ザ・モアイズユー「迷いはないってい
う芯の強さをこの曲に乗せられたら」
 4ヶ月連続リリース作品第四弾「19
」インタビュー

コロナウイルスの影響で発売が延期となったEPに収録される予定だった4曲の新曲を、8月から4ヶ月連続で配信リリースしている大阪出身の3ピースロックバンド“ザ・モアイズユー”。今回SPICEでは、リリースに合わせて4ヶ月連続でインタビュー記事を公開。本記事では第四弾として、11月18日にリリースされた「19」(読み:ナインティーン)についてのインタビューをお届けします。
──4ヶ月連続配信のラストとして、11月18日に配信されたのが「19」。この曲は本多さんが作詞作曲をされています。アップテンポですけど、8月に配信した「すれ違い」とはまたタイプの違うノリですね。
本多:「すれ違い」はライブでノレるようなアップテンポにしたかったんですけど、「19」は突っ走るというか。疾走感があってそのまま突き抜けていく感じの曲にしようと思ってました。ライブでも拳が突きあがるようなイメージでやっているので、しんどさでいえば、今回の4曲の中でダントツでしんどい(笑)。でも、そういうギリギリ感を出したかったし、4曲の中で一番攻撃的でもあるから、最後はど派手に行きたかったっていうのもありますね。
──突っ走っていくような曲だからこそ、この歌詞が出てきたところもあるんですか?
本多:そうですね。「19」って言葉の語呂がよかったのもあるんですけど、年齢を表してて、大人になりきれているわけでもないし、子供のままでいるわけにもいかない自分の葛藤みたいな部分は持ちつつも、ただ、前には進む。そこに迷いはないっていう芯の強さをこの曲に乗せられたらと思ってました。
──「すれ違い」のお話の中で、自己肯定感についての話を出しましたけど、この曲はそれこそ自分を肯定するというか、奮い立たせる歌詞ですよね。そういう言葉ってあまり出てきにくかったりします?
本多:そういうわけでもないんですよ。なんか、負けん気みたいなものはあるんです。「戦う」という感じは、常に自分の中はあるので。だから、迷ってはいるけどその迷いも引っ張っていく、迷っている自分のまま行くっていう感じですね。「環状線」(9月配信楽曲)とは違う迷いの昇華の仕方というか。
──そうですね。視点の切り替え方、葛藤との向き合い方がそれぞれ違っていて。
本多:「19」のほうはちょっと殴り合いみたいな感じですね。それも誰かにそうしているのではなく、そういう自分を鼓舞している歌です。
──以登田さんとオザキさんは、どうアプローチしようと考えました?
以登田:この曲はやさぐれ感をとにかく出したかったので、ベースの音もどれだけイカツい音を出せるかっていうところにだいぶこだわりましたね。やさぐれ感重視です。
オザキ:僕もやさぐれ感でいうと……
本多:やさぐれ感でいうと……?(笑)
オザキ:(笑)。なんか、1990年代ぐらいの悪ガキじゃないですけど、理由なき犯行みたいな感じをドラムで出せたらいいなと思って。「すれ違い」もそうなんですけど、やっぱり16ビートでゴリ押す感じが一番ヒリヒリするし、ちょっと悪そうな印象が出るんじゃないかなと思って。そういうアプローチを基調にしつつ、2番のサビが終ってから変化をつけたりしてみました。
──フィルがまたかっこいいですね。
オザキ:ありがとうございます!
本多:そうなんですよ。ドラムがすごくよくて。「すれ違い」とか「19」みたいなドラムを叩かせたときにすごく活きるんで、助かってますね。
以登田:ドラムのキレがめちゃくちゃいいんですよ。アップテンポの曲は、ドラムだけで気持ちいいって思えるものを叩くんで。かといって、バラードが苦手かというとそうでもなく、しっかり表現できるので、だいぶ強いドラマーやなと思いますね。
──器用ですね。
オザキ:いや、自分では器用と思ってないですよ(笑)。だいぶガサツやと思うんですけど。
本多:そこも変わっていったよな? アップテンポが得意なのは昔から変わらないけど、繊細な部分は本当にこの一年でだんだんよくなっていったし、そういったものを表現するときの3人のアンサンブルの気持ちよさみたいなものも徐々に見つけてこれて、「悲しみが消える頃」(10月配信楽曲)に繋がっているかなって思います。
オザキ:僕は後からバンドに入ったんですけど、最初は2人の性格もわからなかったんで、とりあえず自分から表現をしてみたというか。自分はこういうものが得意で、こういうものが苦手で……っていうのをやっていったら、そこで2人もいろいろ返してくれるようになって。だから、バラードのニュアンスとかは、2人から徐々に教わったような気もしますね。そこは言わずしても、「こんな感じやけどわかる?」みたいな。そういう雰囲気で教わったというか、教えられた気がします。
ザ・モアイズユー
──最後に今後のお話も踏まえつつお聞きしたいんですが、本多さんと以登田さんがこのバンドを始めたときって、どういう活動をしようと考えていたんですか?
本多:高校生のときは、それまでに夢とか趣味とかが一切なくて。その当時に初めてバンドをやって、自分が楽しいと思えるものがようやく見つかった感じやったんですよね。だから唯一の趣味であり、打ち込んでいるものっていう感じだったんですけど。それが高校を卒業して、大人になっていくにつれて、これで生きていけたらっていう想いが強くなっていって、今に至るっていう感じなんですよ。だから、大きい舞台に立つとか、そういうのはあるんやけど、どちらかというと、音楽をやり続けたい、音楽で自分自身の人生を全うできたらというのが、一番シンプルな答えというか、唯一思っていることですかね。
──続けていくことが一番大切なことだと。
本多:そうですね。これをやめたらほんまに何もないんで。やりたいこともないし、やってきたこともないし。音楽をやってきている自分というのが、唯一自分の中で誇れるものではあるんで、これをやめるわけにはいかへんなって思ってます。
──以登田さんは、過去のことを踏まえつつ、今後はどうしていきたいですか?
以登田:バンドを始めた頃は、それこそ夢とか、こういうふうになりたいという感じがあったわけでもなくて、ただ楽しいからやっていたんですよ。そうやって続けてきたら、いつの間にか、音楽が自分を表現できるものになっていて。だから、自分の表現したいことを表現して、それに対して誰かが「良い」と言ってくれたりして、そうやって続けていけたらめっちゃいいなって思うようになって。それでまぁ、音楽で食べていくって言うたらあれですけど、生活するには必要なことなので、次第にそれが夢に変わっていった感じですね。
──こういうバンドになれたらいいなというビジョンみたいなものはあります?
以登田:とりあえずたくさんの人に聴いてほしいというのは切実な願いとしてありますね。ここの舞台に立ちたいとかは特にないけど、いろんな人に届いて欲しいとは思います。
──届くと思いますよ。良い曲ばかりですし。オザキさんはいかがですか? 今後の目標というと。
オザキ:今回の4ヶ月連続配信もそうですし、やっぱり新しいことにチャレンジはしていきたいです。人って進化していかないとおもしろくないし、それが人間なので。そうやってチャレンジしていく中で、今までザ・モアイズユーが大事にしてきたメロディのキャッチーさと、これから新しくチャレンジしようとしているオリジナリティとのバランスは、これからもずっと突き詰めていきたいというか。そこを目標に、3人で肩を組んで頑張っていけたらいいなって思ってます。

取材・文=山口哲生 撮影=大橋祐希
ザ・モアイズユー

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