【dps インタビュー】
今までとこれからの自分たちの
真骨頂的な部分が出せた
タイトル曲の「カミカゼ」は
“これぞdps!”って楽曲
対してタイトル曲の「カミカゼ」はミディアムなロックナンバーで、勝負曲的な意気込みも感じさせる、骨太で重厚感のあるカッコ良い楽曲ですね。
木村
僕の中では“これぞdps!”って楽曲です。この雰囲気が久々に戻ってきたって感じながら歌入れをしていました。テンポもそこまで速くないながら、力強くて男臭さが堪らない楽曲というか。
森丘
この曲に限らず、今回もどれがタイトル曲になっても遜色ないレベルで各楽曲をみんなで作っていきました。そんな中で今回は全員一致で、“「カミカゼ」がカッコ良いから、この曲で攻めよう!”という話になり…
川村
曲名もインパクトがあったんで、そのままEPのタイトルにしたんです。
安井
実際に“カミカゼ”という名のカクテルがあるんです。アルコール度数が高くて効きも強いお酒が。まさにこの「カミカゼ」の内容と同じ体験ができるという(笑)。
ということは、今回も安井さんの実体験からこの曲の歌詞が?
安井
ですね。今回も余計な説明いらずで、そのままです(笑)。ライヴハウスのクラブイベントに友人と赴いた時の実話を歌詞にしました。いい奴なんだけど、ちょっと非・常識的な友人から誘われて呑みに行くがてら、その場で感じたことや起こった現象を「カミカゼ」を呑みながら、リアルタイムで携帯にメモしていったんです。それを家に帰って、歌詞に即落とし込んでみたと。
そんな歌詞ですが、個人的には“俺はそこには属さない! みんながみんなかもしれないが自分は違う!”っていうようなマイノリティーに対してのアイデンティティーの誇示にもうかがえました。
安井
みなまでは言いませんが、非常に自分らしくて自身が出ている歌詞になったとは思っています。
メロディーはかなりさまざまな要素が詰まっていますね。
川村
この曲のメロディー自体はかなり古くからあったんです。それがアレンジしていくうちにどんどん覚醒していった感じで。当初はなかった転調も途中に加えたら、見違えるぐらい良くなったり。すでにライヴでもやってるほど、定番化しそうな曲にまで成長しましたからね。時間を経てどんどん良くなり、のし上がってきたかのような楽曲になりました。
アレンジに関しても、ラストに向けて豹変して倍テン(テンポが2倍にスピードアップする)になっていく部分もグッときました。
森丘
正直言って、曲の締め方には悩みました。もともと“こういうテンポの曲を倍にして終わらせたら絶対にカッコ良いだろう”というアイデアはあったんで、それを試してみたんです。おかげさまでばっちりはまりましたね。次に向かって進んで行く感も上手く引き出せたし。
反面、途中のうねりやドライブ感も特徴的ですね。
森丘
もともとのリフは川村さんのデモの時点からあったんです。それがかなりカッコ良かったんで、これを使わない手はないと。それを自分のギターでブラッシュアップしてみるという発想から入りました。この曲のアレンジの開始は今年の年明け早々だったんですが、それもあって、気持ちも新たに“今年は挑戦もたくさんしたい!”という想いも持って取り組めました。当初のdpsらしさを活かしつつ新要素も表せたらなって。
その両立が見事に成されています。
森丘
おかげさまで泥臭さやパワー感、音圧等、インディーズ時代には出せなかった面も今回は多分に表せたと自分でも感じてます。ギターソロにしても、これまでのスケールのセオリーに固執せず、経過音(パッシングノートとも呼ばれ、ある音から別の音に行く間に#等を交えた音を挟んで音の繋がりをより滑らかにする手法)にも挑んでみたし。
かなりパワフルなバックの演奏ですが、対する木村さんの歌も決してそれらに負けてないです。
木村
この曲は音がかなり厳ついんで、僕の歌声もそれなりに厳つくないと負けちゃうし、埋もれちゃうだろうと。久しぶりにレコーディングで喉を枯らすほどの歌い方をしました。今回はどの曲もタイプが違うんですが、どれも歌い方に関しては、各々の楽曲に向かい合って歌っているうちに気付いたらこうなっていたって曲ばかりで。頭で考えたり、何かを想定して歌うのではなく、各曲に入り込んで、感情を込めて歌ってみました。その結果が今回の4曲たちで。この曲もまさにそんな感じでした。
では、作品が完成して何か実感したことも?
木村
今回の4曲が完成し、この曲順になった時に“一枚を通して楽しんでもらえる作品になったな”という実感が沸きました。流れや作品としての構成もしっかりとしているし。
森丘
自分も同じ感想です。インディーズからやってきた要素と、新しい試みを同居させることができたり、まさに自分たちの今の真骨頂が詰まった一枚になりました。と同時に成長も見せられただろうし。今作を通して、ぜひここからさらに多くの人に出会っていきたいですね。
取材:池田スカオ和宏