作・演出の霧島ロックが語る、舞台『
ッぱち!』の行方は!?~「越岡裕貴
と室龍太の存在で台本の空気感が変わ
った」

2021年5月13日(木)~5月19日(水)東京・銀座 博品館劇場、5月21日(金)~5月25日(火)大阪・松下IMPホール、そして東京凱旋公演として、5月28日(金)~6月6日(日)ニッショーホールにて、舞台『ッぱち!』が上演される。本作は、脚本・演出家の霧島ロックが、大阪の街の片隅を舞台に、世間からちょっとはみ出した人たちが、ほんの少し、前に歩き出す物語を、笑って、笑って、そしてちょっと泣ける舞台にした珠玉の作品。全編ほぼ関西弁で上演される。
主演には大阪府出身で、ジャニーズ事務所の4人組人気グループ「ふぉ~ゆ~」で活躍する越岡裕貴。そして越岡扮する主人公・吉岡雅人の小学校時代の友人で、20年ぶりにやってくる河野裕之役には、舞台での活躍が目覚ましい京都府出身の関西ジャニーズJr.室龍太が務める。関西出身の初共演二人が織りなすテンポの良い笑いと、感動の人情劇をおくる。
本作について霧島に話をうかがった。
ーー まずはこの『ッぱち!』をどんな作品にしようと考えていらっしゃいますか?
この作品は2019年に初演をやりまして、その後「2021年はこの顔ぶれでやりたい」とお話をいただいたんです。初演では、越岡さん室さんよりも役の年齢設定が高く、なかでも主人公の吉岡はいろいろな事情を抱えていることもあって、決して華やかなキャラクターという訳ではないんです。だからこの役を越岡さんにお願いするのはいかがなものかと。でもこの前、ビジュアル撮影でお二人とお会いした時に、お二人とも関西出身で、楽しい人たちで思ってた以上に関西人だったなぁと(笑)。このお二人なら大丈夫だなと感じました。
また初演時にやったのは下北沢でいつも使わせて頂いてる劇場でしたが、やってみてこの作品ならもう少し大きな箱でやりたいなという想いもあったんです。で、今回の会場を聞いたら思っていた以上に大きな箱で(笑)、これは挑戦させていただきたいと感じています。
ーー越岡さんと室さんが“思っていた以上に関西人”という表現が気になるんですが(笑)、お二人それぞれの印象や二人が演じる役どころとの親和性をもう少し聞かせていただけますか? 特に越岡さんはファンの方のなかにも彼が関西出身だと知らなかったという声があがっているくらいなので。
『ッぱち!』
そうみたいですね! 本人も舞台上で関西弁を使ったことはないとおっしゃっていたし。それを聞いて僕自身は逆に嬉しかったんです。よくこの役者はこんな役をやりがち、というのが僕は好きじゃなかったので。その人にとっては普段あまりやらない役、挑戦的な役をやってもらいたかったんです。
彼には台本を読んでビジュアル撮影に臨んでもらったのですが、彼なりにこんな人物ではと想像して役作りをしていただいたこともあって、撮影されたのを見た瞬間、「吉岡だ!」と実感できました。これから稽古が始まりますが、越岡さんが吉岡とどう混ざり合うのかが楽しみですね。初演とはまた違う、こちらでは思っていなかったような吉岡という人物が生まれそうです。
そして室さん。当日はすごくテンションが高くてちょっと予想外でした(笑)。河野は台本を書いた時のイメージだとちょっとしっとりめでスマートなんです。東京でデザイナーという仕事をしていたという背景からですが。だから、関西で生きていた人が一時期東京で生活していて、戻ってきた直後はちょっと標準語を使っているが徐々に関西弁に戻っていく、という様を想像していたんです。ですが、撮影時のことを思い出しながら台本を直していると、めっちゃイキイキしているんですよ、河野という役が。そのままのイメージと勢いで書くとすごく喋るので、台詞をカットするのが大変です(笑)。あまり台詞を長くするのもなんなので、吉岡に「すごく長く喋るねぇ」と、関西弁になった途端すごくキャラがイキイキしているね、と言わせてしまいたくなっています。
二人が加わったことで台本の空気感もすごく変わりました。彼らがそれぞれに持っている人生観を描いてほしいですね。今から彼らに望むもの、というかやってほしくないことですが、自分はこうしたいという強い考えや衝動があるのに、演出家の求める事とそぐわないからといって、それを伝えずに引っ込めるのはやめてほしいです。「ここは違うと思います」と、どんどん遠慮なく思ったことを口に出してほしいですね。
ーーこれからの稽古場が楽しみですね! さて、ズバリ霧島さんからみた本作の見どころは?
大阪で古道具屋を営む吉岡という男と、大阪から出て東京でデザイナーとして活動してきたがひょんな事情で大阪に戻ってきた河野という男が訪ねてくるところから話が始まりますが、それぞれに抱えていることがあって……実は私が手掛けた作品の中では一番何も起こらない話なんです。ですが物事が治まったあとで、どう顔を上げて生きていくかが見どころなんじゃないかなって。吉岡の周りにはちょっとおかしな人達がたくさん集っていて、一見、吉岡はいちばんまともなので彼らを助けているようなんですが、よく見るとそんな人達にむしろ助けられているような関係性があり、人と人が寄り添って生きていることの大切さみたいなことを感じていただけたら。
今はSNSなどで“友人”は無数に増えていきます。それこそ名前も顔も知らないけれど、知っているという人たちが。でも何かあった時に「何やってんだよ! こっちだよ!」と腕をひっぱってくれるような人って実はほんの一握りで、そんな一握りの存在を忘れちゃいけない。そんな人たちの存在を忘れないでいたら、困難が生じた時にも、どうにか大丈夫なんじゃないかなって。そういう人たちの大切さを描いていけたらと思っています。
取材・文=こむらさき

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