「花澤香菜2ndアルバム「25」ハイレ
ゾ先行体験会」開催!音響研究所 鈴
木創氏による音声解析やディレクター
による楽曲を解説

 
もともと彼女の声は(声優として一線級で活躍している人物だけあって)、高域の倍音成分がしっかりと乗った、ヌケの良い伸びやかさを持ち合わせており、今回花澤香菜の声の解析を行った日本音響研究所の測定データによると、20kHz以上の帯域まで伸びていることが確認されている。また、雑踏の中でも聴き取りやすい3kHzあたりの音域がしっかり出ていたり、そのいっぽうで音韻と音韻の繋ぎに幼さを感じる部分が残っているなど、あの“甘くて柔らかくて優しい、それでいて凜とした声”は、かなり複雑な構成要素によって成り立っているのだ。そのため、可聴帯域外の高域成分も記録され、CDよりも細やかなニュアンスまでしっかり表現できるハイレゾ音源のほうが、より“花澤香菜らしさ”を感じ取ることができるようになっている。
 
実際、CD音源とハイレゾ音源を聴き比べてみると、ハイレゾ音源のほうが圧倒的にストレスフリーな、伸びやかな歌声に感じられる。フォーカスのしっかりした基音に、倍音がきれいにのっているためだろう、まるで一歩前に出てきたかのように、こちらまでストレートに声が届いてくるのだ。おかげで、彼女ならではの声の心地よさが、倍増して感じられる。たとえば『Merry Go Round』を聴くと、心が蕩けとしまいそうな歌声に体全体が包まれているかのようだし、『Brand New Days』は、パートごとに歌い分けている様子がしっかりと伝わってくる。また、『花びら』のセリフパートなども特筆もの。2役を見事に演じ分ける花澤香菜ヴォイスが、とてつもない“リアル”さで伝わってくるのだ。
もちろん、演奏パートにもハイレゾならでの恩恵が垣間見られる。ピアノの音はずいぶんと広がり感の良い、伸びやかな音になるし、アコースティックギターもフレーズが一段と印象的に感じられる。いっぽう、両者の違いがよりハッキリ分かる、という意味では『Make a Difference』も注目だ。シンセサイザーやサンプラーをメインにした構成ながら、低域の解像感が上がっているおかげもあってか、ハイレゾバージョンのほうがよりリズミカルに感じられる。アナログシンセならではの音色感も、しっかり伝わってくる。
 
こういった CDとハイレゾとの違いは、先日開催された「ハイレゾ先行体験試聴会」でも数多く寄せられている。当日集まった25人の参加者は、アニプレックスのディレクター、岡村 弦氏からハイレゾ音源についての簡単なレクチャーを、日本音響研究所の鈴木 創氏から花澤香菜の声の特徴についての説明を受けたのち、ハイレゾ対応のウォークマン「ZX1」と「MDR-10R」でCD版とハイレゾ版とを比較して試聴。両者の違いについて、様々な意見を語ってくれた。
 
「ハイレゾの方がリアリティがありました」(20代男性)
「音がとてもクリア。おかげで、収録現場にいるような気分になりました」(10代女性)
「音質については無頓着な方だと思うのですが、それでも両者の違いがはっきり分かりました。声の厚みが全然違いますね」(20代男性)
「声を延ばすところがとても心地よく感じました」(30代男性)
「コーラスの部分がよりクリアに聴こえました」(20代女性)
「いままで聴いていた音とかなり違っていて驚きました。花澤香菜さんの透き通るような声がいつもより楽しめました」(20代男性)
「『マラソン』では奥行きの表現が素晴らしかったです。ハイレゾの方が花澤香菜さんらしい歌声だと思いました」(20代女性)
「音に立体感を感じました。リアリティもスゴイです」(20代男性)
「声のウィスパーさがかなり聴こえました。演奏では、アコースティックギターのリアルさが素晴らしかったです」(20代男性)
「『Summer Sunset』の冒頭部分、花澤香菜さんの声に包まれているようで幸せになりました」(30代男性)
 
こういった両者の違いは、本当に興味深い。もちろん、CDとハイレゾのどちらが勝っているという話ではない。CDならではのまとまりの良さも、捨てがたいものがある。しかしながら、ハイレゾ音源のほうがより“花澤香菜らしさ”が際立ってくれるのも確か。彼女のファンにとっては、必聴の音源といえる。
 
文:野村ケンジ
 

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