cinema staffが海底から見つめる光。
自身らの心情を素直に吐き出した新作
ナチュラルに作れた
20代前半は割と怒りのままにというか、テンションのままにガー!っとやってきたところがあるんですけど。僕らも徐々に大人になっていって、楽曲のメッセージ的にもポジティブにしていこうっていう意識で作ったのが、『blueprint』から『熱源』までの流れだったんです。
そうやって良くも悪くも前向きにやっていた感じがあったんですけど、今作は無理にポジティブな感じにする必要はないかなと思って、開き直って作った作品です。怒りは怒りのままに放出して、それが僕らの救いになればいいし、リスナーの方の感情の器にもなれたらいいかなと思っていました。剥き出しのところは剥き出しのまま、暗いところは暗いまま、制御しないで作ったアルバムです。
以前はcinema staffとしてどんなバンド像を目指せばいいんだろう?って考えた時、モデルになるようなバンドがいなかったんですよね。でも、年々歳を取るにつれて、それでいいんじゃないかなって思えるようになってきたところがあって。今回のアルバムはコロナ禍で抱える気持ちを三島が言葉にしてくれて、これまでで一番カッコ良いアルバムができたって本気で思える作品になりました。
いや、あれはアルバムに繋がる感じではなかったですね。(コロナ禍で)やることがなかったので、1回制作で集まって心をひとつにしようってタイミングで作ったものでした。
個人的には「白夜」と「極夜」が軸になったところがありますね。「白夜」は結構前からパーツのあった曲なんですけど、一番無理のない感じの曲というか、最近やりたいことの要素がバランスよく入っている曲になりました。
「極夜」は2021年になってから作った曲で、ある意味凄く手癖でできている楽曲なんですよね。『熱源』くらいまでは手癖を良しとしてなかったので、意識して避けていたところがあったんですけど、この曲ではそれを全開でやっています。そこに最新のメロの良さや、今のスキルを上手くミックスできた感覚があって、どちらも凄くナチュラルに作れた実感がありますね。
2019年の前半に喉を壊してしまって、3ヵ月間お休みさせてもらったことがあったんですけど、ちょうどその頃に『進撃の巨人』のエンディング曲、「Name of Love」のレコーディングがあって。今だから言えることなんですけど…制作の中で自分らがやりたいことと、会社から求められることで板挟みになっていたんですよね。そこで俺らがやりたいことってこうだっけ?って凄く考える時間になりましたし、喉も治ってライブをやっていこうってなった時に、“いや、これは俺の人生だから”って改めて思いました。僕らの音楽に賛同してくれる人を大切にしようっていう、当たり前のことに気づけたというか、自分たちがカッコ良いと思うことを曲げたらダメだって感じました。そうやって原点を見つめ直せたのが2019年だったんですよね。
DIGLE MAGAZINE
プレイリスト専門webマガジン「DIGLE MAGAZINE」。最新&話題の音楽プレイリスト情報、インタビュー、イベント情報をお届けします。