アンダーソン役の松下優也(左)とジャック役の堂珍嘉邦

アンダーソン役の松下優也(左)とジャック役の堂珍嘉邦

【インタビュー】ミュージカル「ジャ
ック・ザ・リッパー」松下優也&堂珍
嘉邦、歌とパフォーマンスで「0から
100まで見せる」

 19世紀末に英国ロンドンで発生した、殺人犯・通称“ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)”による猟奇連続殺人事件をモチーフにした、ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」が9月9日から上演される。日本初上演となる本作は、チェコ共和国で創作され、それを原作に韓国独自のアレンジを施して大ヒットを記録した衝撃のミステリーミュージカル。アンダーソンを演じる松下優也とジャックを演じる堂珍嘉邦(ともに加藤和樹とWキャスト)に、本作の魅力や出演に当たっての心境を聞いた。
-この作品のどんなところに魅力を感じて出演したいと思ったのですか。
堂珍 優也くんがいるから(笑)。
松下 ありがとうございます(笑)。まさに僕は、堂珍さんが出演されると聞いて、めちゃくちゃ気分が上がりました。
-アーティストとして活動しているお二人が、今回は、俳優として同じ作品に携わります。それについてはどんな思いがありますか。
堂珍 僕はこれまで、優也くんがどういうお芝居をされるのか全く知らなかったので、最初の本読みのときから、しっかりとアンダーソンというキャラクターを作ってきていて、役に向き合っていたことが印象に残っています。歌を歌っているときはもちろんですが、せりふを話す雰囲気もすてきなので、毎日(稽古場で)、アンダーソンの芝居を楽しみにしています。
松下 堂珍さんにそう言っていただけるのはすごくうれしいですが、それで調子に乗らないようにしないといけないなと思います(笑)。僕は、堂珍さんと同じ作品でお芝居ができることをすごくうれしく光栄に思っています。シンガーとしての自分と役者としての自分は、切り替えてやっているつもりではありますが、ミュージカルはその両方が並行する、ある種特殊な世界だと思うんです。ミュージカルならではのルールというようなものがありますし。僕自身はアーティストであるにもかかわらずミュージカルに出演させていただいているという立場ですので、同じくアーティストの大先輩で、どしっと構えていらっしゃる堂珍さんのような方がカンパニーにいらっしゃるのは心強いです。
-公式サイトでは、本作の歌唱動画も公開され、大きな反響を集めていますが、歌唱動画ではどんなことを意識して歌ったのでしょうか。
松下 僕は今回の歌唱動画に関しては、実際に劇場で歌うミュージカルとしての歌唱とは別に考えた方がいいと思ったので、半分は松下優也で、半分はアンダーソンというイメージで歌いました。感情を乗せることよりも、より丁寧に歌うことにフォーカスして歌いました。
堂珍 僕も歌唱動画に関しては、カメラが回っていることを意識もしていなかったので、曲に対してのアプローチをメインに考えていました。
-なるほど。では、アーティスト活動で歌っているときとミュージカルでの歌唱とでは、どんな違いを感じますか。
堂珍 全ての楽曲には、0から100までのストーリーがあると思います。それは、生まれたときから現在までなのですが、僕が普段歌っている「音楽の世界」では、そういう楽曲のうち、30から70ぐらいの範囲を歌として伝えることが多いんです。ですが、ミュージカルでは0から100まで見せなくてはいけないという感覚があります。それは、役として掘り下げるということとは、似たようで違ったりもするのですが…言葉では伝わりにくいかもしれませんが、僕はそれがミュージカルでの歌唱の面白さかなと思います。
松下 それ、めっちゃ分かります。ですが、それをどう説明したらいいのかは難しいですね(笑)。
堂珍 もちろん「音楽の世界」でも、ストーリーがあったり、内容があったりしますが、ミュージカルではより“表現”として、自分のライブでは行わないようなパフォーマンスを、お芝居しながらしなければならない。例えば、今回、ジャックはスティック(つえ)を持っていて、それを操りながら歌うシーンもあります。それも含めての0から100です。自分の領域でもある「音楽」というフィールドよりも幅の広さを感じ、そこに対応していく面白さがあります。
-今回は、お二人とも加藤和樹さんとのダブルキャストですが、加藤さんの役者としての印象は?
松下 和樹くんからは器の大きさや人としての優しさを感じます。お芝居に関しては和樹くんは、そのときその場の感覚で演じることができるのだろうなと、稽古を見ていて思います。自分は、いろいろ考え過ぎた結果、“相手の芝居によって変わるかもしれないから、それを待とう”と思うタイプなので、和樹くんとはまた違ったお芝居の作り方をしていると思います。
堂珍 僕は、和樹くんと優也くんのアンダーソンを見て、違う印象を受けるのが面白いなと思っています。例えば、元恋人同士であるアンダーソンとポリーが向き合うシーンがあるのですが、優也くんと和樹くんでは全く空気感が違うんです。和樹くんの場合は、完全に恋が終わった、どこかしなびた良さがあって、優也くんの場合は、何かのきっかけでまたもう一回恋が生まれるんじゃないかというドキドキが残っているんです。
松下 今、稽古でも、脚本に描かれていないキャラクターの心情まではすり合わせはしていないんです。だからこそ、それぞれが考えているアンダーソンになっていて、それで違った空気感が出てくるんだと思います。多分、本番が始まると、もっと色濃く違いが出てくると思います。ジャックも同じように、堂珍さんと和樹くんでは全然違うものに見えるので、やっぱりそれが面白いと思います。
-改めて作品の見どころを。
松下 残念ながら、今回、僕と堂珍さんがステージ上で共演することはないのですが、ぜひ、それぞれの回を1回ずつ、両方見ていただけたらと思います。堂珍さんのジャックは、本当にすてきなので、自分も堂珍さんの回が見られるのを楽しみにしています。
堂珍 日本では初演となるので、韓国とはまた違った日本らしさを楽しんでほしいと思います。誰の心にもジャックがいるというメッセージはリアルに響くと思うので、ゾクゾクしながら見ていただけたらうれしいです。今回は、カーテンコールにもお楽しみがあります。頭のてっぺんから爪先まで楽しんでいただけるように作っていくので、楽しみにしていてください。
(取材・文/嶋田真己、写真/櫻井宏充)
 ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」は、9月9日~9月29日に都内・日生劇場、10月8日~10日に大阪・フェニーチェ堺 大ホールで上演。
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