【高橋玄 インタビュー】
音楽によって変われたから、
僕の音楽も何かのきっかけになれたら
音楽に専念できるように
思い切って通信制の学校に変えた
そんなメジャーデビューアルバムの1曲目はご自身の以前の活動名だった「おさるのうた」ですね。
“おさるのうた”でずっとやってきたし、慣れ親しんでる方もいるから、名前が変わることに少し抵抗感があるのかなという気持ちもあって。それで“ただ名前を変えます”ではなくて、曲として残しておきたいと思ったんです。そういう想いで歌詞も書きました。
やさしい声なんですけど、強い想いが感じ取れ、《変わっていても心は変わらずに いつだって歌を届けてゆくから》という歌詞から決意が伝わってきました。ギター一本でTikTok的に曲が短いというのもインパクトがありますし、イラストのMVも素敵ですね。
クォークさんという方で、本当に可愛いイラストを描かかれるんですよ。自分の絵とは比べものにならない(笑)。たまたまスタッフさんが見つけて、それでお願いしたんです。
TikTokは二次創作の動画がたくさん作られるのも特徴ですが、「おさるのうた」に関してはいかがですか?
実はこの曲を使って2次創作物を上げてくれている方に、ペットを飼われている人が多くて。スタッフさんが動画を上げている方に話を訊いたら、《変わってゆくけど愛しておくれ》という歌詞に共感されたそうです。僕はファンの方に対してのメッセージで作ったのですが、そういうとらえ方もあるっていう新しい発見をしました。
なるほど。そして、2曲目の「セイカツ」はご自身の人生を変えた歌ですね。
作られたのは2019年12月ということで、新型コロナウイルスはまだ発生していない時期ですよね。当時はどういう背景から作られたのでしょうか?
普通にギターを弾いてる時に、《君がいない日々生活毎日は》という歌詞とメロディーがバッと降りてきたんです。でも、どこかにこの曲の歌詞みたいな気持ちがあったんだと思いますね。
そんな「セイカツ」が広まっていく中で、みなさんからの反応で印象的だったことは?
やはり“自粛期間の曲”と言われるのがびっくりで。たまたま自粛時期と重なっただけなんですけど、“そういうふうにとらえている人が多いんだなぁ”と思いました。
これまでにない反応や感想が届いたと思いますが、そういったことは曲作りに影響しましたか?
次に出す曲が少しだけ怖かったというか…「セイカツ」を超えなきゃいけないじゃないですか。やはりそういう気持ちはありましたね。
確かに。そういったプレッシャーを背負って書いた曲は何でしょうか?
ラストに収録されている「さよなら青春」は、確か次くらいに作った曲だったと思います。
これ、青春時代の真っただ中にいる高橋さんが“さよなら青春”という曲を書いたことに驚きましたよ。
高校1年生の時とか、友達に救われてきたので。だから、そういうことを曲にできたらいいなと思ったんです。
どんなことで助けられたのですか?
レポートを見せてくれたり、写してくれたりとか(笑)。そういった些細なことなんですけど、やっぱり友達はいいなと思って。
学生らしい!(笑) ご自身は友達の中ではどういう性格だと思いますか?
だいぶ気分屋だと思います。“その場が楽しければ”という考えなので、一番ずるい人間かもしれません(笑)。
あははは。でも、高橋さんはその後、通信の高校に変わられたとのことなので、今までの学校生活と離れたのは卒業した感覚と似ているのかもしれないですね。
自分の中ではそうですね。これまでの学校と通信はまったく生活リズムも違って、友達とのコミュニケーションをとる時間も以前とは変わったので。ある意味で“さよなら青春”かなと思いました。
このまま楽しく学校生活を送るという選択もあったと思うのですが、通信の学校に変わるという決断に至った大きな要因は何でしょうか?
一番は音楽を作るタイミングがすごく不定期だったことです。思いついた時にすぐ作りたくなるので、深夜3時ぐらいに書き始めたりしていたから、生活リズムが普通の学校生活とはずれてしまっていたんです。僕はアーティストになりたかったし、音楽に専念できるように思い切って通信制の学校に変えました。