『ラーマーヤナ』の物語を現代に再解
釈した写真展、シャネル・ネクサス・
ホールで開催

フランス人フォトグラファー、ヴァサンタ・ヨガナンタンの日本初の個展『A Myth of Two Souls 二つの魂の神話』が、2019年9月3日(火)~9月29日(日)まで、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて開催される。
Luva And Kusha, Munger, India, 2014 (c)Vasantha Yogananthan
ヴァサンタ・ヨガナンタンは、2015年にマグナムフォトアワードを受賞し、2017年にはその年の期待される新進写真家としてICP(国際写真センター)インフィニティアワードに輝いた注目のフォトグラファー。彼の作品は、ドキュメンタリーとフィクションの間にある世界を探求している。
The Crossing, Madhubani, India, 2014 (c)Vasantha Yogananthan
「A Myth of Two Souls」は、紀元前300年頃に詩人ヴァールミーキが編纂した『ラーマーヤナ』に着想を得て制作された。『ラーマーヤナ』はヒンドゥー教の聖典のひとつであり、『マハーバーラタ』と並ぶインド二大叙事詩。何世紀にも渡って幾度となく書き換えられ、再解釈され、現在もインド、東南アジアで書物だけでなく舞台、コミック、TVドラマなどさまざまなメディアを通して広く親しまれている。
Rama Combing His Hair, Ayodhya, India, 2015 (c)Vasantha Yogananthan
物語の登場人物は王国から14年間追放されたアヨーディヤーの王子ラーマとその妃シータ。国を追われて暮らしているうちに、シータはスリランカの王ラーヴァナにさらわれてしまう。これを機に、ふたつの王国は戦争に突入することになる。『ラーマーヤナ』は古典的な叙事詩、恋物語、誘拐、戦争であると同時に哲学的な物語でもある。ヨガナンタンは、2013年からインドを北から南へ『ラーマーヤナ』の物語の道筋を辿り、現地の人々と生活を共にし、『ラーマーヤナ』からインスピレーションを受けて撮影を行なった。ヨガナンタンの一連の作品は時空の旅という概念を核として、この古典作品を現代的に読み直すことを提案している。
Secret Door, Avani, India, 2016 (c)Vasantha Yogananthan
「A Myth of Two Souls」のストーリーは、風景写真と『ラーマーヤナ』の役柄を演じる人物の写真によって展開される。前者は、『ラーマーヤナ』の中で描写された、現代インド人にとっては伝説的な風景。後者は地元の人々に自分の心に刻まれたシーンを演じてもらっている。4x5インチ大判カメラでモノクロ撮影した作品には、伝統的な手彩色を学んだインド人画家が着色を施した。現実とフィクションの境界線が曖昧になった、叙事詩的な旅へと見る者を誘う。
「A Myth of Two Souls」プロジェクトは現在進行中で、2016年から2020年にかけて、ラーマーヤナの全7巻に対応する7冊のフォトブック(「Early Times」、「The Promise」、「Exile」、「Dandaka」、「Howling Winds」、「Afterlife」、「Amma」)として出版される。

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