中川晃教×前山剛久インタビュー「役
を通り越して心を動かしたい」 舞台
『銀河鉄道999』さよならメーテル〜
僕の永遠

2019年4月20日(土)より東京と大阪にて上演される、銀河鉄道999 劇場版公開40周年記念作品 舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル〜僕の永遠。2018年に原作者・松本零士監修で舞台化された前作の続編として、新たなキャストも加わりオリジナルストーリーを交え、これまで映像化されてきたどの作品とも異なる真実が明らかになる。
前作に続き主人公の星野鉄郎を演じる中川晃教と、新キャストとして機械伯爵を務める前山剛久は初共演。今回のインタビューが初対面だという二人に話を伺った。
ーー撮影中も笑いが絶えず楽しそうにお話されておりましたが、お互いの第一印象はいかがでしょうか?
中川:かわいいです!
前山:え、かわいいですか(笑)? ありがとうございます。
中川:お写真だけのイメージだと、なんとなく“丸い”雰囲気を持った方だなぁと思ったんです。でも実際にお会いするとシャープで、全然印象が違いました。
前山:僕は、本当に中川さんにお会いできてうれしいです。アッキーさんって呼んでいいですか?
中川:さん付けじゃなくていいよ。
中川晃教
前山:さすがにまだ呼び捨てはできないので、徐々に(笑)。僕、友達とカラオケでアッキーさんの曲を歌うんです。出演が決まった時も友達から「共演するの!?」ってうらやましがる連絡が来ましたし、今も「画面の中の方が目の前にいる!」っていう感覚です。正直、緊張していたんですけど、ご挨拶した瞬間からすごく気さくに話しかけていただいて本当にうれしかったです。
中川:前山くんのことは、周りの役者仲間から「絡みやすいと思うよ」「いじりやすいんじゃないかな」って事前情報をもらっていました(笑)。僕自身がすごく緊張するタイプだから、初めて会う人にはなるべく余計な不安要素を与えないようにしようと思ってるんです。舞台って、稽古から本番までスケジュールがギュッと詰まっている。全員で集中して作品を作っていかなきゃいけない状況だからこそ、余裕を持ったコミュニケーションが必要。お互い知り合っていくなかで生まれるものがあると思ってます。
前山:そうですね。緊張すると本当に肩肘張ってしまうので。
中川:うんうん。張るのは肩? 肘?
前山:う~ん……肘? そもそも肘を張るってどういう状況なんでしょう?
(しばし冗談を言い合う二人)
ーー見事なボケの応酬。まるで漫才を見ている気分です(笑)
前山:ネタをいただくと、どんどん無限に広げてしまうタイプなんですよ(笑)。
中川:いいね。歌もそうだし、芝居もそうだよ! 僕たちがぶつかって広がっていくからこそ、鉄郎と機械伯爵を演じる意味を持ってくると思うから。
ーー中川さんは前作に続いて鉄郎を演じられます。一度演じたからこそ、改めて感じてた印象をお聞かせください。
中川:前作は、実は体力的にも精神的にも久しぶりにしんどさを感じていました。鉄郎という役がそうさせるのか、「銀河鉄道999」という作品がそうさせるのかはわかりませんが、とにかく放った力がどんどん闇に吸い込まれていく感覚。今まではそうならないように、稽古を通して体力づくりや作品に何が求められているかをリサーチして本番に臨めていたのですが、それが通用しなかった。鉄郎に関しては、お客様に何かを届けよう、影響を与えようとすることで生まれる役づくりではなくて。悩んで、答えを持っているのにまた悩んでの繰り返しで、ある意味八方ふさがり。前作のラストでも、機械伯爵が吐露した心情に心が動かされてしまった。ただ、闇も光も併せ持っているけど、光が強い。36歳という大人の僕が、鉄郎という役を知る中で、僕自身の記憶の中の少年らしさを出せるようにできたらと思っています。
(左から)中川晃教、前山剛久
ーーそして、前山さんは新キャストとして機械伯爵を演じられます。
前山:これほど多くの方に愛されている大きな作品に携われる喜びと同時に、正直、恐怖や不安もあります。今作からの参加ということで、前作で染谷くんが演じられていた機械伯爵とはまた別物になると思いますし、僕が新しく加わる意味も絶対あると思っています。自分がこれまで生きてきた時間を役に活かしながら作り上げていきたいです。
中川:前作のラストシーンは機械伯爵役の染谷くん、リューズ役の矢沢洋子ちゃん、メーテル役のハルカちゃんと「なんでこんなに役者同士が悩まされてしまうんだろう」というくらいものすごく悩んで作り上げたんです。前山くんが言っていたとおり、一緒に作っていく仲間たちと何かを感じあって作品にしていきたいです。
ーー脚本を読んだ感想をお聞かせください。
中川:前作を受けて、プロデューサーからは舞台だからこその新しさ、オリジナリティを大切に作ってほしいというありがたいお言葉をいただきました。内容としては、機械伯爵がなぜ機械化人になったのかが解き明かされます。このストーリーを、前山くんはどう思った?
前山:これまでどのメディア化でも明らかにされていなかった部分が描かれていました。テレビアニメシリーズや劇場版のなかの機械伯爵は、誰もがイメージしやすい悪役そのもの。過去も一切描かれず、引き際もサッと散った印象。悪役らしいラストだった半面、少し寂しいなと思っていましたが、今回の脚本ではなぜ機械になりなぜ心を失ってしまったのか、知りたかった部分が描かれていたんです。
ーー前作のラストで、機械伯爵が人間だったということが明かされましたね。
前山:元は人間だったからこそ、人間を殺すなんて普通はありえないことじゃないですか。人が歪んでいってしまう背景には必ず原因がある。今回の脚本にはそこがしっかり描かれていて、すごくやりがいがあると感じました。オリジナルストーリーの中でハミルという、機械伯爵を思わせるような青年も演じるのですが、その状態で鉄郎に会うことによって、これまでとは違う何らかの影響を与えられるはず。だからこそ、鉄郎を通り越してアッキーさんの心を動かせるようになりたいです。今まで抱かなかった複雑な気持ちをアッキーさん自身に抱いてもらえたら僕の勝ちだな、と思いました。
中川:うん、もう僕の負けです。こんなにしっかり考えているなんて……。続編のなかでは、なぜ機械化人が生まれたのか、彼らに対し苦悩する鉄郎が一つの大きな渦の中に飲み込まれていきます。絶対に機械伯爵の存在は鍵になるから、稽古でどう変わっていくのかも楽しみだけど、開始前にここまで考えられているのはすごい。機械伯爵とハミルという役を演じるけど、一人二役は今までやったことあった?
初対面とは思えないほど相性がいい二人
前山:ここまで明確に人物が変わるのは初めてかもしれないです。手探りの部分もあります。その点含めて、ご迷惑をおかけするかもしれません。アッキーさんとの対談では、嘘偽りなくお話させていただくつもりで来ましたので、正直にお話すると……。
中川:え、今までは偽ってたの!?
前山:(笑)。偽りというか、カッコつける部分があったと思います。今までは若手が多い現場では兄的な立場も多かったし、座長として引っ張っていかなければいけないこともありました。今回はアッキーさんをはじめ、共演者の方々は経験豊富で第一線で活躍されている方ばかりで、僕はまだまだ経験不足。だからこそ、熱量で変えていきたい。芝居で鉄郎の心を動かすことで、作品に貢献したいと思っています。ご迷惑かけることがあるかもしれませんし、何よりアッキーさんといっしょに歌う曲もあるので、すでに緊張しています。
中川:じゃあ、全部さらけ出してくれるんだね。
前山:はい、僕は今回すっぽんぽんになるくらいの気持ちでやりたいです。
中川:そのワードセンス、いいね(笑)。
ーーお二人ともお忙しい日々が続いていますが、鉄郎とメーテルが999号で旅をするように、もし長期で旅行できるならどこがいいですか?
中川:まず1年以上は行きたいですね(笑)。国外、パッと思いつくのはアメリカ横断。
前山:素敵!
中川:音楽面でのスキルアップ修行もしたいけど、純粋に車で移動しながら観光名所を見て回りたいですね。(インド大陸に伝わる伝統医療の)アーユルヴェーダに興味があるので、スリランカも行ってみたい。アジアにも行ってみたい国がたくさんありますね。
前山:アーユルヴェーダ……調べます(笑)。僕は映画「レディ・プレイヤー1」が大好きなので、将来VR技術が発達したら仮想空間に現実逃避したいですね。時間があれば延々とできるくらいゲームが好きなので戻ってこないかもしれないです。
前山剛久
中川:(眉をひそめ渋い表情)
前山:そうですよね、壮大な海外のお話のあとだとそんな顔になりますよね(笑)
中川:忙しいから具体的に考えられないんじゃない? 無制限に時間もらえるなら、VRは最初の1週間くらいで終わろうよ。
前山:そうですね。じゃあ、やっぱり僕も海外に行きます(笑)。実はあまり海外に行ったことがないんですよ。
中川:今まで行ったことがある場所は?
前山:高校の卒業祝いとして、大学1年の夏休みに友達とロサンゼルスへ行きました。ラスベガスにも行ったんですけど、まだカジノができない年齢で十分に楽しみ切れなかったんです。演劇も興味ないころだったので、ショーも何も見ず。今ならニューヨークのブロードウェイでミュージカルも見たいし、勉強したいことがたくさんあるので、いつかリベンジしたいです。
ーー最後に、意気込みと読者の方へメッセージをお願いします。
前山:今日、こうしてアッキーさんとお話できた時間のなかでも得たものがたくさんありました。だからこそ、僕のほうからも稽古の中で何かを与えられるようになっていきたいです。その兆しも自分としても見えてきたので、誠心誠意、魂のままぶつかっていい作品にできたらなと思っておりますので、楽しみにしていてください。
中川:前作では、鉄郎は命を懸けても……いままで人を殺したことがない彼が始めて人を殺したことによる闇と希望が生まれました。稽古を通して、各々の情熱を通して、お客さんが鉄郎を通して宇宙を旅していってほしい。ぜひ、仲間たちの思いを受け取りに、劇場に足を運んでください。
(左から)前山剛久、中川晃教

中川晃教ヘアメイク=松本ミキ、前山剛久ヘアメイク=Yuu.(エイトセンシズ)
中川晃教スタイリスト=AKIRA
取材・文=潮田茗 撮影=寺坂ジョニー

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