世界的ベストセラーはこの日生まれた
7月16日は『ライ麦畑』誕生70年

全世界で6500万部、日本でも330万部を超えるベストセラー、J.D.サリンジャーの青春小説『ライ麦畑でつかまえて』『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(以下『ライ麦畑』)が初めて本国アメリカで出版されてから、今年2021年で70年目を迎える。

作品が出版されるまでの苦難

サリンジャーは1944年から第二次世界大戦に従軍、ノルマンディー上陸作戦に参加。『ライ麦畑』は従軍中にも執筆が続けられたが、サリンジャーは激しい戦闘とナチの残虐行為を目にしたショックから精神を病むことに。終戦後に完成した『ライ麦畑』は、当初予定した出版社からは「主人公がクレイジーだ」と拒否されたが、1951年7月16日、ボストンのリトル・ブラウン社から出版にこぎつけた。

世界的なベストセラーへ

発売当初は毀誉褒貶の嵐に巻き込まれた『ライ麦畑』ですが、またたく間に売上を伸ばし、世界中で翻訳されるようになった。日本では1952年ダヴィド社より橋本福夫訳『危険な年齢』として最初に出版され、1964年からは白水社が野崎孝訳『ライ麦畑でつかまえて』を刊行。2003年の村上春樹による新訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は大きな話題になった。

現在の日本でも読まれ継がれる、永遠の
青春小説

2019年、新海誠監督の映画『天気の子』では、主人公の少年が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を肌身離さず持ち歩くシーンが繰り返し登場。今夏公開された映画『漁港の肉子ちゃん』でも、主要人物である主人公の娘は『ライ麦畑でつかまえて』が愛読書。今なお、若者たちの心を捕らえるアイコンであり続けている。
(左)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』と(右)『ライ麦畑でつかまえて』

(左)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』と(右)『ライ麦畑でつかまえて』

原書初版の装幀

原書初版の装幀

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佐藤仁

日本だけでなく欧米やアジアのポップカルチャーやエンターテイメント、メディアの動向を幅広く取材。放送作家・番組制作協力も多数。

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