な目標は、私はジャケットも自分で描いているので他のアーティストさんのジャケとかも描いてみたいですね。
松永
えっ、そうなの?
平井
うん。
松永
…それは、もうちょっと待って(笑)。
平井
あははは。でも、そのアーティストさんとコラボできるんじゃない?
松永
あっ、そうか!
yukirie
確かに! 平井さんのアートワークでネットワークが広がるというのはあるかもしれない。
平井
そうでしょう? なので、ドラマーとしてもスキルアップしていきつつ、アートワークの面でもいろいろな挑戦をしていけるといいなと思っています。
松永
あとは、ライヴをやっていきたいですね。僕たちはライヴでもサポートベーシストは入れずに打ち込みだったり、シンセベースを流していて、平井さんは全曲クリックを聴いてドラムを叩いているんですよ。そういうスタイルなので、カチッとした質感とライヴ感が融合されて、ちょっと独特の雰囲気なんです。他ではあまり味わえないのを観せている自信はあるので、ぜひそれを体感してほしいですね。
yukirie
どのアーティストもライヴと音源は別モノととらえていると思いますけど、僕らは音源とは違う感触をライヴで届けたいという気持ちがより強いんです。そういう想いのもとに、ドラムのフィルはどうしようかとか、ギターはどうしようか、ヴォーカルはどうしようか…ということを考えていて、僕は今までの3曲は音源とは違うパートを弾いているんです。だから、聴こえ方も違ってくるんですよね。音源とはまた違った良さを味わってもらえると思うので、ライヴはライヴとして楽しんでもらえると嬉しいです。

取材:村上孝之

配信シングル「後悔」2022年1月21日配信開始

ライヴ情報

『||| S . E . V . E . R . A . L . S |||』
2/4 (金)  東京・渋谷eggman
OPEN / START : 18:00 / 18:30
ADV/前売り¥2,800 当日¥3,300(+1D¥600)
https://eplus.jp/sf/detail/3563700001-P0030001

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詳細はこちら:https://okmusic.jp/news/456209
SpendyMily プロフィール

スペンディーミリー:2020年、松永 瀀がyukirie、平井 文と出会いオンラインでのセッション活動をスタートし結成。21年8月に初のオリジナル楽曲「夏とブルー」、同年10月に「雨のリズム」をリリース。叙情的かつハイテクニックなyukirieのギターを中心とし、既存の枠組みに捉われないアレンジを追求することでインターネットシーンにおいて国内外問わず幅広い音楽ファンからの高評価を獲得している。SpendyMily オフィシャルHP

「後悔」MV

OKMusic編集部

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