『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』
テレン松本大、オーサムatagi&PORI
N、フレデリック三原健司、SCANDALの
MAMIが過去最大キャパで豪華共演

『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』2021.3.7(SUN)なんばHatch
『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』が、3月7日に大阪・なんばHatchにて開催された。
FM802弾き語り部の2021年、初にして過去最大キャパでの公演となったこの日は、FM802弾き語り部・部長の松本大(LAMP IN TERREN)をはじめ、atagi&PORIN(Awesome City Club)、三原健司(フレデリック)、MAMI(SCANDAL)と、松本以外は新入部員ばかりというフレッシュな面々が集結。昨年のコロナ禍での開催のノウハウを駆使し、今年も万全の感染予防対策が実施された安全・安心な環境で当日を迎えた。
まず、「やってきましたなんばHatch、大きな拍手がめちゃめちゃうれしいです! 一緒にまたこうやって集まれる場所ができました」と登場したのは、FM802弾き語り部宣伝係の飯室大吾。続いて女子マネージャーの田中乃絵、「万年仮部員」と紹介された(笑)樋口大喜とFM802DJ陣が現れ、黄色いキャップにFM802弾き語り部公式グッズの白いセットアップと、いつになくカジュアルないでたちの松本がステージへ。
『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』
そして、いつもはライブの最後に出そろっていた出演者が早くも顔を見せ、「関西には1年2カ月ぶりに来たんで、僕らとしてもすごくテンションが上がってます。楽しくライブができたら」(atagi)、「こういう形態でやったことがほぼないので、今日は特別バージョンということで。ドキドキしながら頑張ろうと思います」(PORIN)、「弾き語りは2度目なんですけど、とにかく新入部員らしく、初々しく頑張ろうと思います(照笑)」(MAMI)と、次々に想いを語っていく。
ここで飯室が、「三原の健ちゃんが声出ししてて、良い声で秦基博の曲とかが聴こえてくるんですよ」と楽屋での様子に触れ、「1人で弾き語りでライブをするのは生まれて初めてなんですよ。なので今日は、「緊張」という言葉は使わないように(笑)」と三原が返すなど話も尽きないところで、トップバッターのMAMIがセッティングを開始。松本が高校生の頃、母校にSCANDALがライブをしに来たという当時の逸話も飛び出しながら、それ以来の対面というMAMIを舞台へと送り出す。
MAMI(SCANDAL)
広いステージの真ん中でアコースティックギターをつま弾き、グッと優しいムードに引き込まれた1曲目は「Departure」。出会いと別れの季節でもある今回の『春うらら編♪』にピッタリの切ないメロディが沁み渡る。日頃のバンドサウンドのすごみとは異なる素朴なギターの音色と歌声が、音圧に頼らずともSCANDALの楽曲の芯にある魅力を十分に伝える。チューニングする生音すら明瞭に聴こえる静寂の中で、「次は手拍子でもしてみますか?」とMAMIがアコギのボディをタップし促すと、「Stamp!」ではクラップとともに温かな気持ちに包まれる。
「改めまして、新入部員のMAMIです。初めましての方も今日はめちゃくちゃ多いんじゃないかなと思うんですけど、私は普段SCANDALというバンドでギターを弾いています。去年、初めて京都で弾き語りをやらせてもらったとき、FM802の方に「弾き語り部なんていうものがあるんだけど、今度ライブがあったらぜひ」と言われたのが本当に実現して。呼んでいただけたことをうれしく思います。手拍子もありがとうございました(照笑)。次はちょっとしっとりめに、「LOVE ME DO」という曲を聴いてください」
MAMI(SCANDAL)
ブルーの照明だけが彼女を照らしながら、深いリバーブの海の底にいるような神秘的な空気の中で響き渡るファルセットに、ギタリストとはまた異なる可能性を感じる。MCでは、「今年で結成15周年を迎えまして」とバンドのアニバーサリーとそれに伴う夏の大阪城ホール公演での再会を約束しつつ、「『春うらら編♪』ということで、もうちょっと春の曲をやりたいなと思って」と、スピッツの「春の歌」のカバーを披露。まさに『春うらら編♪』にうってつけのセレクトで、オーディエンスも心地良さそうに身体を揺らす。
MAMI(SCANDAL)
「会いたい人となかなか会いづらかったり、ライブでも声を出せなかったり、汗をかいて動けなかったりもするけど……お客さんの前でライブをすると生き返るなという感じがします。明日からも頑張ろうと思いました。皆さんも一緒に頑張りましょう」
MAMI(SCANDAL)
切々と歌い上げた最後の「声」まで、人柄が音ににじみ出るようなステージで魅了したMAMI。彼女がそうだったように、きっとそこにいたオーディエンスも、目の前でライブを見ると生き返る気持ちだったことだろう。
atagi&PORIN(Awesome City Club)
「本来は3人組なんですけど、今日はatagiとPORINで弾き語らせていただきます。春らしい曲を1曲目に持ってきました。FM802と言えばこの曲」(PORIN)と、Awesome City Clubの2人がかわいい鉄琴の音色とシンプルなアコギのストロークで最初に聴かせたのは、「4月のマーチ」。PORINのコケティッシュなボーカルにatagiのコーラスが寄り添うかつてのFM802のヘビーローテーション曲(2015年4月度)は、洗練されたサウンドデザインから歌とメロディを抽出しても、そのうまみは全く失われることがないといきなり証明してみせる。
atagi&PORIN(Awesome City Club)
そして、「菅田将暉さんと有村架純さん主演の映画『花束みたいな恋をした』にちょっと出演させていただいて、劇中でもいくつか曲を使っていただいてるんですが、その中から1曲、恋の始まりのキッカケとなった曲を聴いてください」(PORIN)と、「Lesson」ではメインボーカルがatagiにスイッチ。冒頭から男女ツインボールの特性を活かし色とりどりに魅せていく。
最新アルバム『Grower』からの新曲「夜汽車は走る」では、その豊潤なメロディとコーラスワークに酔いしれ、楽曲が良ければ全てを突破できると感じさせるような「燃える星」もしかり、非の打ちどころがないポップセンスを存分に味わう贅沢な時間が過ぎていく。大阪での久しぶりのライブに充実の表情を浮かべたatagiが、「まるっと1年も大阪に来なかったことなんて今までになかった気がするので、ものすごくヘンな気分なんですけど……ようやく来れました!」と告げると、フロアからは温かな拍手が巻き起こり、そのまま「弾き語りでやるのはひょっとしたら初めてかな」(atagi)と届けた「ceremony」では、楽曲の持つ多幸感に会場の手拍子が花を添え、何ともハッピーな光景がなんばHatchに生まれる。
atagi&PORIN(Awesome City Club)
ラストは、「きっと知ってくださってる方もたくさんいらっしゃるんじゃないかな?」(PORIN)と、待望の「勿忘」を。前述の『花束みたいな恋をした』のインスパイアソングとして制作され、彼らが注目を浴びるキッカケとなったこの曲の美しくも切ないボーカルの掛け合いに、息をのんで聴き入るオーディエンス……。
atagi&PORIN(Awesome City Club)
「「勿忘」はみんなが歌いたい曲というよりは、Awesome City Clubを見ていたくなる、あの2人だからより美しさを増す曲。聴いていたくなる/見ていたくなるものを作れる人ってすごいなと思う」と、部長の松本も称賛の声を送ったatagi&PORINのライブ。バンドとして再びチャンスをつかみつつあるのは、彼らが途切れずにグッドミュージックを世に問い続けてきたからこそだと確信させるようなステージだった。
三原健司(フレデリック)
そして、事務所の後輩でもある松本から直接電話でオファーされたというフレデリックの三原は、その歌声とメロディの個性を思い知らされる「ミッドナイトグライダー」からスタート。真夜中の孤独な叫びのような歌声が、なんばHachの高い天井にスーッと伸びていく。「うわさのケムリの女の子」でも、真っ赤な照明に照らされながら朗々と歌い、フレデリック特有の白昼夢のようなトリップ感と中毒性にどっぷり引きずり込まれる。「ほねのふね」では軽快なストロークに手拍子が自ずとシンクロし、共にライブを作っていく光景に三原もうれしそうにほほ笑む。今やアリーナクラスのライブをやり遂げるフレデリックの最小形態&人生初の弾き語りライブを見られるFM802弾き語り部、レアです。
三原健司(フレデリック)
「めちゃくちゃ温かいやん」と会場の静かなる熱量に支えられているのを一身に感じながらも、「atagi&PORINさんもMAMIさんも良いライブだったし、めっちゃ緊張感が高まる(笑)。でも、みんなに助けてもらってます、ありがとうございます! 今まで弾き語りをしたことはなかったんですけど、事務所の後輩でもあり部長からの誘いを先輩として断るわけにはいかんなと思って」と語った三原に対して、ステージ脇の松本からは「あざす!」と合いの手が入る(笑)。そして、「ちょっと自分もやってみたいという好奇心が勝っちゃって。できるかどうかじゃなくてやりたいので、すぐに返事をさせてもらいました。こうやって背中を押されてやれるのがすごく嬉しいです。今日をキッカケに俺のバンド人生も変わるんやろうなと思ってますし、改めて部長には感謝です」と続けた三原の言葉に、会場からは大きな拍手が。
三原健司(フレデリック)
「皆さん、オープニングからいるんですよね? じゃあ一旦記憶を消してもらってもいいですか? 今日はカバーをやろうと思ってて、まさかネタバレされるとは夢にも思ってなかったんですけど、秦基博さんの「鱗」という曲をやらせていただきます(笑)」
フレデリック✕秦基博は一見、意外な組み合わせだが、どちらも確固たるオリジナリティがあるからこそ、その2組が溶け合ったようなこのカバーは、三原の歌声の新しい領域を引き出すかのように新鮮に映る。
三原健司(フレデリック)
「不思議なのが、1人で歌ってるけど1人じゃないみたいな……バンドをやってる人が弾き語りをやるときってこういう感覚なんやと、今味わいながら楽しくやらせてもらってます。僕はある程度ケツを叩かれないとやっていけない性格なので、いつでもまた呼んでください。貴重な体験をありがとうございました!」
オレンジの照明に打たれながら切なく声を上げた「たりないeye」で、音楽人生初の弾き語りライブを終えた三原。バンドとして、そして1人の歌い手として、新たなスタート地点に立ったような30分間だった。
松本大(LAMP IN TERREN)
そんな三原の出番後に平謝りの飯室大吾とともに(笑)、「ストイックさではかなわない」と舌を巻いたトリの松本は、「自分でこの出順にしといてなんですけど、お手柔らかにお願いします」と言っておきながら、「ムーン・リバー」のカバーで瞬時に会場を引き寄せる。かと思えば「月のこどもたち」では、どこかファンタジックな世界観を豊かなダイナミズムで描いてみせる。月夜に彼が部屋でピアノを奏でる姿が目に浮かぶようなこの感覚は、時間と空間を共有するライブならではだ。
そこから「Fragile」への流れもため息が出るぐらいに絶妙で、今度は力強い歌声でもオーディエンスを圧倒。冒頭のMCではしっかりエクスキューズを入れていた松本だが、部長でありトリにふさわしい万感のパフォーマンスで、「楽しんでおられますでしょうか。デッカい場所で弾き語りを楽しむって良くないですか?」という彼の問いかけに、盛大な拍手で応えるオーディエンス。
松本大(LAMP IN TERREN)
「3~4年くらい弾き語り部をやってきたんですけど、なんばHatchは一番大きな会場で。最初はホントに大丈夫かなと思ってたんですけど、ふたを開けてみれば素敵なアーティストの連続、かつ天井の高いステージに響く歌声……絶対良いだろうなと想像しながら大阪まで来ました。僕が一番楽しんでると思います。この場を作ったのは他ならぬアーティスト、スタッフもそうですけど、この会場に遊びに来てくれた皆さんもそうなので。こんな時代だからよりそう思います、ありがとうございます! 『春うらら編♪』ということを今日ここに来てから思い出しまして……カバーですが春の曲をやりたいと思います。(チューニングをしながら)ホントにそのうち大阪城ホールとかで、これ(=FM802弾き語り部)をやっちゃうんじゃないかと思ってるところあるよね(笑)」
松本大(LAMP IN TERREN)
あながちあり得ない未来ではない予言めいた発言を経て、再びのカバーは松任谷由実の「最後の春休み」。よくもまぁこんなにも見事に青春時代を描けるものだとユーミンのすごさを再確認するのもカバーの、音楽のバトンをつなぐFM802弾き語り部の面白さの一つと言えるかもしれない。
松本大(LAMP IN TERREN)
続く「Enchanté」でも情熱的なパフォーマンスでフロアをくぎ付けにし、「どこまで届くんだろう? こういう会場だから、ちょっとやってみたいことがあるんだよね」とマイクの前を離れ、ステージの前っ面へと移動しモニターアンプに腰掛けた松本が、最後に生声✕生ギターのアンプラグドで聴かせたのは「EYE」。驚いたのはマイクを通さずとも2F席の端まで遜色なく届く彼の歌声と、関西では有数のキャパのライブハウスにも関わらず、ここまで身近に感じさせるライブ力。彼に向けられた拍手の大きさが、それを如実に物語っていた。
『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』
最後のセッションでは出演者が再度勢ぞろいし、和気あいあいとした雰囲気の中でPORINが歌い出したのは松田聖子の名曲「SWEET MEMORIES」。
『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』
その後もMAMIがメロディを引き継ぎ、男性陣がコーラスを担当するなど、代わる代わるメインボーカルが入れ替わる豪華リレーで、FM802弾き語り部の2021年の幕開けとなる1日を締めくくる。それぞれにキャリアを重ねながらも、なかなか見られない弾き語りでのパフォーマンスを、アーティストもオーディエンスもとことん楽しんだ一夜となった。

『FM802弾き語り部-春うらら編♪-』
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生)

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