新たな冒険の旅は有料配信も~スター
ダンサーズ・バレエ団の看板作品・バ
レエ『ドラゴンクエスト』が東京凱旋
公演

2020年10月3日(土)・4日(日)、スターダンサーズ・バレエ団が東京・上野でバレエ『ドラゴンクエスト』(以下「ドラクエ」)を上演する。1995年に同名の人気ゲームを題材として誕生したこのバレエは、胸高まるあのおなじみの音楽ともどもドラマチックなストーリーが繰り広げられ、バレエファンはもとより、ゲーム雑誌でも取り上げられるなど、多方面で話題を呼んでいる。2019年にはフランスのパリ「ジャパン・エキスポ」でも上演され、話題を呼んだ。

このほど行われる公演は、パリ公演後の東京凱旋公演であり、コロナ禍による自粛明け舞台の第一弾でもある。オンラインによる特別配信も決まり、ダンサーたちの公演にかける意気込みはいよいよ高まっているようだ。
コロナ禍による感染のリスクを鑑み、今回は対面インタビューではなくメールによるインタビューを実施。白の勇者役の林田翔平、黒の勇者の池田武志、そして王女役の渡辺恭子が質問に答えてくれた。(写真:長谷川清徳/文章中敬称略)

左から林田翔平(白の勇者)、渡辺恭子(王女)、池田武志 (黒の勇者)
■踊りに対する思いは一層強く。「踊れる日々」のありがたさを痛感しつつ舞台へ
――2020年3月に予定されていた『緑のテーブル』公演が中止となり、バレエ団の本公演は実質昨年末の『くるみ割り人形』以来、約9カ月振りとなります。通常では考えられない長期間を経て、ようやく舞台の幕が上がりますが、まずは「いよいよ舞台に立つ」ということに対する率直な感想を。
渡辺 とても嬉しい! 舞台、劇場という空間は私にとって特別で大好きな場所ですが、コロナとなって様々な当たり前のことや日常が奪われてしまった。同時にそうした日々がどんなに自分にとって大切で価値のある事なのかも改めて感じた機会でした。私達の日常を1日も早く取り戻したい、その気持ちでずっといましたので率直にとても嬉しいです。
林田 舞台が次々と中止になり先が見えない状況の中で、次はいつ踊れるのか、今年はもう踊れないのか……など、不安だらけでした。今は少しずつ状況が落ち着いてきて、踊れる時間が増えていき、少しの安心と不安が入り混じっている思いです。
池田 言葉一つでは言い尽くせないほど幸せな気持ちです。ダンサーから踊る喜びが切り離されることはあってはならないと常々思いながらバレエと向き合ってきた僕には、説明し尽くせないほどの解放感でいっぱいです。

――自粛期間中はどのように過ごされていたのでしょうか。
渡辺 改めて自分の踊りを見つめ直し、トレーニングに費やす時間もでき、それなりにこの機会を楽しもうと比較的ポジティブでした。ただやはり、日によっては家でやれることの限界や、人との付き合いがネット上でしか取れないことで不安になる日もありました。
林田 自粛期間中はどうしても身体を動かしたくて仕方がないという気持ちがあり、家の中でできる限りのことをやろうとはしました。でもできないことが多すぎて、逆にストレスが溜まっていくのを感じていました。
レッスンが再開された直後は、当然身体が思うように動かなかったのですが、でもバレエの楽しさや踊れることがどれだけ幸せなのかを改めて実感しています。
池田 僕もやはり閉塞感は拭えない日々でした。ただ、普段時間をかけて見ることのできない自分の体の癖などとじっくり向き合うなど、自宅で基礎トレーニングしかできない日常が良い方向に作用した部分もあります。踊りに対する思いは変わらず、むしろ強くなっているので、これらの取り組みが(今後の舞台の)大きな助けになってくれると信じています。

聖母、伝説の勇者、魔王
■自粛明けの初舞台が「ドラクエ」。バレエ団の大きな武器で再開に挑む
――公演再開の舞台は「ドラクエ」という、バレエ団の看板作品です。この演目で再開の幕を開けること、それぞれの役柄に対する思いを聞かせてください。
林田 復活第一弾が「ドラクエ」ということで、僕だけではなく振付・演出の鈴木稔さんをはじめ、ダンサー、スタッフ全員がとても強い思いで舞台を作り上げています。
そうしたなかで白の勇者を演じることができることを、とても嬉しく思います。白の勇者は演じる時に「このシーンはコレだ!」と思っても、次の日には違う感情が湧いたり、そのまた次の日には別の感情が……ということがたくさんあり、やり甲斐のある役だと思っています。課題を挙げるとすれば、いかに自分の思い描く白の勇者を演じるかで、これは白の勇者を演じる際のテーマにもなるのではないかと思っています。
池田 「ドラクエ」はバレエ団にとって大きな武器で、その自慢の武器を携えて再開一発目に臨めることは大きな喜びです。
僕が演じる黒の勇者はダークヒーローでありながらも物語に悲劇的に踊らされ、大きく揺れ動く役どころ。演じれば演じるほど感情移入ができ、そして感情が乗り移れば移るほど爆発力が増すという、バレエダンサーにとってはたまらない魅力を持った役です。今回は過去のよりもさらに役と同化した、より進化した姿をお見せしたいです。
渡辺 王女役は回数を重ねてきていますが、何度舞台に立っても新たに課題が生まれます。技術的な面でも、より表現に大きく繋がっていくように工夫していきたいです。
「ドラクエ」はやはり白と黒の勇者の対比がおもしろくもあり、見ているお客様の心情もどちらかに分かれるのでは?と思いますが、その2人の対比や関係性を見せるキーパーソンでもあるのは王女だと思いますので、2人との心情、関係性をしっかりと見せられるよう演じたいです。
酒場のシーン。女戦士の踊り
――それぞれのおすすめ、イチオシのシーンなどを教えてください。
林田 個人的にイチオシ場面は酒場です。観ていて思わず踊ってしまいたくなるような振り付けや、ダンサー達のエネルギーが伝わりやすく観客としても楽しくなるようなシーンです。
池田 僕は黒の勇者が一番好きな役なので、2幕冒頭の魔宮での黒軍団の踊りがイチ押しです! 多分お客様のなかにもこの場面が好きだという方も多いと思います。ぜひ軍団の迫力を味わっていただきたいです!
渡辺 どのシーンも好きなので絞るのは正直難しいのですが、2幕の魔宮のシーンは装置やお衣装、そして音楽も迫力があり、魔王率いる黒の勇者達の踊りはかっこいいです。あとは酒場の女戦士! ムチを巧みに使って踊るのは本当にかっこいいです! 天空もバトルシーンとは対極的で幻想的。美しいですし、白勇者が物語の鍵を握る大事なシーンでもあり……絞りきれません(笑)

■大ホールにみなぎる観衆の熱気! 感動のパリ公演
――このバレエ「ドラクエ」は2019年夏、短縮版ではありますがパリの「ジャパン・エキスポ」で上演され話題を呼びました。フランス公演の思い出は。
林田 フランス公演はただただ楽しかったです。舞台と客席後方に大きなモニタースクリーンがあり、そこにダンサーの動き、表情などが普段観ることのできない角度で映されてとにかく新鮮でした。会場のお客様はまるで一緒に冒険に出ているのではないかと錯覚してしまうくらい舞台上にまでエネルギーが届いてきて、情熱のようなもの感じました。
池田 フランスでこの作品を披露できたことはバレエ団にとって大きな糧となったと思います。フランスのお客様からも日本のお客様の熱意に勝るとも劣らない熱量をいただき、本来与える側である僕らが多くを与えられてしまうという素敵な経験でした。
渡辺 私は父の仕事の関係でパリに7年間住んでいましたので、フランスは自分が育った思い入れのある国です。なのでバレエ公演でフランスに行くと決まった時は、信じられないくらい驚きましたし、嬉しかったです。公演にはフランスの友人たちも駆けつけてくれました。公演会場はコンサート会場のような特大サイズの舞台にびっくりするほど大勢のお客様。全てが想像を超えていましたが、お客様は温かく、とても盛り上がってくださったのが印象的です。貴重な経験でした。
――パリ観光はできましたか?
林田 観光はしていないです。僕は武器商人役の鴻巣明史さんとホテルの近くにあったショッピングモールに行ったり、ホテルで2人でのんびりコーヒーを飲みながら過ごしていました。機会があればまたフランス公演ができると嬉しいです。
池田 滞在中は目まぐるしいスケジュールでしたが、1日だけパリ市内を観光できた日がありました。フランスならではの街並みを見ながら、自分はヨーロッパに来たんだなぁという実感が改めて湧いてきて、なぜか4日目くらいになって急にワクワクしたのを覚えています(笑) また再びあの地で踊ることができるのであれば、それ以上の幸せはありません。
渡辺 私は以前住んでいた場所に行って、お隣さんだったマダムに会ったり、友人とワインを飲んだり、恩師達に会ったりしていました。パリ公演はまたぜひ、叶うならしたいですね。
武器商人

■ダンサー・スタッフ一丸となって挑む復活の舞台。ともに新たな冒険の旅へ
――最後にお客様にメッセージをお願いします。
林田 復帰第一弾の「ドラクエ」は観たことがある方も、まだ観たことのない方も必ず楽しめる作品ですので、ぜひこの機会に足を運んでいただけるとうれしいです。皆様と一緒に姫様を救う冒険ができることを楽しみにしています。
池田 スターダンサーズ・バレエ団としては今年初となる公演です。団員みんながこの久しぶりの舞台に向けてそれぞれの熱い想いを溜め込み、そして放出するために最大限の準備をしています。『ドラゴンクエスト』という素晴らしい看板作品に僕ら団員全員の願いを乗せてお客様に届けたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください!! 一緒に冒険の旅に出かけましょう!
渡辺 まだまだ完全に世の中が元通り、という状況ではないですが、私達も最大限の対策を準備しての上演を目指しています。「ドラクエ」はバレエを観たことがない方にもとてもオススメしたい作品。ゲームとバレエということで「?」と思う方もいらっしゃると思いますが、あのゲーム曲をオーケストラで、そして迫力ある舞台装置など、劇場は「ドラクエ」の世界へと連れて行ってくれます。さぁ、一緒にぜひ冒険へ!
――ありがとうございました。
伝説の勇者
取材・文=西原朋未

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