Karin.『RUSH BALL 2021』ライブレポ
ート ーー初の夏の野外イベント出演
、情景や激情が浮かぶ歌で観客を魅了

『RUSH BALL 2021』Karin.
2019年にデビューを果たし、今回が初の夏の野外イベント出演となるシンガーソングライター・Karin.がATMCに登場。雲一つない青空と芝生の緑が広がる泉大津の地に、白いワンピースがよく映える。観客の視線を集める中でスーッと息を吸い込み、歌われたのは「愛を叫んでみた」。
Karin.
ファーストアルバム『アイデンティティクライシス』のリード曲で、関西のラジオ局・FM802で2019年8月のヘビーローテーションナンバーに選出された楽曲だ。関西にも縁があり、夏に何度も何度も聴いて過ごした人も多いはずだからこそ、夏の野外ライブで聴ける喜びを噛みしめるように、体を揺らしたりじっと聴き耽る観客の姿が印象的な幕開けに。

Karin.
続いて、今年3月にリリースしたアルバム『solitude ability』から疾走感溢れる「君の嘘なら」、ギターを手に持ち「君が生きる街」と立て続けに披露。藤原寛(Ba)(AL/ex.andymori)、岡山健二(Dr)(classicus/ex.andymori)、永高義従(Gt)(Rouse Garden)が織りなすバンドサウンドにのせて、時に切実な等身大の想いをじっくりと伝えるように、時に訴えかけるように力強く歌われた。バンドメンバーと向き合いながら、誰よりもこの日のステージを楽しむように音を鳴らし歌う姿が印象的だった。

Karin.
「一向に出口が見えない世の中で、こうやって足を運んでいただき……いま自分が伝えたいことを表現できる、私が一番輝ける場所を与えてくれてありがとうございます」と真っすぐに感謝を伝えると、ラストナンバー「青春脱衣所」へ。
Karin.
切なく胸に突き刺さる歌声は情深く、夏の暑さを忘れてしまうほど包み込むような優しい温もりを感じる。情景や日々の激情が浮かぶメロディーは、寄り添うように日常的でありながらドラマチックで幻想的。堂々たるステージで、観客ひとりひとりにさまざまな思いを想起させ、泉大津の地を鮮やかに彩った。
取材・文=大西健斗 撮影=ハヤシマコ
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