バレエ好きも要注目! 『伊福部昭百
年紀Vol.8 藤岡幸夫の指揮で聴く伊福
部バレエ音楽の総決算!』
今回の『伊福部昭百年紀Vol.8 藤岡幸夫の指揮で聴く伊福部バレエ音楽の総決算!』は2部構成。第1部でバレエ音楽『サロメ』(1948年原典版)を、第2部でバレエ音楽『ファシヤン・ジャルボオ』(1956年)を演奏する。
バレエ音楽『ファシヤン・ジャルボオ』は、1956年、江口隆哉・宮操子舞踊団のために作曲され、伊福部自身が原作も担った。全2幕の大筋と見どころは「使徒ジャルボオが、邪教の王ランダルマを討ち果たす、チベット伝承に基づく説話を、バレエにした。3管編成によるダイナミックなサウンドで、仮面舞踊による大鴉、青牛、骸骨の舞い、勝利、虐殺の舞い、官能の舞い、ランダルマの死など多彩な楽想を味わえる」(公演主催者リリースより)。タイトル・ロールを宮、ランダルマを江口が演じた。異色の舞踊劇の世界を想像しながら楽しもうではないか。
話は変わるが、さる2021年10月20日、バレエ界の大御所・牧阿佐美が享年88歳で逝去した。牧の振付家デビューは、1968年、芥川也寸志、團伊玖磨、黛敏郎という「3人の会」を結成していた大物作曲家の音楽に振付した時だった。3人のうち、芥川、黛は伊福部に師事した。牧は母の橘秋子とともに"日本のバレエ"の創造に心血を注いだが、橘の『角兵衛獅子』、『戦国時代』を、それぞれ作曲した山内正、小杉太一郎も伊福部門下。さらに、やはり伊福部に師事した三木稔、石井眞木(舞踊家・石井漠の三男)はバレエ音楽を、また今井重幸は現代舞踊やスペイン舞踊のための音楽を、それぞれ遺している。日本のバレエ&ダンスにおける、伊福部に端を発する現代音楽との関わりは、より注目されていい。その意味においても『伊福部昭百年紀Vol.8 藤岡幸夫の指揮で聴く伊福部バレエ音楽の総決算!』は聴き逃せないのである。
【動画】『伊福部昭百年紀Vol.8 藤岡幸夫の指揮で聴く伊福部バレエ音楽の総決算!』PV
文=高橋森彦
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