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【LMYK インタビュー】
英語と日本語を使って
世界的に活動していきたい

根本的に伝えたいことは
”異なるけど一緒”ということ

大学はニューヨークに留学されていたんですよね?

そうです。その前にドイツにもいたことがあるんですけど、ニューヨークでいろんな人種が混在して暮らしていること、いわゆるダイバーシティ(=多様性)を初めて体感して。自分自身はそれまですごく内向的だったんですけど、これを機に少しずつ心を開いていきました。普段だったら絶対に行かない友達の輪の中に一歩踏み出して入ってみたら、その時に“自分の頭で想像していた世界じゃないかも!?”と感じて。“人はもっと自分を受け入れてくれるんだ!”という発見があったんですね。そこから出会った人にも背中を押されて、少しずつ自分が曲を書いていることも人に言うようになりました。ニューヨークには“オープンマイク”(観客が飛び入り参加でパフォーマンスできる催し)があるんですけど、それにも行くようになり。そこのお店の人に“一時間、ひとりでやってみる?”と言われたから“やってみる”と言って歌ってみたりして。今考えたら怖いもの知らずなんですけど、10曲ぐらい書いたばかりの自分の曲を一時間歌ったんですよ。その時にこれが生き甲斐だと思いました。

それまで内向的だった自分をそこまで一気に変えられるものですかね。

ねっ!(笑) 自分は何をしたいのかを考えていく中で“歌うのが好き”というところに改めて気づけたからそうなれたんだと思います。それまでは誰かと比べたりして、“私なんて下手だし”って思いがずっとあったんですけど。人前で歌うようになったら、歌い終わったあとに“あの曲、すごく刺さりました”と言われたんです。私が書いた曲にこんなふうに反応してくれる人がいるという実感があり、“歌をこのままやっていこう!”という原動力にもなりましたね。人前に立つことも今までの自分とは反した職業ではあるんですけど。今もその気持ちはありますが、それでもやろうと思えました。

その結果、テレビアニメから自分の最新曲が流れてくる存在になったと。

非現実的に感じますよね(微笑)。

第1話はリアルタイムでオンエアをチェックしました?

はい。家族からも“聴いたよ”って連絡があり、喜んでいました。でも、私自身は“やったー”と思いながらも、このアニメのEDテーマにこの曲が相応しいのかというプレッシャーのほうが大きかったかもしれないです。アニソンっぽくないし、自分でもちょっと変わった曲だと思うから、それが受け入れられるのかなと。

とはいっても、サビはキャッチーなメロディーだと感じましたけど。

私が作った最初のデモは違っていたんですよ。でも、Jimmy Jam and Terry Lewisさんとジョン・ジャクソンさんからリズムのアドバイスをいただいて変わったんです。デモではサビがなかったんですよね。アニメのタイアップなので、サビで疾走感があったほうがいいということでサビを作りました。さらに「Unity」(2020年11月発表の配信シングル)と共通する感じも出したかったから、英語を中心にした今のサビに変えたんです。だから、サビが一番苦戦しましたね。

前作に続き、今作もJimmy Jam and Terry Lewisのようなワールドワイドなプロダクションチームと一緒にお仕事しているのがすごいですよね。

音楽が大好きというのが伝わってくる方々で、やさしく接してもらっています。前作を含めてこんなチームと制作をした曲がテレビや映画館から流れてくるというのは本当に光栄なことで、夢のような感じですよね。制作している時は自分の部屋にいて、脳内で考えていることと向き合っているわけですけど、それがたくさんの人にメディアを通して届くのは嬉しいことですが今もすごく非現実的です。

独特なタッチのウィスパーなやさしい歌い方、それにマッチした楽曲作りはどうやって見つけ出したんですか?

自然と出している要素ではあるんです。ニューヨークでやっていた時はアコギ一本でもっと声を張り上げるような歌だったんですけど、『Logic』などの音楽ソフトを使うようになってから自分の部屋や静かな場所で制作をすることが多くなって。そこから自然と今の音楽スタイルが確立していきました。自分でも“なんかこれ、しっくりくるかも”と思ったんです。

見つけたのはニューヨークにいる時代?

歌い方については日本に来てからですね。高い声に挑戦したいと思った時、自然とやさしい感じの歌い方になっていって。声を張り上げる歌ももちろん聴くんですけど、やさしく歌う感じの声にはもともと憧れもあったんですよ。

そうなんですね。

はい。「Unity」は全部やさしい感じで歌ったんですけど、「0 (zero)」のAメロの部分は低めの音域だから強い声が出たと思っています。やさしい歌と強い歌がミックスできたのが良かったですね。

「0 (zero)」は『ヴァニタスの手記』のファンにどんなふうに届いてくれたらいいと思っていますか?

ファンの方々にはこの作品のキャラクターが感じている“孤独感”とか、キャラクターそれぞれの“記憶”…その記憶によって形成された“なぜその人がそういう人なのか?”に迫っていく中に、みんなが共通するものがあることを伝えたいですね。

共通するもの、それはつまり“ひとりじゃない”ということですか?

そうです。根本的に伝えたいことは“異なるけど一緒”ということです。同じような感情を持ち、同じように生存しようとしている中、ひとりの単体ではあるけれどもバラバラではないかもしれないというところですね。

だからなのか、この曲は最後に《もうひとりじゃない》と歌ってエンディングを迎えるわけですけど。その前の“I lose myself”のリフレインが効いていますよね。そこを明るいメロディーで歌うからこそ、《もうひとりじゃない》が雲の切れ間から光が注ぐように聴き手の中に入ってくる気がしました。

良かったです。サビ案だったメロディーだから捨てたくなかったんですよ。活かせて良かったです。この曲は構成をかっちり決めて作ったというよりも、結果的にサビもこの箇所もパズルのように組み合わせて作った印象が強いですね。

なるほど、ところでMVはどんな感じになりそうですか?

テーマは“水”で、美しくカッコ良い感じです。撮影もすごく楽しかったですよ。

カップリングの「0 (zero) -English version-」についても訊きたいんですが。“1から10”のところだけ日本語のまま歌っているのは何か意味があるのですか?

ちょっとだけ日本語を残したかったんです。1とか10という数字は日本語をちょっと勉強している人なら分かるじゃないですか。でも、ここで言っている“1から10”というのは全て英語の“Everything”という意味なので、あえてそこは日本語を置いておきたかったんです。ここだけ日本語を残して、あとはかなり頑張りました。

英詞も自分で?

はい。ほとんど直訳ではないんです。日本語版とは違う場所に言葉を入れたりすることで新たな描写をしながら同じテーマを伝えています。これは挑戦だったんですけど、やり甲斐はありました。かたちが決まっているウエディングドレスを着物生地で作るような難しい創作でしたね。

では、改めて今後はどんなシンガーになっていきたいと思っていますか?

ライヴはもちろんやりたいですし、今はアルバムを完成させたいというのが一番身近な目標としてあります。大きな目標としては、英語と日本語を使って世界的に活動していきたいですね。もともとニューヨークでやっていたので英語の曲が始まりだから、その英語の曲とニューヨークのダイバーシティ、日本語と日本らしさ。そのふたつをつなげる音楽活動をしていきたいです。時間の流れに任せてになりますけど。

掲げてるテーマはワールドワイドなのに、ガツガツとはいかないんですね。

いかないですね。創作は大好きなので、創作している時が一番ガツガツしているかもしれないです。私の一番のやり甲斐は物作りにあるので。自分が感じているものが生まれた瞬間、アイディアが言葉になった瞬間とかに一番喜びを感じています。

取材:東條祥恵

シングル「0 (zero)」2021年9月8日配信開始 EPIC Records
    • 【CD】
    • ESCL-5539
    • ¥1,320(税込)
    • ※期間限定生産盤
    • ※アニメ描き下ろしトールサイズデジパック

ライヴ情報

『MINAMI WHEEL 2021』に出演決定。
※出演日は追って発表されます。
イベント名:『FM802 MINAMI WHEEL 2021』
開催日:10/08(金)、10/09(土)、10/10(日)
10/08(金)18:00 START予定(21時頃終了予定)
10/09(土)、10/10(日)12:30 START予定(20時頃終了予定)

会場: club vijon / hillsパン工場 / ANIMA / SUNHALL / FANJ twice / DROP / VARON / BEYOND / AtlantiQs / Pangea / BRONZE / CLAPPER / BIGCAT / CONPASS / OSAKA MUSE / FootRock&BEERS / OSAKA RUIDO / JANUS / soma / FANJ

※各会場は現時点での予定です。会場は変更になる場合があります。
https://minamiwheel.jp/

LMYK プロフィール

エルエムワイケー:大阪府出身のシンガーソングライター。ドイツ人の父、日本人の母を持ち、大学在学中のニューヨークにて音楽制作を始める。その音楽と声を聴いた世界屈指の音楽プロデューサーチームJimmy Jam and Terry Lewisが即座に自らプロデュースを申し込んだ。英語と日本語をナチュラルにミックスした文体と、その囁くように歌う声をオーケストレーションのように用いながら、Jimmy jam & Terry Lewisのプロデュースワークによって、まるで音が咲く庭園のようにサウンドを可視化させる世界観はまさにニューワールドスタンダードと呼ぶに相応しい。2020年11月に映画『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』日本語吹替版主題歌「Unity」でデビュー。21年8月に配信、9月にCDとしてシングル「0 (zero)」をリリースする。LMYK オフィシャルHP

「0 (zero)」MV
アニメ「ヴァニタスの手記」ver.

「0 (zero)」MV Japanese ver.

「0 (zero)」MV English ver.

OKMusic編集部

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