現代のポップを体現するさなり。 |
Newave Japan #45

Billie Eilishが14歳の時にメジャー契約をしたことを思えば、何も驚くことではないのだろう。ジャンルはおろか、年齢も表現者を縛るものではなくなった。これからは才能のあるティーンが時代を変えていく。さなりというアーティストは、現代性を持ったアーティストである。幼少の頃からYouTubeで流れる音楽を血肉とし、小学生の内からラップに目覚め、セカオワやRADWIMPSを思わせるポップな感覚を持ち合わせる。ジャンレスである時代に現れるべくして現れた、まさしく新世代だ。才気溢れる表現者が生まれるまでのルーツ、そして新作『SICKSTEEN』に込めた思いを紐解いた。

自然培養された表現者としての資質

ーさなりさんが最初に音楽にのめり込んだきっかけはなんですか?
ハマったきっかけやタイミングがあったわけではないですね。YouTubeとかでずっと聴いていて、音楽は昔からずっとそこにあったものだったから。好きとか嫌いっていうこともなく、自然とあるものっていう感じでした。
ーYouTubeっていうものが、さなりさんにとって凄くリアルで身近なものだった?
そうですね。自分の居場所っていうか、そこが自分の家。「YouTubeを見る」っていう感覚ではなくて、「YouTubeにいる」っていう方がしっくりくる。だから普通の人が自分の家で寝たり食べたりするのと本当に同じ感覚で、YouTubeというものに接していました。
ーそれは今も変わらない?
全然変わらないですね。今もいます。
ーそれぐらい当たり前のものだったから、ご自身も小学生の頃にYouTubeの配信を始めた?
HIKAKINさんとかいわゆるYouTuberって言われるような人を見ていて、憧れじゃないですけど、俺もやってみたいと思ってすぐ取り掛かりました。ビデオカメラかスマホで、最初は「今日は風邪引きました」くらいの簡単な内容を毎日1本か2本上げていって、それを2年間くらいやっていましたね。
ーそして、そこで稼いだお金でPCを買ったと。
当時はそこで稼げるっていうような情報は全然なかったから、YouTubeで稼ぐぞっていう気持ちでやっていたわけじゃないんですけど。気づいたら入ってた、みたいな(笑)。
ーなるほど(笑)。影響を受けたプレイリストを作っていただきましたが、この中で一番最初に聴いたものはなんですか?
SKY-HIさんの「トリックスター」ですね。小学生の時に
さんを聴いてラップの魅力を知りました。
ーそこから自分で曲を作るようになったのは?
中学2年生くらいからです。中学1年生の時にフリースタイルラップとかMCバトルが流行っていて、遊びの一環として友達とフリースタイルラップをしていて。だんだんレベルが上がっていった時に、ノリで曲も作ろうぜってことになったんですよね。なので曲を作り始めたのが中学2年生くらいで、ラップ自体は小学生6年の終わりくらいからやっていました。
ーその段階で自分はこれが天職なんだっていうような感覚や、得意分野はこれなんだっていうような感覚はありましたか。
いや、それはなかったですね。得意とも思っていなかったし、ただ楽しくてやっていただけで、友達に聴いてほしい気持ちでやってたと思います。それにフリースタイルは結構当たり前にあるものだったというか、本当に流行っていたから、同い年の子でラッパーになるっていういような人もめっちゃ増えてて。その中で自分が得意だっていう感じではなかったですね。
ーじゃあ自分はアーティストなんだっていう自覚が芽生えたのはいつ頃?
オーディションに受かった頃かなあ。事務所に所属して曲を作る作業をしたり、SKY-HIさんと曲を作っていった時に自覚していったと思います。
ーあくまで友人との遊びだったラップでオーディションに応募しようと思った理由はなんですか。
目立ちたかったから。でも、音楽やれたらいいなあっていう気持ちもちょっと大きくなっていて、だんだん遊びでやるフリースタイルだけじゃなく、本気でやりたいって思うようになっていていたので応募しました。
ーその段階で自分はどういう存在になりたいっていうアーティスト像はありましたか?
明確にはなかったんですけど、ぼんやりとしたもので言ったら、あんまりラップラップしていない感じがいいなって思っていました。それよりも色んな事をやれたらいいし、そんなにラッパーぽくない人になりたいなって思っていました。
ーそれはまさに『SICKSTEEN』からも感じたことでした。
沢山のジャンルを詰め込んだアルバムにしようっていうのはありましたね。
ー何故?
色んなもの聴いていたから、自分でやる時もそういうスタイルが理想でした。それこそSKY-HIさんもそうですけど、僕が好きなラッパーの人ってそういうアーティストなんですよね。当時周りでフリースタイルやってた人達は、yeah!って感じでゴリゴリにラップをやる感じの人が多かったんですけど。自分は凄いポップなものも聴いていたし、ボカロもヒップホップも全部好きだから。何かひとつに囚われたくなかったし、ひとつのことだけやっていくっていうのは考えていなかったですね。
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