乃木坂46、シングル1位獲得 ”48グ
ループ”を超えるセールス躍進の背景
とは?

  週間ランキングの1位は乃木坂46の8thシングル「気づいたら片思い」。今回はこの曲のセールスから読み解ける”48グループ”の勢力図の変化について分析していこう。

 このシングルの初週売り上げは45.8万枚と過去最高のセールスを記録。デビューシングルの『ぐるぐるカーテン』の初週13.6万枚から8枚目のこのシングルに至るまで、見事な右肩上がりの曲線を描いている。特にここ3作は『ガールズルール』(2013年7月発売)の初週33.7万枚、『バレッタ』(2013年11月発売)の初週39.5万枚から、今作の45.8万枚へと目覚ましい伸びを見せている。

 では他の”48グループ”はどうだろうか。

 実はこの連載でさやわか氏が指摘しているように(参考:【SKE48、シングル1位獲得も「セールス下降トレンド」続く 人気安定への正念場に】)、SKE48は昨年末からセールス下降トレンドに直面している。『美しい稲妻』(2013年7月発売)は初週51万枚、『賛成カワイイ!』(2013年11月発売)は44.9万枚、『未来とは?』(2013年3月発売)は39.8万枚だ。

 また、NMB48は『僕らのユリイカ』(2013年6月発売)が48.2万枚、『カモネギックス』(2013年10月発売)が37.5万枚、『高嶺の林檎』(2014年3月発売)が初週40.7万枚と横ばい。一方、HKT48はデビューシングル『スキ!スキ!スキップ!』(2013年3月発売)が25万枚、『メロンジュース』(2013年9月)が26.9万枚、『桜、みんなで食べた』(2014年3月発売)は27.7万枚と、少しずつセールスを積み増している状況だ。

 そして本家AKB48は、昨年を代表する楽曲の一つとなった『恋するフォーチュンクッキー』の初週133.0万枚以来、『ハート・エレキ』(2013年9月発売)が初週120.4万枚、『鈴懸の木の道で〜』(2013年12月発売)が初週103.3万枚、『前しか向かねえ』(2014年2月発売)が初週109.1万枚と、セールス面で上回ることはできていない。

 こうして見ていくと、少なくとも昨年秋から今年春にかけての勢いは、乃木坂46の「一人勝ち」と言っていい状況と言っていいだろう。2012年、AKB48の「公式ライバル」として活動をスタートさせた乃木坂46。その知名度と人気も、いよいよ本家を脅かすものになってきたようだ。

 では、その理由はどこにあるのだろうか。セールスには様々な要因が絡み合っているので一概には言えないし、最も大きな要因であるメンバーの人気や知名度については、筆者には正直詳しく分析できるだけの知識はない。ただ、一つ言えるのは乃木坂46のシングル曲のサウンドが他のグループの傾向とは一線を画するものになっていることだ。

 乃木坂46のシングル曲は、昭和の歌謡曲にも通じる正統派アイドルポップスの曲調がベースになっている。ピアノやストリングスをふんだんに用いた爽やかなサウンド、マイナー調の切ないメロディ。「気づいたら片思い」では、大サビの転調も聴き所になっている。アップテンポなライヴ向けの楽曲が多い他グループとは差別化を果たし、清楚なイメージを打ち出すことに成功している。

 アイドル論者としても知られるBase Ball Bearの小出祐介(Vo/G)が雑誌連載において2年連続で「年間アイドル楽曲ベスト」に選ぶなど(2012年「制服のマネキン」、2013年「君の名は希望」)、楽曲派のアイドルファンからも高い評価を集める乃木坂46。その楽曲が持つポップ性が、躍進の由来になっているのかもしれない。(柴 那典)

リアルサウンド

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