平方元基×ウエンツ瑛士×笹本玲奈ト
リプル主演! 豪華キャストで贈る『
メリリー・ウィー・ロール・アロング
』ビジュアル撮影レポート

平方元基✕ウエンツ瑛士✕笹本玲奈のトリプル主演で、2021年5月17日(月)〜31日(月)に新国立劇場 中劇場にてブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』~あの頃の僕たち~が上演される。
本作はブロードウェイのショービジネス界を舞台に、3人の人生の遍歴を中心に現在から過去へと約20年間を遡っていく群像劇。作詞・作曲は『スウィーニー・トッド』や『リトル・ナイト・ミュージック』で知られる巨匠スティーブン・ソンドハイムが手掛け、演出をウエストエンドで活躍する大女優でもあるマリア・フリードマンが務める。キャストには平方、ウエンツ、笹本に加え、朝夏まなと、今井清隆昆夏美ら実力派ミュージカル俳優が集った。
2020年11月某日、都内スタジオにて本作のビジュアル撮影が行われた。上記6名の撮影現場の様子を、撮影直後に行った個別インタビューと共にお送りする。
平方元基/フランク役
漆黒のタキシードにオールバックのヘアスタイルで颯爽と登場したのは、平方元基。シンプルな衣装故に、持ち前のスタイルの良さが際立っていた。平方が演じるのは作曲家からプロデューサーへの道を選び、大成功を収めるフランクという名の男。撮影前には楽しそうにスタッフ陣と談笑する姿もあり、終始リラックスした様子だった。
ーータキシード姿素敵でしたね! 撮影を終えてみて、いかがですか?
こういうタキシードやスーツを着ると気持ちもパリッとするし、新しい作品に突入していくんだなという気持ちで挑めて楽しかったです。それにいろんなショットを撮っていただけて、モノクロ写真など普段のポスター撮りではあまりやらないような挑戦もできたのが新鮮でした。
ーー本作への出演が決まったときのことは覚えていますか?
はい。話を聞いて「僕でいいんですか?」というのが最初の印象だったのと、「やってやるぞ」という気持ちが自然と芽生えたのは覚えています。僕、ちょうど来年(2021年)がミュージカルを始めて10周年になるんです。そのタイミングでこの作品に出演できるのは嬉しいですね。しかも、共演者の方々が同世代ということにも運命的なものを感じていて。ウエンツくんと玲奈ちゃんと僕、3人がそれぞれ35年生きてきた生き様みたいなものが、熱量として舞台に上がってくるんじゃないかなと思います。それぞれの俳優が何を想って舞台の上に立つのかということにもすごく興味がありますね。
ーー約20年間を逆再生していくという珍しい構成のストーリーですが、そのことが作品にどんな影響を与えると思いますか?
20代から40代って、人生の中でも割と激動の20年間ですよね。自分自身が今30代でその真ん中にいることもあって、一番いろんなものが変わっていく時期なのかなと思います。逆再生は、物語を順を追ってやるのに比べて観る方も演じる方もとても頭を使うと思いますが、最初に物語の結末を知っていることで、なぜその選択をしたのかとか、喜びや残酷さがより色濃く表現できるんじゃないかなあ。2013年に上演された『メリリー・ウィー・ロール・アロング』を拝見したときに、そう思いました。
ーー作品への意気込みと、お客様へのメッセージをお願いします。
これまでいろんな役をやらせていただいていますが、今までの平方がやっていないような役で、しかも物語が逆再生していくという……僕にとっては挑戦になります。そのことも含めて楽しんでやっていきたいなと思っています。それがお客様にどう伝わるのか、その反応を僕たちが舞台でどう受け取って客席にお返しすることができるのかということを、すごく楽しみにしています。難しい作品という印象を持たずに、ぜひぜひ劇場に足を運んでいただければ嬉しいです。

ウエンツ瑛士/チャーリー役
この日最後の撮影となったのは、作家チャーリーを演じるウエンツ瑛士。ブラウンのジャケットに、チェックの蝶ネクタイがよく似合っていた。撮影中は積極的にカメラマンとコミュニケーションを取っていたが、モニターチェックやセットチェンジの際は物静かに考え事をしている様子が印象的だった。
ーー撮影中に度々カメラマンさんとお話しされていましたが、どんなことを話していたんですか?
「写真ってどういう風に写りますか?」と聞いてみたんです。お芝居だと大人っぽく振る舞おうとすることで逆に子どもっぽく見えたりするんですけど、写真だとそういうことはあまりないという話でした。「写真はどっちかというとイメージや精神性が見えるんですよ」と。自分はできてるのかな〜と思いながら、気付いたら終わっていました(笑)。
ーー今の時点で、ご自身が演じる作家チャーリーについてどう思いますか?
台本は読んだのですが、まだチャーリーとしては読んでいないので、正直言うと役のことはまだこれからです。ただ、作家という職業なので想像力が豊かなんだろうなと思います。そういう人って、いろいろ想像できて見えてしまうが故に残酷な面もあって。前回公演で(小池)徹平が演じている役なんですが、今の僕は役の年齢の表現や、年齢が違うときの歌の表現とか、そういう技術的な方法を考えていることが多いかもしれませんね。
ーー以前『リトル・ナイト・ミュージック』に出演されたとき、演出のマリアさんとお仕事をご一緒していらっしゃいましたよね。マリアさんに関するエピソードがあれば教えてください。
「会話が上手な方だなあ」というのが一番印象に残っています。そのとき出会ったマリアをはじめとするイギリス人の方、例えば振付のティム(・ジャクソン)など、みなさん素敵な方々で。人の気持ちを汲み取って、その人に今必要な言葉を出す。そしてそれを感じる能力と出せる語彙力がすごく豊かだったんですよ。自分はイギリスに行きましたが、演劇を学ぶことはもちろん、そうしたイギリスの方々との出会いも留学の大きなきっかけの一つではありました。
ーー最後に、お客様に向けてメッセージをお願いします。
何より、僕自身この作品に携われることがすごく楽しみでしょうがないです。お芝居を観に劇場へ足を運んでくださる方々も、いろいろな想いを持っているでしょう。人同士が必死に何かに向かって進んでいく姿って、絶対にエネルギーがもらえると思うんです。カンパニー全員で劇場空間を埋めるだけの力をしっかり持ってお客様を巻き込んでいきたいと思っているので、その空気とパワーを感じてもらえたら嬉しいです。
笹本玲奈/メアリー役
落ち着いた色合いのワンピースに、鮮やかなカーディガンを肩掛けした大人なスタイルで登場した笹本玲奈。アップでまとめたヘアスタイルによって、レトロで趣のある雰囲気が醸し出されていた。本作の主役の一人であるライターのメアリーを演じる笹本に、作品や役柄に対して持っている印象を聞いてみた。
ーー撮影中、「悲しげな微笑みを」という指示がありましたね。影のある役どころなのでしょうか?
この作品は時系列が逆になっているのが特徴で、私の役は40代から始まって20代で終わります。物語の最初に登場するのが40歳頃なので、おそらくその時の状況のことをイメージされていたのだと思います。メアリーにとっては、フランクとチャーリーという3人の関係がすごくかけがえのないものだったのでしょう。その関係性がなくなってしまった状態から物語がスタートするので、そういう表情を言っていたのかな、と。
ーーまだまだお稽古も先の作品ではありますが、現時点でメアリーはどんな人だと思いますか?
どの女性が見ても共感しやすい普通の女性だな、という印象を受けました。彼女はベストセラーを出す小説家ですが、誰しもが持っているような感情や夢を持つ人です。セリフの一言一言や、フランクに対して恋か友情か、ちょっとわからない微妙なところもすごく人間的。自分自身も重ね合わせられるような役なので、自分の経験や考えたことをすごく役に反映できるんじゃないかなと思っています。
ーー作品全体についてはどのような印象を持っていますか?
台本を読んでみたときにストレートプレイかと思ったくらい、出てくる人間の関係性にすごくリアリティがあって、生々しかったです。ミュージカルって非現実的なものが多いと思うのですが、この作品はすごく現実的。CDも聴いてみたのですが、作詞・作曲がソンドハイムなのでさすが巨匠だなと。一回聴いただけですごくインパクトがありました。ソンドハイムの曲は難解なイメージがありますが、意外とそういう感じはなく、心躍るようなキャッチーな曲が多かったです。ストレートプレイのような脚本にミュージカルらしい華やかな音楽が加わって、すごい作品になりそうだなという印象を受けました。
ーー本作に出演されるにあたって、楽しみにしていることを教えてください。
演出のマリアさんとご一緒できることがすごく楽しみです! 海外でも活躍されている大女優さんですし、実際にメアリーを演じられた方でもあります。女優の大先輩としてのお話や、メアリーを演じたときのお話をぜひ聞きたいです。私も芸歴は20年以上になりますが、いまだにいろんな発見が欲しいですし、自分にないものを得たいという気持ちがあります。女優も演出家も経験されている方と出会えることは、きっととても刺激になると思うんです。
それに、ソンドハイムの楽曲を歌えるということも楽しみです。キャストにはすごく歌がお上手な方が揃っていますよね。個人的に私は宝塚ファンなので、朝夏さんと共演させていただくこともとても楽しみ。あまりにも魅力的なキャストが揃っているので、ミュージカルファンの方にはキャストだけでも満足していただけるのでないでしょうか。聴き応え、見応え共に充分な作品になる思います。

昆夏美/べス役
ボリューミーなヘアスタイルでガーリーなワンピースに身を包んだ昆夏美。まるで人形のような愛らしさに、スタッフ陣は「かわいいー!」「かおちっさ!」と口々に感想を漏らしていた。昆が演じるのは、平方演じるフランクの元妻・ベスという役どころ。ビジュアル撮影は、アイドル顔負けのポージングで実にスムーズに進んでいった。
ーーヘアメイクと衣装、とてもかわいくて似合っていますね!
ありがとうございます! 作品の舞台が1950~70年代なので、お衣装、ウィッグ、リップの色などからレトロな雰囲気が出ていると思います。私は泥まみれの役とかが基本なので(笑)、こんなにかわいいウィッグをつけることは普段なかなかなくて。最初はちょっとムズムズする感じもありましたが、楽しかったです。
ーー群像劇ということですが、現時点で作品に対して持っている印象を教えてください。
結構現実的な話なのかな、と思っています。変わった登場人物はいないんです。最初はみんな夢を持ってキラキラしているけれど、大人になるにつれて夢だけではやっていけなくなってくる。綺麗事だけではいられない状況になったときに人はどう選択していくのかという……いい意味で身近で想像しやすい話だなと感じました。大人の方が観たときに、その切なさをわかってもらえる作品だと思います。
ーー本公演の演出はマリア・フリードマンさんが務められます。お稽古の時期にマリアさんが無事来日できるといいですね。
そうですね。私が最近出演していた舞台の振付がイスラエルの方だったのですが、コロナ禍のため残念ながら来日できなかったのでリモートで稽古をしたんです。スタッフさんがZoomを駆使してくださりスムーズにできましたが、やっぱり同じ現場にいるからこそ生まれるアイディアや、感じることがお互いにあるのだろうなと思いました。私だけではなく、来れなかった方自身も歯痒い思いをされたでしょうし……。マリアさんには直接お会いできたらいいなと思います。
ーーそれでは、作品への意気込みをお願いします。
日本では過去に一度上演されたことのある作品ですが、今回は演出もキャストも変わり、2021年の新たな『メリリー・ウィー・ロール・アロング』が上演されることになります。私たち自身も新作に挑む気持ちで臨み、お客様に作品をお届けできたらと思います。
今井清隆/ジョー役
ブロードウェイのプロデューサーという役どころで、撮影中に厳しい目つきを要求されていたのは今井清隆。インタビュー時に教えてもらったのだが、その日着てきた私服のジャケットと靴を撮影で急遽使うことになったそうだ。カメラの前を離れモニターで写真チェックをすると途端に表情が緩み、「いいねえ〜! これ、宣材写真に使えないかな?」と終始ご満悦な様子だった。
ーー本作はスティーブン・ソンドハイムが作詞・作曲を手掛けていますが、その点についていかがですか?
私はミュージカルを長年やっているけれど、スティーブン・ソンドハイムの楽曲の作品に出演するのは初めてなんですよ。ソンドハイムの曲は素晴らしくて、聴けば聴くほど癖になりますね。確かに難しくもあるのだけれど、何度も聴いているうちに「いい曲だなあ」となる曲が多いという印象です。今回の作品の楽曲にも非常に期待しているし、楽しみです。
ーー今井さんにとっては共演経験のあるキャストの方が多いですね。
ねえ! 最近では『ハウ・トゥー・サクシード』で笹本さん。『マイ・フェア・レディ』では朝夏さんと元基。昆ちゃんとはいろんな作品でご一緒しています。気心知れているメンバーなので、なあなあにならないように稽古は厳しく(笑)、でも楽しくやっていけたらいいなと思います。
ーー本公演は、2021年5月に新国立劇場中劇場で上演されます。
ということは、3月〜4月頃に稽古をやるのでしょう。演出家のマリアさんが稽古場に来てくださるときには、きっと集中的に進めていくと思うので、それまでに歌やセリフの準備をしておかないといけませんね。年が明けたら、すぐに取り掛からないとなと考えています。
ーー開幕を心待ちにしているお客様に向けて、メッセージをお願いします。
今一番勢いに乗っている若手俳優さんが出演されるので、私もそこに参加できて嬉しいのと、その足を引っ張らないように頑張ろうと思っています。「やっぱり年上の俳優さんが出ていると舞台に厚みがでるなあ」と言われるように頑張らないと(笑)。みんなでいい作品にできたらいいなと思います。

朝夏まなと/ガッシー役
大胆にスリットが入ったセクシーなドレスを身にまとい、ひときわ存在感を放っていたのは、大女優ガッシーを演じる朝夏まなと。チャームポイントの目がさらに強調されるアイメイクが施され、その迫力に思わず息を呑む。そんな朝夏は撮影の合間に自身の写真を見て「性格悪そ〜!」と呟き、周囲の笑いを誘う場面も。
ーーとてもセクシーなドレスを着こなしていらっしゃいましたね。撮影の率直な感想を聞かせてください。
「今までにない役に挑戦するんだな」と思いました。最近は『ローマの休日』や中止になった『モダン・ミリー』のように、若い女の子の役が多かったので、落ち着いた大人の女性の役が久しぶりなんです。また、宝塚を退団してから11月でちょうど3年が経ちます。4年目というタイミングでこのお役に巡り合うということにも意味を感じました。女優としてこれからどんな役をやっていけるのかなと考える時期にこういうお役をいただいたので、すごく挑戦だなと思っています。
ーー今回のカンパニーで特に共演が楽しみな方はいらっしゃいますか?
先日、『THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』でお友達になった、笹本玲奈ちゃん。 すぐにこうして共演する機会に恵まれたのは嬉しいですね。昆夏美ちゃんとは事務所が一緒なのですが、やっとやっと実際に舞台で共演することが出来るので楽しみです。
ーースティーブン・ソンドハイムの楽曲について、どんな印象を持っていますか?
以前、ソンドハイムが作詞・作曲を手掛けるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』を拝見したのですが、難しそうだなあと思いました。それに、すごく耳に残るメロディですよね。いろんな作曲家さんがいらっしゃるけれどその中でもちょっと独特というか、”ソンドハイムワールド”があって、他に似たものがないという感じがします。初めての挑戦なので、難しいだろうけれども楽しみです。
ーー2021年5月の上演に向けて、今のお気持ちを聞かせてください。
コロナ禍で表現することに飢えていたので、舞台ができる環境のありがたさや、今それができているということにとても嬉しい気持ちでいっぱいです。これからも表現することをずっと続けていきたいと改めて思っているときに、こうして自分の中に今までなかった役柄に出会えて本当に幸せです。お客様もいろんな制約がある中で舞台を観に来てくださっています。『メリリー・ウィー・ロール・アロング』が上演される時期に世の中がどうなっているかはわからないけれど、舞台を観てみなさんが笑顔になってくれたら嬉しいなと思います。
取材・文・写真=松村蘭(らんねえ)

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