仮想空間上の幻想的なエキシビション
に圧倒される バーチャルで展示を味
わう『VRデビルマン展』レポート

2021年4月28日(水)から5月31日(月)まで、『VRデビルマン展~悪魔の心、人間の心~』が開催されている。本展は、漫画版の『デビルマン』とTVアニメ『デビルマン』、2018年にNetflixで配信開始された『DEVILMAN crybaby』の3つを軸にした展示イベント。会場は「VU (ヴュー) Virtual Utopia」だ。以下、新しい展覧会のあり方を提示する本展の、VR体験会の様子をレポートする。
リアルな映像と迫力あるサウンド
臨場感溢れる仮想空間上のイベントに没入できる
​「VU (ヴュー) Virtual Utopia」とは、株式会社東映エージエンシーと株式会社ソニー・ミュージックソリューションズがタッグを組み、アニメコンテンツとVR技術を融合させた、仮想空間エキシビション・プラットフォームのこと。VR機器やパソコン画面を通して楽しむことのできるバーチャルの世界で、バーチャルならではのアート表現を楽しむことができる。
左:使用したOculus Rift S 右:両手に持つコントローラー
体験会場にはOculus Rift Sが用意されており、それをセットしていざVRの世界へ。まずは目の前に広がるリアルな映像に驚く。映像上のイベント会場は臨場感がありながらも、現実の光景をよりクールにブラッシュアップしている印象だ。また会場で鳴り響くサウンドも、正面や背後からBGMが流れるのではなく、仮想空間の会場から直接音が聞こえてくるような迫力があり、より没入感を高めていく。ヘッドセットをしただけで早くも異空間に迷い込んだ気分になり、これから何が起きるのかワクワクしてきた。
なお、VRヘッドセットを持っていない場合でも、動作要件をクリアするパソコンやインターネット環境があれば、アプリをダウンロードすることで体験することが可能だ(詳細は公式サイトで確認を)。
ナビゲーターを務めるのは、大魔神サタンの側近である、悪魔(デーモン)のサイコジェニー   (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
さまざまなエリアと哲学的な内容
デビルマンの世界観をたっぷり堪能
展覧会への入場は有料だが、無料で体験できるエリアもある。無料エリアでは展覧会限定オリジナルグッズが購入可能なほか、各著名人からのコメント展示を鑑賞したり、自分がどんな悪魔に当てはまるか診断できる「デビルマン展 悪魔診断」などを楽しめたりするので、まずはそちらを周遊して雰囲気を感じてみよう。
無料エリア。展覧会の雰囲気を味わうことができる、スタイリッシュな空間だ  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
無料エリアにある『デビルマン展 悪魔診断』  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
有料エリアは11に分かれており、各エリアは「悪魔の心 -desire-」「人間の心 -fear-」「悪魔の心 -emotion-」「人間の心 -heart-」など、それぞれテーマに沿った空間が広がっている。
エリア「02.悪魔の心 -desire-」より  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
現実ではありえないイベントを堪能
ゲームともリアルの展覧会とも異なる、全く新しいエンタテインメントを体験
本イベントは、炎の燃えさかる場所や、幻想的な美しい情景、浮遊物体が行き交う空間など、現実世界では実現が難しい、もしくは不可能な場所が展示空間になっている。こうした体験ができるのは、仮想空間だからこそ成せる技だろう。
エリア「03.人間の心 -fear-」より  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
エリア「04.悪魔の心 -emotion-」より  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
展覧会でありながらもさまざまなギミックが仕掛けられていて、インタラクティブに楽しめるのも本イベントの特徴だ。ゲームのようにクリアすべきミッションはないが、提示されたものに身を任せるのではなく、自分で探索しながら鑑賞できる。また、仮想空間上には決められた動線がないので、順番や方向を気にすることなく、自由に回遊することが可能だ。会場に訪れた人それぞれが独自の鑑賞方法を見つけ、“仮想空間上の展示イベント” という新しい試みを体感できるだろう。
なお、バーチャル映像で気分が悪くならないか心配だという人のために、映像酔いしにくいよう工夫されているとのことだ。
エリア「05.人間の心 -heart-」より  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
本イベントは関連グッズも非常に充実している。Tシャツやタペストリー、アクリルスタンドなどのアイテムのほか、『VRデビルマン展』ならではと言えるマニアックなアイテムも勢揃い。デザインは赤と黒をベースにしたスタイリッシュなものが多く、デビルマンのビジュアルを強調したアイテムから、モチーフがさりげなくあしらわれたものまで取り揃えている。グッズは無料エリアで購入できるのも嬉しい。
無料エリア。ここでグッズを参照することができる  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
グッズの一部。新着情報は公式サイトにて随時案内されるので確認しよう  (c)永井豪/ダイナミック企画 (c)ダイナミック企画・東映アニメ―ション (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project (c)VRデビルマン展実行委員会
原作の漫画版『デビルマン』は1972年から1973年にかけて『週刊少年マガジン』にて連載。50年近い年月が経った現在までの間に、テレビアニメやOVA、Netflixなど、メディアミックスを繰り返しながら広く受け入れられてきた。本イベントは原作の世界観をリスペクトしながら、アニメとNetflixの重要なエッセンスやシーンを採り入れており、『デビルマン』の作者である永井豪も本展を体験し、大変面白いとポジティブに捉えたとのことである。
ゲームでもリアルの展覧会でもない、全く新しい体験を提供する『VRデビルマン展~悪魔の心、人間の心~』は、今後さまざまな形で展開されることが予想されるVR展示イベントの先駆けとなるだろう。是非この機会を逃さずに体験していただきたい。
※有料エリアでのキャプチャ画像の転載は禁止されています。記事中の写真や画像は主催者の許可を得て撮影・取得しています。

文・写真=中野昭子

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