シンガポールの新鋭R&Bバンド・brb
.が語る、アジア人ミュージシャンと
してのアイデンティティと精神
様々な要素をR&B/ファンクに落としこ
んだbrb.のルーツ
本名はClarenceですが、Cloと呼んでください。brb.のメインボーカルで、作曲を担当しています。
Marcです。ギターとボーカル、そしてZieと一緒にすべての楽曲のプロデュースを担当しています。
Zieです。キーボードとボーカル、そしてMarcと一緒にプロデュースを担当しています。バンドのデジタルコンテンツも作ってます。シンガポールはとっても小さい国なので、僕らはお互いのイベントやライブで何年も前から偶然会ったりして、昔からの顔馴染みです。一緒に曲作りを始めたのがきっかけで、brb.が誕生しました。
私の音楽との出会いはかなり遅くて、15歳くらいのときに
10代の頃は、
僕は90年代から2000年初頭あたりのボーイズバンドを中心としたポップスを聴いて育ったけど、その一方でパンクロックやニューメタルもよく聴いていたので、ちょっと変わっている経緯かもしれません。ポップスのフックの耳障りの良さと、ヘビーな音楽の攻撃的な感情表現が好きなのかな。でもそれだけじゃなくて、その要素を持つような他の音楽も大好きです。
僕は10代のの頃から始めましたが、曲作りを始める前はギターに夢中でした。自分でクソみたいな曲を書いては録音していたのを覚えていますが、声とギターだけでは満足できず、ドラムやキーボードなど、あらゆるものを加える方法を学びました。このプロセスが楽しくてやりがいも感じたので、そのまま続けるようになりました。
すべての始まりは学生時代の16歳のときでした。Panic! at The Discoのようなバンドから一番のインスピレーションを受けていて、ずっと彼らのようになりたいと思っていました。そこで、mixcraftというソフトをダウンロードして、当時所属していたバンドで自分の曲を作り始めました。
アジアのアートやデザイン、特に日本と韓国のアーティストから大きな影響を受けています。すべてのデザイン作業を自分たちで行っているので常に見て学んでいますが、まだまだ上手だとは言えません。でも、もっと良くなるように努力し続けていきたいと思います。
アジア人ミュージシャンというアイデン
ティティやシンパシー
ー2021年はさらにアジア各国のアーティストをフィーチャーした作品をリリースする予定とのことですが、アジア圏で今注目しているシーンはありますか。
もちろん、日本には大きく注目しています。まだ公開できませんが、現在2つのコラボレーションが進行中で、他にももっとやれたらと思っています。また、タイ、韓国、台湾でも素晴らしい音楽がたくさん生まれているので、各国のアーティストとのコラボは常に視野に入れています。
ーコロナ禍以降、アメリカでの人種差別問題などの流れもあり、アーティストは今まで以上に人種的アイデンティティを何かしらのアクションで表明する役割が担わされていっているように感じています。そういった状況の中、今年アジア各国のアーティストをフィーチャーした作品をリリースするというのは、どういった考えのもとで行われたものなのでしょうか。
はい、本当に見ていて心が痛みました。シンガポールでは、特定の優位な人種に近づこうと考えながら育つ必要はなかったけど、実際にシンガポールの人種差別はあからさまなものではなく、より陰湿だという違いもあります。これは今後私たち全員で向き合って、一緒に取り組まなければならない問題です。
K-POPは、アジアのアーティストは才能を持っていて、大きな力を秘めていることを世界に示しました。今となっては世界中の人々が、意味もわからずに韓国の音楽を聴いている。中国の音楽やタイの音楽、日本の音楽もそうなってほしいと思っています。才能とクオリティの高い音楽はあるのですが、もっとできることもたくさんあると思う!
ー2019年にはAmPm、Chocoholicとのコラボレーションも行われていますが、どのような経緯でコラボレーションに至りましたか。
彼らを紹介してくれたのは、以前所属していたレコード会社でした。彼らはシンガポールで作曲セッションをしていて、幸運にも彼らと制作することができました。数ヶ月間、何度もやりとりをした末に無事リリースできました!僕らにとって初めてのコラボレーションでしたが、彼らと一緒に曲作りができたことをとても嬉しく思っています。
ー日本の音楽で、昔から聴いているアーティストや、現行シーンでシンパシーを感じるアーティストがいたら教えてください。また、音楽をはじめとした日本のカルチャー全般については、シンガポールと比較してどのような印象を持っていますか。
ありきたりに聞こえるかもしれませんが、僕らが日本の音楽に最初に触れたのは、子供の頃や10代の頃に観ていたアニメでした。Aqua Timezを聴いたことがない人はいないでしょう(笑)?
いつもたくさんの素晴らしい日本人アーティストの音楽を聴いています。SIRUP、Kan Sano、iri、I Don’t Like Mondays.などのアーティストにとても共感しています。他にも、春野、No Buses、Wez Atlas、Shin Sakiuraなど、個性的で素晴らしいアーティストがたくさんいますよね。
私たちは日本をまだ十分に体験できていないので、日本のカルチャーについて多くを語ることはできないかもしれません。でも、少し訪れただけでも、シンガポールよりも日本の方がカルチャーの面では豊かだと感じました。シンガポールでは、人脈や知識がないとなかなか面白いことができません(コロナ前でも!)。今はもっと厳しい状況ですが、もうすぐ改善されることを期待しています。
最新作『fleur』について
ー『fleur』は1曲目「juice」の冒頭が象徴するように、デビュー作よりもギターにフォーカスがあたり、生演奏による有機的なサウンドとMIDIシンセの無機的な質感が融合した、現代的なサウンドであるように感じました。前作と比べてなにか心境・音楽的発想の変化、もしくは制作の仕方に変化があったのでしょうか。
確かに、前作からたくさんの変化がありました。制作方法は進化したし、好みも変わりました。パンデミックの間、リモートでの作業に慣れたことなどの実用的な部分でも、作曲に対する一般的なアプローチでも、みんなで技術を向上させ、インスピレーションを得るための新しい方法を見つけた影響が大きいと思います。ライブとシンセ的な要素を共存させることは、この作品を作る上でとても意図的なことでした。音的には、『fleur』はアーティストとしての僕たちの変遷を示すと同時に、将来の方向性を示唆していると思います。
今注目している音楽、今後の活動について
ーSpotifyでbrb.が作成・公開しているプレイリストをいくつか拝見しました。『on rotation』や『your type』で選曲されている楽曲は、ジャンルは多様ですが流れで聴いたときに違和感のない、何か共通した“ムード”や“音像”を感じます。これらを選ぶ際の基準やフィーリングはどういったものですか。
最近はあまり更新できていませんが、もうすぐ更新します。『on rotation』は普段、新曲をリリースする前に更新して、曲の雰囲気をリスナーに事前に伝えられるような選曲にしています。『your type 』は、リスナーの選曲で作られたプレイリストです。ファンの方におすすめの曲をインスタで聞いて、それをすべて入れています。他の人がどんな曲を聴いているのかを知れるし、いつも隠れた名曲をこの方法で見つけています。
また、他のアーティストにお願いしてプレイリストを引き継ぐこともあります。他のアーティストが僕らのプレイリストに自分たちの曲を追加してくれたり、彼らの母国のアーティストをフィーチャーした国ごとのプレイリストも作っています。今のところはとても楽しんでやってます!
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