ウィーウィル 2019-20年秋冬コレクシ
ョン - 机上で考えた“丁寧な”パン
クファッション

ウィーウィル(WEWILL)は、2019-20年秋冬メンズコレクションを2019年2月20日(水)に東京・丸の内にて発表した。
これまでの人生、パンクのカルチャーに積極的に触れることはなかったというデザイナーの福薗英貴。今季は敢えて、その未体験の道に進もうとしたという。掲げたテーマは「デスクパンク(DESK PUNK)」。つまりは机上で、福園が頭の中で膨らませた空想のパンクファッションだ。
福園のパンクファッションは従来のパンクとはかけ離れ、ひとつひとつが細密でエレガントなムードが漂っている。それは、反逆的で過激なイメージを強調するパンクファッションの世界から見れば、むしろある意味“パンク”とも捉えられる。
シルエットはオーバーサイズが主流。トレンチコートは大きなラペルのドロップショルダーブルゾンは、肩を抜いた丸く流れるようなフォルムで展開している。アームホールも大きく、サイドから見れば流線形のなめらかなラインを構築している。ボトムスのラインナップには、パンクファッションならではのスキニーパンツやボンテージパンツがある傍らで、ワイドテーパードやスウェットが存在する。
元を辿ればイギリスで生まれた激しいパンクスタイルであるが、今回のブリティッシュカルチャーは、優しいパンクへと導く大きな要因となっている。それを顕著に表したのは、トラッドな素材使いだ。クラシカルなタータンチェックとツイード、混ざり合うベルベットやボア、ムートンなど柔らかでリッチなテクスチャーが、さらに優しいパンクの可能性を見出す。さらにはその潮流を崩さぬようにと、ミリタリー感を引き出す迷彩柄も優しいペールトーンで彩っているのも印象的だ。
カットオフやクラッシュなどパンクに従来よく見られるディテールは、机上で考えたパンクファッションには相応しくなく、福園が膨らませた「デスクパンク」には、あくまで丁寧な仕立てが必要らしい。アウター群は、クラシカルなブリティッシュスタイルを彷彿とさせる立体的なシルエットで設定。一見すると、最もロックなレザージャケットは、ジッパーを細幅にすることで繊細な一面をのぞかせた。
腰には、スタッズベルトではなく華奢なチェーンを重ねた細いレザーベルト。首から掛けたのは、無骨なものではなくて上品なパールのネックレス。アクセサリーまで抜かりないスタイリングは、机上だからこそ完成させられた丁寧なパンクの賜物である。

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