SUPER BEAVER「僕らのあゆみに、またひとつ筋が通った」

SUPER BEAVER「僕らのあゆみに、またひとつ筋が通った」

SUPER BEAVER「僕らのあゆみに、また
ひとつ筋が通った」

歌が乗った瞬間にミラクルが起こった

──ニューシングルのタイトル曲『名前を呼ぶよ』は、7月9日から公開される映画『東京リベンジャーズ』のテーマソングとなっています。一瞬こもった音が入るようなイントロから始まり、怒涛のように広がっていくエモーショナルな楽曲ですね。

柳沢亮太:今回は映画の主題歌でもあり、タイムリープが一つのテーマになっていたので、音楽的に“SUPER BEAVERのあゆみ”みたいなものをこの楽曲で表現できそうだ、と思ったんです。
実は2007年に初めて全国流通させてもらったインディーズ版の6曲入りCDアルバム(1stミニアルバム『日常』)に、途中まで入れるつもりで作っていた幻の7曲目みたいなものがあって。そこで『名前を呼ぶよ』の冒頭のアルペジオのイントロに、当時とまったく同じではないけれど、モチーフとしてその幻の曲の要素を持ってきたんです。
つまり初めて出した作品に入るかもしれなかった音楽を、今の自分たちの中に少し取り入れることで、SUPER BEAVERのあゆみにさらにまた一本、筋が通ったというか。“ずっとこういう音楽をやり続けているんだな”という意味も足せたような気がします。さらにそういったタイムリープ、数年飛ぶというところから、アイデアとして“ラジオトーンぽいものみたいなのも少しあったらいいな”と思って、ラジオトーン的要素も入ったイントロになりました。
▲SUPER BEAVER 「名前を呼ぶよ」MV
名前を呼ぶよ 歌詞 「SUPER BEAVER」
https://utaten.com/lyric/tt21052405
──まさにSUPER BEAVERの歴史が入っている、と。そして「苛立ち 八つ当たり 後悔したり 同時に手を叩き 笑い合ったり」といった歌詞のところで、大きく心を揺さぶられます。
藤原”33才”広明:この歌詞のところはみんなでそろってせーので音を出して、リーダーがその場でいろいろなベースのフレーズを変えてきたんです。だから僕もその場で思いついたままベースと合うように展開をつけて。事前に準備してきたものをというより、その場で感じたものだったり、詞の世界観を感じながら素直にアレンジした、という感じではあります。
柳沢亮太:言葉にしづらいんですけれど、この曲は最初から不思議な気を放っていたというか。楽曲が醸し出す“得体のしれないぐっとくる感じ”みたいなのは、わりと序盤からあって。レコーディング前の準備のアレンジを固める作業の時、どんどんゾクゾクとしてきたんです。とどめで渋谷がレコーディングの前に仮歌的なものをボンと入れた瞬間に、一気にボッとドキドキみたいなものが爆発したというか。
もちろんこれまでに作った曲も、それぞれメンバー自身が感動する何かがあるんですよ。ただ『名前を呼ぶよ』という楽曲は、渋谷が歌を歌った瞬間に、“これはものすごい曲ができるぞ”という予感がしたんですよね。それは藤原が言ったように、曲が呼んでくれている方向といったものが、全体を通してあった気がしていて。なのでそれぞれのやっていることが自然と連動していって、ちょっとしたミラクル感があったような気がします。

──そのミラクル感は聴いている立場でも伝わってきます。特にサビの渋谷さんの声の乗り方に、命の輝きの美しさ、といったものを感じました。今回の歌を入れる時、渋谷さんはどんなことを考えられていましたか?

渋谷龍太:こればかりは、本当に出たとこ勝負です。それは前準備なしでいきなり挑んだ、という意味ではなく、3人の演奏に自分がどんなふうに乗るのか、どんなふうに歌うのか、という予想は大概当たらないんです。だから毎回“どんなふうになるのかな?”と思いながら歌っていて。
今回もその気持ちはずっとあったのですが、歌っている時に“何かが起きた”と感じたんですよね。でもこれはねらってできることではないし、バンドを続けていて何度もある経験ではないと思うので。貴重な体験だったし、こういう手応えを得ることができるのは、すごくうれしいと思いました。

──演奏しているご自身たちが感じることのできる、至福の時ですよね。
渋谷龍太:おそらくこれを1人でやっていたら、ある程度の想像はつくと思うんですけれど、4人が集まってやっていることなので。それぞれの個がぶつかり合い混じり合った結果、生み出されるものだから、やはりこれはバンドならではなのかな、と思います。
上杉研太:何か不思議なんですけれど、この曲はアイデアや想像といったものが7割ぐらいしか浮かばなくて。だいたいベースを考える時は、“その曲はこれしかないだろう”というものを全部決め込んで行きますが、今回はそういうものが浮かばずに、でもある程度のことを考えたうえで臨んで。そうしたらその場でどんどん構築していくことができて、その曲自体の人物像が次第に明らかになった。最終的に渋谷が歌を入れた時に、“そういう顔してたのね”といったように初めてこの曲の全貌が見えたんです。
この感じは1人でベースを考えるといったやり方ではできなかった。それはバンドの良さというか。バンドをやめられなくなる、という瞬間に立ち会えた感じはしました。

名前を呼び合うことで生まれるもの
──タイトルは『名前を呼ぶよ』ですが、なぜ「名前を呼ぶ」といったことに注目されたのでしょうか?

柳沢亮太:今回映画の主題歌ということもあって、もちろん作品と自分たちSUPER BEAVERとでリンクするところは何だろうな、ということを最初に探すんですけれど、今回に関しては自然にというか。自分のためだけではなく誰かのために、何かのためにということが原動力になる気持ちは、改めて素敵なことだなと感じて。“それって何だろう?”というところから、今一度、出会いにフォーカスを当てて歌を作りたいな、と思ったのがきっかけでした。
それのモチーフとして、名前を呼ぶ、名前を呼ばれる、名前をお互いで呼び合うのは、出会わないと起こり得ないことだな、と。しかも出会うというのも、ただすれ違ったり一度挨拶を交わしただけというよりも、そこを起点として、その後も続いていく関係というか。その関係があるからこそ、名前を呼び合ったり、そこで生まれてくるいろいろな気持ちがあるんだ、と改めて思って作り始めました。

──それから歌詞の中でとても心に残ったのが「命の意味だ 僕らの意味だ」という箇所です。「名前」と「命」はどうつながっていると思われますか?
柳沢亮太:僕が書いた時に思ったのは、やはり名前はその人であることの一つの証拠というか、強い意味合いだと思うので。これまでSUPER BEAVERは“自分は自分であり、あなたはあなたである”ということをあらゆる角度から歌ってきたバンドであると思うんです。渋谷が「あなたたちではなく、あなたに」と言うこととも、すごく通じてくる話だと思うんですけれど、やはりその人のみを象徴するものが名前にはあると思っていて。そういったところは、今一度ちゃんと歌にしたかったというか。
名前というのはその人を象徴する一つのものだと思うし、誰かに名付けられた時から込められている思いがあって。そして人と出会い、名前を呼ぶ、呼ばれることで、どんどんその人でしかない理由が増えていく。だから「あなたの意味を 僕らの意味を」の部分は、すなわち命そのものの意味になるんじゃないかということが、作詞をするうえでの最初のリンク点でした。

──ちなみに皆さんが初めて出会った時、名前はどう呼ばれていましたか?
柳沢亮太:そもそも渋谷と上杉は先輩なので、最初は普通に「渋谷先輩」「上杉先輩」でした。僕とヒロ(藤原)は幼稚園から一緒で、「ヒロくん」と呼んでいたのが少しずつ「ヒロ」に変わっていったんです。
上杉研太:ヒロはやなぎ(柳沢)のことを最初は何て呼んでいたの?

藤原”33才”広明:「やなぎくん」じゃないかな。
上杉研太:「亮太くん」とかじゃなくて、やっぱり「やなぎ」なんだ。
柳沢亮太:「亮太くん」はなかったよね。
藤原”33才”広明:そう。それでぶーちゃん(渋谷)とリーダーは、電話帳とかにもたぶん「渋谷くん」とか「上杉くん」と入っていた。僕は高校が違ったので、本当に1つ上の人、という感じでした。

──いつからフラットな呼び方になったのでしょう?
渋谷龍太:一緒にバンドをやっていくので、年齢が上とか下といったことはいらないと思ったから、「そういうのは気にしなくていいよ」とかなり早い段階で言ったのがきっかけです。
柳沢亮太:でも僕はいきなり「渋谷先輩」から「渋谷くん」とは言えなかったので、無理やり「あだ名で言わせて」と頼んだんですよ。でも「ずっと『渋谷』か『龍太』で呼ばれ続けてきたから、あだ名はない」と言われたので、無理矢理「ぶーやん」というあだ名をつけて。最初こそみんな「なんだよ、それ」みたいな感じで呼びづらかったんですけれど、頑張って「ぶーやん」と呼んでいたら、それが定着していったんです。
リーダーはリーダーだったので、「上杉くん」というより「リーダー」の方が話やすかったから、そのままリーダーで。ヒロもたぶんそこらへんから、「ぶーやん」「ぶーちゃん」、「リーダー」になっていったんじゃないかな。
渋谷龍太:名付け親です。
柳沢亮太:(笑)。でもこんなに浸透するとは思わず。
上杉研太:渋谷も「絶対定着しない」と言っていたよね。
渋谷龍太:間違いなく定着しないと思ったんですけれど、しましたね(笑)。でも僕が「渋谷」のままでいたら、たぶん自分たちの音楽を聴いてくださる方やライブに足を運んでくださる方も、とっつきにくい部分があったと思うんです。あだ名があることによって距離が縮まった気もするので、今では「さん」とか「くん」をつけなくて呼べる名前が一つあって良かったなと思っています。

──名前といえば、渋谷さんは「澁谷逆太郎」という活動名義でソロプロジェクトを行っていますよね。

渋谷龍太:あれにいたってはバンドを組んだ時が高校生だったので舞い上がっていたんだと思うんですけれど、夢にまでバンドが出てきて。その時にメンバー3人に「本名でバンドをやるのカッコ悪いから、名前つけて」と言われて夢の中で考えたんだけれど、出なくて。そうしたら3人が「俺たちで考えるからいいよ」と言って、話し合いの末「今日から逆太郎になりました」というところで目が覚めたんですけれど。
柳沢亮太:ははは!
渋谷龍太:バンドを組んだ時、初めてブログを書いていた時から「逆太郎」という名前を使っているので、何らかの意味があるんじゃないのかなと勝手に思って。なんとなくズルズル引きずってしまった、というだけなんですけれど。

──ご自身の中でしっくりきたのは、いつくらいからですか?
渋谷龍太:何か最初から「逆太郎、いいな」と思っていて(笑)。自分で考えていることだから、3人に聞いても何の意味があるのかもたぶん分からないし。

上杉研太:それは身に覚えがないからね(笑)。
渋谷龍太:俺の夢の中で3人がしゃべっているから。ただ、3人がつけてくれた名前だし。
柳沢亮太:つけてないけどね(笑)!
渋谷龍太:そう、つけてないけど。俺の中で3人がつけてくれた名前だから、まあ何かあるのかなと思って、勝手に大事にしているんですけれど。

──すごく不思議な話ですね。自分もペンネームを使っていますが、こういった異なる名前は皆さんどうやってつけているのかな、と思って。

渋谷龍太:バンド名とか自分に異名をつけるのは、かなり不思議なことですよね。与えてもらった名前ならすんなり受け入れられるんですけれど。だって4人で集まって「SUPER BEAVERと呼んでくれ」と、自分たちで言うわけですよね。かなり不思議だな、と思って。
上杉研太:ははは!
渋谷龍太:でも何かの口火を切ったりとか、そこから何かがはじまるきっかけの0地点になったりすると考えると、すごく愛おしいものだな、と。まあ、人間ってかなり不思議なことするな、とは思っていて。だって4人で集まって「バンド名、何にする? SUPER BEAVER にしよう」といって、「僕たちのことをSUPER BEAVERと呼んでください」と最初に言うわけじゃないですか。“何それ?”と思うんですけれど、そこからいろいろなものがスタートしていくのだとすると、すごく愛おしいものだなと。ただ、起点としてはかなり奇怪なものだな、とは思ってます。

──本名というのは人からもらうものだけれど、バンド名とか、自分の意志で何か始めようとする時は、自分で名乗らなきゃいけない。
渋谷龍太:それって不思議ですよね。でも子どもにつける名前もそうですけれど、そこには何かしら願いがあって。“こういうふうに呼んでくれたらいいな”と言って、呼んでくれるものがどんどん広まっていって、名前=認知になって。そこから始まる歴史があって、と考えると、本当にこれがなければ始まらないことがたくさんあると思うので、何か不思議なものだなと、今でもずっと思っています。
柳沢亮太:今、渋谷の話を聞いて改めて思ったんですけれど、それが積み重なるから、やっぱり意味というものが生まれてくるんでしょうね。このワードを聞くと何を連想するか、みたいな。「〇〇さん」と呼ばれた時に、誰の顔を思い浮かべるかというのは、やっぱりその人の意味になっていってることを、改めて感じましたね。

──ちなみに今回の『名前を呼ぶよ』は映画『東京リベンジャーズ』の主題歌になっていますが、原作の『東京卍リベンジャーズ』を含めて特に好きなキャラクターを教えてください。

上杉研太:僕はドラケン(龍宮寺堅)好きです。セカンド的な立ち位置で、男らしく強い、みたいな。ああいうキャラクターは大好物です。
柳沢亮太:僕は場地(圭介)くんが好きですね。登場人物としては主人公ではない。けれど彼の精神が、この作品の根幹にあるんじゃないかな、と思っていて。そもそも主人公たちが属するリベンジャーズというチームの価値観を作ったのも、僕はそのキャラクターだな、と思いますし。誰かを思うとか、誰かを思うが故の行動みたいなところで一番濃い部分を持ってるのが、場地くんというキャラクターで。その気持ちがいろいろな人に伝わっているところが、この物語の根幹を支えているような気がしていて。あとは圧倒的に筋を通し続ける感じに、僕はすごくひかれました。

自分にしか分からない恥に向き合う
──シングル2曲目はライブの定番曲『東京流星群』(2013年リリースの4枚目のミニアルバム『世界が目を覚ますのなら』収録曲)の新録がきます。
実はUtaTenではアーティストが今1番伝えたい歌詞への想いを綴る「歌言(utakoto)」という連載コーナーがあり、そのvol.1を担当されたのが柳沢さんで『東京流星群』について執筆していただきました(ピックアップアーティストコラム歌言 SUPER BEAVER・柳沢亮太<vol.1>「東京流星群」 | 歌詞検索サイト【UtaTen】ふりがな付)。このコラムにはものすごい反応をいただきまして、「改めて勇気づけられた」といった声もたくさんありました。

柳沢亮太:なにせ8年前の楽曲なので、当時の自分たちとこの楽曲とともにいる今の自分たちの思考がまったく一緒なわけではないので。自分たちは『東京流星群』をずっとやり続けていますけれど、届き方は少しずつ変化してるのかな、とは思うんです。そして8年前の楽曲ではあるんですけど、今日現在の生活のどこかしらに響くというか、“ちょっと頑張ろう”と少しだけ視線が上がるといった気持ちになってくれるのは、すごくうれしいですね。
ピックアップアーティストコラム歌言 SUPER BEAVER・柳沢亮太<vol.1>「東京流星群」
https://utaten.com/specialArticle/index/6036
──「東京出身に劣等感を持っていたことに驚いた」という感想も多かったです。柳沢さんのコラムにも「10代限定の音楽コンテストの全国大会で、各地から集まった出場者が大人びて見えた」書かれていましたけれど、やはり当時は自分たちが持っていない何かの雰囲気を感じていたのでしょうか?
渋谷龍太:自分で決断するタイミングが多い人に対しては、素敵だと感じることも多いですね。地元を離れて東京に来た、というのは非常に見えやすい覚悟なので、すごいなと思いましたし、自分がやろうと思ってもできないことの一つではあるから、素敵に見えました。でもその覚悟をどのタームで決めるかは人それぞれですし、それは1つだけではない気がしています。
自分たちは上京することを選ばない、選べない分、他の部分での決断は多かったと思うから、今となってはそういう人たちと比べて何か劣っているとはまったく感じないのですが、当時はその年代でできる一番大きな決断な気はするので。その選択肢が僕らにはなかったし。
ただ正直、かなり恵まれた状況にいることをもっと有利に考えても、本当は良かったと思うんですよね。今でこそ、僕は23歳で別に1人暮らししなくても良かったな、と思っていて。
柳沢亮太:そうなんだよね。
渋谷龍太:なぜ自分が実家を離れて一人で暮らしてみようと思ったのか、とか。その恵まれた環境をあえて手放したかといったら、そういうところにコンプレックスがあったと思うし。でももう1回、それこそタイムリープじゃないですけれど、23歳に戻るなら、僕はたぶんずっと実家にいるでしょうね。
もちろん10年間以上一人で暮らしてみたからこそ思えることもかなりあるから、まったく無駄にはなっていないと思うんですけれど。無理に張り合おうとしないで、もっと有利に捉えて生かせばいいのに、と感じる部分もあるので。
柳沢亮太:すごく分かる。

──恵まれているがゆえに、申し訳なさを感じることはありますよね。

渋谷龍太:確かに恵まれていることに対して、いいのかな?という感覚は、僕も小さい頃からずっとありました。僕の地元は両親がいる家の方が圧倒的に少なくて。友だちが家に来た時に両親が家にいる環境を見られるのが恥ずかしいというか、“ごめん”と思う瞬間が結構あったんです。別にみんなはその当時、そのことに対しては何も思っていなかったと言うんですけれど、個人的にはそういう思いを抱いていて。どうにかして自分も同じ尺度でものを見ていたい、という思いが小さい頃からあったんですね。
だから一人で暮らしてみたいという希望も、そういうところから突き動かされているのもあった。僕は孤独と向き合う時間が極端に少なかったと思うんです。孤独とどう付き合い、一人で生きていることについて、どんなふうに向き合ったらいいのかなと、学生の時からずっと考えていて。なので正直、いてもたってもいられなかったという感覚はありました。
柳沢亮太:今、“恥ずかしい”という言葉がすごく腑に落ちたんです。恥ずかしいとか、それがコンプレックスであることって、すごく分かるんですよ。でもその感覚があって良かったなと思うし、そういう気持ちはいまだにいろいろなところであるんですよね。コンプレックスではなくなってきたのかもしれないんですけれど、何か歯がゆさというか。あの謎の劣等感と向き合うのは、すごくいいことだと思いますし。

──恥を持つことも大事、だと。
柳沢亮太:しかもその恥って、意外と自分にしか分からないことだったりもして。そことどう向き合うかは、この曲にも通ずることではあったと思います。
藤原”33才”広明:逆に僕はつい最近まで実家にいて、親に頭を下げてなんとか住まわせてもらっていました。ただいろいろ言われたりすることもありましたけれど、“他の人に何か言われることじゃないだろう”とは思っていたんです。ずっと実家にいることも、自分なりにバンドを頑張るために必要なことだと考えていたので。
柳沢亮太:渋谷や藤原の話を聞いて、すごく“それそれ”と思いましたね。実家暮らしが恥ずかしかったということとか、音楽をやるためにずっと実家で住もうというのも、一つの覚悟だと思うんですよね。誰に何と言われたって、その苦しみは音楽をやることには勝てない、という。そういう捉え方もきっとあった。
そういった固まりきらないアイデンティティとの戦いみたいなのは、ずっとあったと思いますし、今でもあらゆる細かい部分で続いているんだと思うんですよね。

──藤原さんも、深くうなずかれていますが。

藤原”33才”広明:うん。実家に暮らしていることとかそうですけれど、いいことというか、恵まれていることだけど、それが実はコンプレックス、みたいなことですよね。僕もずっと老け顔だと言われてコンプレックスでしたけれど、それは武器なんだと友だちやメンバーから教えてもらって。それを前面に出すようになったら、すごい武器を持っていたんだな、と感じるようになったんです。
上杉研太:武器にしか見えなくなってきた(笑)。
藤原”33才”広明:一歩踏み出せないからみんなコンプレックスを持っているけれど、周りから見ると、それは意外にコンプレックスではなくて、その人なりの特徴だったり、その人を形成しているキャラクターだったりするじゃないですか。でもその時は気付けなくて、だんだんそういうのがなくなっていった、という感じはあるんですけどね。みんなそうなのかな、と思います。

──柳沢さんがコラムで書かれていたように、願って、望んで、羨んで、今に無いものを欲してしまう、というのも『東京流星群』のテーマの1つですよね。
柳沢亮太:『東京流星群』は、当時そこに対する自分たちなりのちょっとしたカウンターだったと思うんです。ただ最初に言ったように、今日現在もここで歌っている気持ちというのはありますけど、やはり8年経ってみると、今と当時とではとらえ方が変化している、という気はしていますね。

▲SUPER BEAVER 「東京流星群」Teaser Movie
東京流星群 歌詞 「SUPER BEAVER」
https://utaten.com/lyric/ye15051524
呼ばれたもの以上の何かを残したい
──『東京流星群』は2013年当時と比べて、演奏面でどんなところが変わったと思いますか?

上杉研太:『東京流星群』は4人で合宿しながら録っていたんですよね。それこそライブでもっと歌い合いたいという思いから、こうやってみんなでシンガロングする曲が生まれていって。その後この8年間でSUPER BEAVERのライブをずっと何かしら担ってきた楽曲にもなってると思うし。そう考えたらこの曲自体も、8年間一緒に歩み続けてきて確実に培ってきているものがあるから。リアレンジに関しては特に前と比較して点と点で見るのではなくて、一緒に年をとってきた曲と人間という感じで、ただそれをレコーディングする、ということだけを考えてやりましたね。
やはりおのずと違いは絶対出てくるはずなんです。もちろん渋谷の歌い方もライブで変わってきたり、楽器だって当時と違うものを使っていたりしますし、ライブの時のニュアンスといったものも、若干入ってくる。それが自然に出てくるのが、正しいリアレンジなのかな、と思いました。

──リアレンジの方法を模索した中で、すっと出てきたものを素直に表現された、と。
上杉研太:いろいろな手法はあると思うんですけど、この楽曲においては、だからこそ前と今の良さが際立つような気もします。まったく違うものに構築するのではなく、同じようなところで勝負するからこそ光るアレンジかな、と思います。

──1曲目の『名前を呼ぶよ』はタイムリープで数年飛びながらSUPER BEAVERのこれまでのあゆみを表していて、『東京流星群』はずっと演奏続けて一緒に歩んできた楽曲。このシングルはSUPER BEAVERの歴史を表しているんですね。
柳沢亮太:今回はバチっとハマりましたよね。『東京流星群』が入るということ自体も、そうだと思います。

──今年の夏はさまざまなフェスの出演が控えていますが、どんな夏にしたいですか?
上杉研太:この大変な状況の中で、誘っていただいているフェスをすべてしっかりやりたいです。バンドとして良いパフォーマンスをしつつ、イベントとしてもコロナを巻き起こすことなく成功して、バンドの夏になればいいなと思っています。
渋谷龍太:誰かが動いたら、誰かが動かなくてはいけない。その状況を自分たちが作り出している側でもあるので。その中で自分がやることは、自分たちが立たされたその場で、呼ばれたもの以上の何かを残して帰るのが、音楽人としての責任の取り方だと思います。そういうところはぬかりないように、しっかりやりたいですね。
TEXT キャベトンコ
PHOTO 作原圭
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