金子扶生がロイヤル・バレエ『眠れる
森の美女』に主演~名門で活躍する日
本人ダンサー作品特集を映画館で

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズンでは、英国ロイヤル・バレエ団で活躍する日本人ダンサー特集として3作品連続上映する。2020年6月5日(金)より『マノン』(平野亮一がレスコー役※2017/18作品)、6月12日(金)より『ドン・キホーテ』(高田茜がキトリ役※2018/19作品)を再上映。そして6月19日(金)より金子扶生が主演する『眠れる森の美女』を2週間、TOHOシネマズ シャンテほかで全国公開する。これは本年1月16日収録で、オーロラ姫は金子、フロリムント王子はフェデリコ・ボネッリ。金子はこの日リラの精を踊る予定だったが、当日怪我のため降板したローレン・カスバートソンに代わってオーロラ姫を踊った。
■鮮やかによみがえった、ロイヤル・バレエの代表作
ロイヤル・バレエといえばフレデリック・アシュトンやケネス・マクミランの演劇的バレエが人気を博しているが、国内外で最初に画期的成功を収めたのがチャイコフスキー三大バレエ最大の大作『眠れる森の美女』である。1946年、第二次世界大戦後ロイヤル・オペラ・ハウスの復興時に上演されたニネット・ド・ヴァロワ、ニコライ・セルゲイエフによるバージョンは輝かしい成功を収め、その後ニョーヨーク公演でも評判になった。その歴史的財産をロイヤル・バレエ創立75周年を迎えた2006年にモニカ・メイスンおよびクリストファー・ニュートンの手でよみがえらせた舞台は、典雅にして華麗。その英国の名作中の名作、古典中の古典の主演を任され、映像収録されたのは快挙である。
(c)HM2019-SleepingBeauty
■華麗で美しい、金子扶生のオーロラ姫
金子は第1幕、オーロラ姫の16歳の誕生日の場面に現れた時、華やかで明るい空気を醸す。オーロラ姫役の成否の大方はここで決まると言っても過言ではないだろう。むろん安定した技術は必要であるし、経験豊富で表現力が豊かであることも大事だが、16歳の姫の初々しさ、華麗な古典バレエの主役にふさわしい華の有無が何よりも求められるのではないか。求婚に現れた4人の王子たちを前にしてのローズ・アダージョでは、愛らしくオーラをまといながらも奥ゆかしい。第2幕、王子と共に踊る幻影のパ・ド・ドゥでは、貴公子然としたボネッリと共に絵に描いたように甘美な趣を漂わせる。そして第3幕の結婚式で繰り広げられるグラン・パ・ド・ドゥでもボネッリと息が合う。大役を無事に踊り終え万雷の拍手を浴びたのである。
(c)HM2019-SleepingBeauty
■のびやかさと、繊細さと
金子は幼少より大阪の地主薫エコール・ド・バレエで学び、ヴァルナ国際バレエコンクール金賞(2008年)、モスクワ国際バレエコンクール銀賞(2009年)、ジャクソン国際バレエコンクール銀賞(2010年)を受賞。のびやかで美しい身体のラインが際立っていたので将来を嘱望され、2010/2011シーズンにロイヤル・バレエに入団。ファーストアーティスト(2012年)、ソリスト(2013年)、ファーストソリスト(2018年)と昇格を重ねる。『くるみ割り人形』や『ドン・キホーテ』『冬物語』に主演し、繊細な表現に磨きをかけた。また2019年に日本語版が出た「バレエ大図鑑」(監修:ヴィヴィアナ・デュランテ)の表紙などのモデルを務めた。途中二度も膝を痛めブランクもあったが、今は好調を維持しプリンシパル(最高位)昇進が期待される。
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■個性豊かな演者たちに注目!
主演以外のキャストも豪華だ。国王フロレスタン24世のクリストファー・サウンダーズ、お妃のエリザベス・マクゴリアンといった重鎮、カタラビュットのトーマス・ホワイトヘッド、カラボスのクリステン・マクナリーら実力派が脇を締めた。フロリナ姫のヤスミン・ナグディ、青い鳥のマシュー・ボールは日本でも人気急上昇中の新進プリンシパルで、結婚式を大いに盛り上げる。妖精たちは次世代を担う若手らが妍を競う。魔法の庭の精のマヤラ・マグリ、森の草地の精のクレア・カルヴァート、歌鳥の精のアナ・ローズ・オサリヴァン、黄金のつる草の精の崔由姫、リラの精のジーナ・ストーム=ジェンセンそれぞれの個性に注目したい。
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■歴史や舞台の裏側も知って味わう愉しみ
英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズンの愉しみの一つが幕間のインタビュー。司会のダーシー・バッセルは、今回自ら指導にあたった金子の好演に興奮を隠さない。ロイヤル・バレエ芸術監督のケヴィン・オヘアは、金子の登板を当日決めた状況を率直に話す。メイソンらがド・ヴァロワ/セルゲイエフ版の来歴、2006年の復刻について語る場面も興味深い。ロイヤル・バレエの歴史と最新状況を知ることができる充実した上映である。
文=高橋森彦

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