『speakeasy podcast』×SPICE連動企
画、第二回ゲストは向井太一 海外の
ボーダーレス文化から得た、探し求め
ていた答え

海外音楽情報専門Podcast『speakeasy podcast』とSPICEの連動インタビュー企画の第2回となる今回は、4月21日(水)に約1年半ぶりにアルバム『COLORLESS』をリリースする向井太一をゲストに迎えた。自己愛をコンセプトとした同アルバムには、ジェンダーや体型などのボーダーを取り払うような活動をする海外アーティストの影響も受けているそうだ。SPICEではアメリカやイギリスだけでなく、フランスやポルトガルなど、様々な海外アーティストの楽曲を聴く向井太一と、ホストでMCの竹内琢也が織りなす濃厚なトークのダイジェスト版をお届け。詳しい内容は、4月21日(水)と5月5日(水)に配信される『speakeasy podcast』をチェックしよう。
speakeasy podcast
●『COLORLESS』は無色ではなく真っ白なキャンバス●
向井太一
竹内:ニューアルバム『COLORLESS』が4月21日にリリースになります。前作の『SAVAGE』と昨年配信されたEP「Supplement」の3作品には繋がりを感じます。
向井:『SAVAGE』はミュージシャンとしての自信を失いかけていた時期に作ったので、不安や憤りをぶつけた作品でした。アルバムツアーをしていくうちに、自分の弱さを曝け出してもそれを受け入れてくれるファンがいることがわかり、そこからは弱さも受け入れられるようになりました。その後にコロナの時期が来てしまい、音楽や芸術の必要性が問われていましたよね。なのであえて栄養サプリのように生活の上で必須ではない音楽を通して、先の見えない不安を抱える人に、寄り添ったり背中を押してあげたりしたいなと思い、配信EP「Supplement」を作ったんですよ。この2作から『COLORLESS』は繋がっていて、聴く人のメンタルヘルスになればと。自己愛や自分らしさが、ネガティブな感情をポジティブに変えるパワーになることを落とし込みました。
向井太一
竹内:それはすごく伝わってきました。『COLORLESS』というタイトルについてですが、このアルバムにはたくさんの方が参加しているし、音色も含めて色があるなと感じました。何がカラーレスなんだろうと(笑)。単なる無色とは違う気がします。
向井:外から見た僕はたくさん色を纏っている状態だと思うんですよ。いろんな音楽をしてきたし、音楽以外でもいろんなことをしているし。アートワークも全面的に色を主張しているけど、あえて『COLORLESS』というタイトルをつけたのは、人が受ける印象と相反する自分の中の信念を表現したかったんです。絵で例えると重なる色の基盤となっている、真っ白なキャンバスみたいなものをコンセプトの中心として考えました。どれだけ塗り重ねて行っても、自分自身であることには変わりないから。このコンセプトを決めてから「向井太一」というフィルターを通せば、違うものに手を伸ばしても大丈夫だと、自分の活動に対しても否定的になることがなくなりましたね。
向井太一
→向井太一がこれまでに観た海外アーティストのベストライブ。
向井:トータルで考えると、エリカ・バドゥのライブですね。2017年にビルボードライブ東京で初めてエリカ・バドゥのライブを見て。高校くらいからずっと聴いていたのでそもそも神様みたいな存在で、目の前にいるのも不思議でした。特に3曲目くらいに演奏した「On & On」で本人が最初のビートを叩いていて。そのビートが鳴った時に、僕ともう1人の黒人女性が同時に2人だけ立ち上がったんですよ(笑)。その時でも最高だと思ったんですけど、僕の後ろに『SOUL CAMP』で来日していたフェイス・エヴァンスがいて。後ろを見たらフェイス・エヴァンス、前向いたらエリカ・バドゥが「On & On」を歌ってる状況でパニックになっちゃって(笑)。いろんな意味で忘れられませんね。
向井太一
→影響を受けている海外のカルチャーがあれば教えてください。(ファッション、国、シーンなど)
向井:ファッションは面白いなと思いますね。ゴツいラッパーの人や、僕が好きなトロイ・シヴァンとかが、ウィメンズのドレスを着るのを見て自由だなと感じています。トロイはゲイのアーティストですけど、ハリー・スタイルズみたいなストレートの人でも着ていますよね。日本で捉えられている男性が女性らしくなるようなジェンダーレスではないので、女性らしくはないんですよ。
向井太一
竹内:今までよく言われていたような中性的なアーティストとまた違い、どちらがどうとかではないんだなと。
向井:そうそう、そういうのを見ていると日本で言われているジェンダーレスの文化は、海外とはまだギャップがあるなと。オリジナリティや面白さもあるし、僕がやりたい自分のブランディングとかアプローチはまさにそうだなと思っていて。私服でもウィメンズの服を関係なく着るし、でも別に女性らしくなりたいわけではない絶妙なバランスがしっくりきたんですよね。『COLORLESS』のジャケットでもそんな要素を入れてみました。
向井太一
竹内:僕も自分らしいスタイリングをアーティストが発信するのことに興味があります。特に、スカートを纏うハリースタイルズには感動しました。他には例えばビリーアイリッシュとリゾの論争がありますよね。ビリーアイリッシュは自分の体型をあまり見せないようなオーバーサイズのものを着て、リゾは逆に自分の体型を見せるような。
向井:リゾのボディポジティブなメッセージには涙出るほど感動して。彼女は元々いじめられっ子で、自分に自信がないと、今の姿からは想像できないような過去があったみたいです。でも自分自身も自分の体型も好きになったようで、なんて素晴らしいアーティストだと思いました。日本では少し昔だと、そういう体型はいかに隠すかを考えられていたと思いますが、最近は自分自身のありのままを好きになるラブマイセルフ精神が出てきて。それが素晴らしくて、今のアルバムに影響を受けているなと思いました。自分自身を受け入れることは、今までも言われてきたと思うけど、より形が変わってきましたよね。自分がデビューから探し求めていたものの答えが見つかった気がします。
向井太一
→現在、よく聴いている海外アーティストの曲を3曲教えてください。
(1)ネニー「WAVE」
(3)メラニー・フェイ「Super Sad Always」
向井太一
文=川井美波 撮影=ハヤシマコ

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