今年は二日間、『STAND UP! CLASSIC
FESTIVAL 2019』(スタクラフェス
)が「It's 吹奏楽」で幕開け

国内最大級の全野外型クラシック音楽祭『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019』(略称 “スタクラフェス” )が、2019年9月28日(土)午前10時30分、横浜港湾に臨む赤レンガ倉庫・特設会場にて幕を開けた。天気は昨年に続き快晴。というより、時折照りつける太陽光線が熱く眩しすぎるほど。
今年は開催を二日間に拡大、クラシックはもちろん、ミュージカル音楽、映画音楽など多彩なプログラムが29日(日)夜まで、二つのステージ(HARBOR STAGEとGRASS STAGE)を行き来しながら長丁場で繰り広げられる(その他に無料鑑賞のできるfree stageもある)。
その栄えあるオープニングを飾ったプログラムが「It's 吹奏楽」だった。まずは2018年の神奈川県高等学校吹奏楽祭 教育長賞を受賞した吹奏楽の県内強豪「川崎市立高津高等学校 吹奏楽部」が、「横浜音祭りファンファーレ」を荘厳に響かせた。
続いて総合司会の松下奈緒がステージに現れ、イベント開始を告げる。観客には熱射病予防対策を念押し。そして、サックス奏者・上野耕平が紹介され、全員がブルーのきらめくチョッキに身を包んだ高津高校吹奏楽部の中に加わる。
ノリノリのリズムで始まったのは、70年代歌謡曲の黄金期を彩った「恋のダイヤル6700」。ここからメドレーで「個人授業」「学園天国」と続く「フィンガー5 コレクション」がダンサブルに演奏された。このフェス名にふさわしいスタンドアップのシーンも多い。上野も学生達と一緒になってプレイを楽しんでいる! 次いでディズニー映画やミュージカルでおなじみ「リトルマーメイド」のメドレーを流麗に奏でたかと思えば、サンバの軽快なリズムによる「宝島」で場内に熱気を巻き起こした。後者は作曲・和泉宏隆T-SQUARE)、編曲・真島俊夫による吹奏楽の定番曲だ。ブラスバンドはソロパートの後に拍手が鳴るところが、ポピュラー音楽の流儀に則っていて素敵だ。クラシックと異なる点だ。
舞台転換の途中、松下に感想を尋ねられた上野は「吹奏楽発祥の地・横浜で演奏できるのは喜ばしいこと」と述べ、「高校生達が本当にエネルギッシュ」と称賛を惜しまない。
この後、2017年の神奈川県高等学校吹奏楽祭 教育長賞を受賞した、やはり県内強豪の「神奈川県立弥栄高等学校 吹奏楽部」が登場。こちらは真紅のブレザーで統一されたブラスバンド。
まずは挨拶代わりに「オーメンズ・オブ・ ラブ」を爽快に披露。この曲も「宝島」と同様に作曲・和泉宏隆、編曲・真島俊夫による、吹奏楽の世界ではあまりに有名なナンバー。踊りあり、手拍子ありで、元気溌溂ぶりがよく伝わる。そして、こちらもやはりディズニーの世界から「アラジン」のメドレー。
さらに、吹奏楽作曲の第一人者だった真島俊夫の屈指の名曲「シーガル(Segall)」。オーボエ独奏に続き、上野がソロをとり始めると、本物のシーガル(かもめ)がサックスの愁いを帯びた音色に呼ばれたかのように港湾から飛んできて、ステージの前を低空飛行で横切るという美しい奇跡が起こった! これぞ野外フェスならではの醍醐味だ。
その後、弥栄高校吹奏楽部の里井崇哉部長が松下から感想を求められ、「夢のような舞台で、夢のような共演もでき、このうえなく幸せでした」と答えた。なた、リハーサル時に受けた上野からのアドバイスについて「1時間半ほどの練習でしたが、上野さんからとてもわかりやすく説明していただき、音楽がみるみる変わっていった」と感慨深く振り返った。上野も「今日の演奏は最高だったよ」と声をかけ、「両高校は同じ吹奏楽部でもサウンドが全然違う。そこが吹奏楽の面白いところ」と語った。
「It's 吹奏楽」を締めくくったのは、上野耕平(サックス)、石若駿(パーカッション)、山中惇史(ピアノ)による「サイバーバード協奏曲」のトリオ・ヴァージョン。吉松隆が架空の鳥に思いを馳せて作曲した三部構成の、粋で、深みも感じられるジャズ風味の強いナンバー。この時も客席後方周辺でスズメ達の群れがステージに呼応するようにチュンチュンと鳴いていたのが印象的だった。サイバーとリアルの“バード”が交感した稀有な瞬間だった。
本日28日(土)はこの後、異才ピアニスト紀平凱成や現役高校生ヴァイオリニスト外村理紗が登場する「クラシックジュエルズ」、福間洸太朗・藤田真央・松下奈緒・宮本笑里らに加え、映画『蜜蜂と遠雷』主演の松岡茉優も登壇する「クラシック in シネマ」を経て、アコースティックギターのDEPAPEPEが→Pia-no-jaC←とコラボする「ブランチ on クラシック」、ピアニスト反田恭平が神奈川県立弥栄高等学校 合唱部と共演する「NEXT LEADER ~反田恭平の世界~」、世界的ヴァイオリニストによる濃密なひととき「五嶋龍スペシャル」、新感覚ピアノデュオ鍵盤男子による「プレミアムサンセット」、そして、オペラやミュージカルの名曲がいっぱい詰まった「クラシック紅白歌合戦 オペラからミュージカルへ」といった、充実のプログラムが夜まで続く。また、明日29日(日)も必聴の貴重な出し物がふんだんに登場する。
今からでも遅くはない、ぜひスタクラフェスを体験されることをお勧め申し上げる。ただし日よけの帽子は忘れずに。なお、同敷地内では「肉ワインフェス横浜2019」も同時開催中だ。いずれも当日チケットあり。
文=安藤光夫  写真撮影=福岡諒祠

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