劇場版三部作『機動戦士ガンダム』オ
ールナイト上映会 ゲストトーク オフ
ィシャルレポート

 
登壇したのは、板野一郎(アニメーション監督、劇場版三部作アニメーター)、関田 修(アニメーション監督、劇場版三部作フロアディレクター)、福井晴敏(作家、『機動戦士ガンダムUC』ストーリー担当)の3 名。司会はアニメ特撮研究家の氷川竜介が務めた。
 
板野、関田は制作スタッフの代表として、福井はファン代表としての登壇となった。
オールナイトで『ガンダム』劇場版三部作を見ようということで、作品に対する思いが強い観客が多かったようだ。当時の現場の状況を知る貴重なスタッフの生の声を聞き逃すまいという静かな緊張感が会場内を覆っていた。
 
氷川から、『機動戦士ガンダム』は現在では伝説的な作品と考えられているが、「制作当時はそんなに力を入れている作品ではなく、現場は大変な環境だったそうですね」と問われ、板野は富野監督が局のえらい人からの電話に「すいません。すいません」と謝っていたという話を披露。監督は電話を切って、ため息をついてから、元気を出すためにファンの手紙を読んでいたという。第1 スタジオではあったが、当時は、そんなに期待されていなかったという。サンライズ第1スタジオで作業をすることになった板野は席がクオリティに厳しい安彦氏のすぐ近くで緊張したらしい。「外部から上がってきた原画を見て、こんなの使えるか~って怒って、四隅を止めて、くるくるポイしちゃうんですよ」と当時のエピソードを披露した。
 
福井は会場に向かって「<板野サーカス>という言葉を初めて聞いた人?」と質問。さすがに詳しいファンが多く、手上げたのは数人であったが、“板野サーカス”と呼ばれる板野氏が編み出した戦闘シーンの演出手法を解説。『機動戦士ガンダム』劇場版の公開前にテレビ放映されていた『伝説巨人イデオン』に言及し、「普通だとそのまま当たるんだけど、アディゴが逃げちゃうですよね。それをミサイルが追っかけて」とアクロバティックな戦闘シーンの思い出を語った。「最近は、板野さんの影響で、戦闘シーンの絵コンテをメカデザイナーさんに送ると、別の絵コンテが上がってくるんです」とメカ作画で演出を膨らませるという前例を作ったのが板野だったと語った。
 
氷川は板野作画のもう一つの例としてフラミンゴのシーンを上げた。会場のスクリーンにはジャブローから離脱するホワイトベースのクルーが見ていた、飛び立つフラミンゴのシーンの場面が映された。板野は「安彦さんが遠慮して、絵コンテではフラミンゴの数を少なめに書くんだけど、僕が勝手に増やしちゃった」と語り、誰もが敬遠する、画面に多くのモノが登場して、手間のかかるシーンをあえて引き受けていたと語った。すると関田がある打ち上げの席で、板野がある仕上げ会社の社長さんから、いきなり殴られたことを披露。「お前のおかげで何人辞めたと思ってるんだ~」と怒っていたという。
 
場面はエルメスのコクピットのシーンに変わり、当時の撮影テクニックに話が及んだ。このシーンでは光がだんだん増えていくのだが、これは関田が撮影に立ち会い、現場でマスク用紙に針で穴を空けて増やしていったと解説した。また、別のガラスが割れるシーンでは、白い線をマーカーで書き足しながら、撮影していたと語った。「最近はパソコン処理で自由に修正ができるので、直しがいつまでも終わらない」と語る福井は当時の潔さに感嘆していた。
 
最後に氷川からBlu-ray トリロジーボックスについて説明があった。
プレミアムエディション(初回限定生産)の特典「劇場版三部作5.1ch 特別版」は当初1 枚のディスクにまとめる予定だったが、ED が違ったり、絵のタイミングが微妙に異なっていたりするほか、技術的な問題もあり、別ディスクになった経緯が解説された。
また、今回の特典である『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』のパンフレットは、場面写真が違う別バージョンとなっている。サンライズにも残っていなかった資料を、氷川が秘蔵のコレクションを提供頂けた事により復刻が実現したという。
 
今回の劇場版三部作『機動戦士ガンダム』オールナイト上映会は1 日だけであったが、劇場版三部作「機動戦士ガンダム」スペシャル上映会が翌日の4/13~18(16日は除く)に行われる。
 


© 創通・サンライズ

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