屋良朝幸が過去最高の難曲に挑む ミ
ュージカル『Red Hot and COLE』製作
発表

ブロードウェイのソングライターとその名曲を紹介するシリーズ『ブロードウェイショーケース』。その第3弾となるミュージカル『Red Hot and COLE』が、屋良朝幸主演で2019年3月1日から銀座・博品館劇場で上演される(他、大阪・静岡・愛知公演あり)。
本作が描くのは、『ビギン・ザ・ビギン』や『エニシング・ゴーズ』といった数々のスタンダード・ナンバーを生み出したアメリカの作詞作曲家コール・ポーター(1891〜1964年)の数奇な人生だ。物語はコール・ポーターを中心に、彼が愛した華やかなパーティーを舞台に繰り広げられる。
製作発表会は歌唱披露から始まった。今回披露されたのは『I’ m a gigolo』と『Friendship』の2曲だ。ラメ入りの華やかなタキシードを着こなした屋良がステージ上に現れる。ゆったりとしたピアノの伴奏に合わせ、『I’ m a gigolo』を丁寧に、そしてしっとりと歌い上げた。
『Red Hot and COLE』製作発表
2曲目はキャスト全員が登場。物語の舞台がパーティーというだけあって、どのキャストもゴージャスな装いに身を包んでいた。一人ひとり申し分ない実力を持つ8名のコーラスが披露された。『Friendship』はそれぞれの個性豊かな歌声が活かされ、非常に聴き応えがあり贅沢なものになっていた。時折目を合わせて楽しそうに歌う様子からは、キャストたちの仲睦まじさが伝わってくる。
『Red Hot and COLE』製作発表
『Red Hot and COLE』製作発表
『Red Hot and COLE』製作発表
歌唱披露後は総勢8名のキャストと演出の小林香織から、今まさに取り組んでいる稽古の様子を交えた挨拶があった。以下、挨拶の模様を一人ずつ紹介する。
屋良朝幸(as コール・ポーター)
まずは歌唱披露した『I’ m a gigolo』について、「本当はもっと情感たっぷりに歌いたかったんですけど、まさかこの場で歌うことになるとは思っていなくてですね(笑)本当にまだまだ練習の段階でございますが、本番ではもっと素敵にコール・ポーターとして歌いたいなと思いますので、楽しみにしていてください」とコメント。
コール・ポーターの楽曲の感想を尋ねられると、「いやあ、とんでもなく難しいですね。僕が今まで経験してきた中で一番難しいんじゃなかなというくらいです。コール・ポーターの性格や人生が、曲の歌詞やメロディになっているのかなと思っています。歌っていてすごく気持ちよくないときもあるんですよ。でもそこがコール・ポーターの良さだと聞いていて。難しいですけど、そういうところを理解しながらやっていくのは新しいですし、面白いなと思います。先輩方がさすがな歌声を持っているので、そこに助けていただければな」と、数々のコール・ポーターの難曲に対する想いを語った。
矢田悠祐(as クリフトン他)
1作品の中で複数の役を演じるのは今回が初めてだという矢田は、「僕は『ブロードウェイショーケース』シリーズの第2弾『ロジャース/ハート』という作品でハートを演じていて、そのときは1役だったんですよ。周りのみなさんいろいろな役をやっていらして大変だなあと、のほほんとしていました(笑)今回自分は6役もあるので、その立場になってみて大変ではあるんですけど、すごいやりがいがあって楽しいなと稽古していて思います。周りの先輩方がいろんな引き出しを持っているので、全部盗んで僕の引き出しに入れて、今回終われればいいなと思っています」と、本作を通して成長しようとする意気込みが感じられた。
鈴木壮麻(as モス他)
以前コール・ポーターの作品『キスミーケイト』に出演していたことがある鈴木は、「コール・ポーターと言えば、すごくドラマチックでリズミカルで、そしてちょっと物悲しげ。そういったいろんな要素の楽曲にみんなでまみれながら、しかもすごく緻密で難しいコーラスワークを消化しながら踊るという、結構レベルの高いことをやっているんだよね。そこがとっても楽しくて、稽古場でわくわくする瞬間かな」と、難しい作品に苦戦しつつも楽しんでいるようだ。
彩吹真央(as ブリックトップ他)
大のコール・ポーター好きで、自身のコンサートでもよく彼の曲を歌っているという彩吹は、「宝塚歌劇団で『キスミーケイト』が上演されたときからコール・ポーターのファンです。いろいろ調べてみたら、コール・ポーターさんと誕生日も一緒でした。これもご縁かなと思い、いろんな曲を聴いていたんです。だからこのお話をいただいたときは本当に嬉しくて。演出家の小林さんと音楽監督の岩崎廉さんとは何度もお仕事をご一緒させていただいているのですが、お二人がタッグを組まれるのは初めて。なので、お二人の世界観が好きな私にとっては、どういう世界が生まれるんだろうというワクワク感もあって、毎日幸せです。頑張ります」と、本作に対する熱意を見せた。
吉沢梨絵(as エルザ他)
『ブロードウェイショーケース』シリーズ第1弾に出演していた吉沢は、「いろんな役で『あ、あの人あの役なの?』とびっくりしてもらえるくらいみんなが変わると、屋良くんがたった一人でコール・ポーターを軸で演じていることが際立ってくる気がします。今回、屋良くんが『コーラス稽古付き合ってくれませんか?』と言ってくるくらいコーラスが本当に難しい。今もまだ正直掴みきれていない段階の曲もいくつもありますし、ここに踊りも加わってくるので、頑張りたいなと思っているところです」と作品への意気込みを述べた。
木内健人(as ヴァーノン他)
コール・ポーター作曲のミュージカル『エニシング・ゴーズ』の出演経験を持つ木内は、「本当にコーラス含む歌が難しいんですけれども、音楽が背中を押してくれる瞬間というのが稽古場でもたくさんあるんです。そういった楽曲が本当に心強くて。今稽古場ではピアノ1本でお稽古していますが、ここにオケが入ったらもっともっと重厚になって、僕らにとって心強くなると思うので楽しみです。そこに頼らず、まずはコーラス含めダンスもお芝居も、自分の力でパフォーマンスできるようにお稽古を頑張りたいと思います」と、コール・ポーターの楽曲の魅力を語った。
彩乃かなみ(as リンダ他)
コール・ポーターの妻・リンダなどを演じる彩乃は、「ただ歌うだけではなく踊りがふんだんに入っているので、毎日のように振り付けが入ってきます。集中した日々を送っているので、帰りの電車の中で『あ、今寝てた!』みたいなことも。ついていくのは大変ですが、今戦った分、楽しいものがお届けできるのではないかな、と。日々稽古場でコール・ポーターの楽曲に酔いしれているので、私が感じた想いを直接お客様に届けられるようにしたいなと思っています」と、大変ながらも観客を楽しませたいという想いが感じられた。
真瀬はるか(as ドロシー他)
本作で6役を演じる際にたくさん引き出しを開けていきたいと意気込む真瀬は、「お稽古していろんな役を演じるにあたり、果敢にチャレンジして当たっては砕けてということを、みんなで試行錯誤しながらやっています。そんな中、座長の屋良さんがすごく柔らかく、かつ肝が座ってちゃんといてくださっていて。その雰囲気でいてくださることが、私は助けになっています。これだけ少人数の作品にも関わらず、いろんな方がいろんな役をやるので、きっとお客様はこの人数なのに目が足りない、そんな作品になるんじゃないかなあと思います。何回も観に来ていただけたら嬉しいです」と、作品の見どころを語った。
小林香(演出)
『Red Hot and COLE』製作発表
『ブロードウェイショーケース』シリーズ第1弾も演出した小林は、「複数の役を務める方がたくさんいるので、稽古場では『どんどん引き出しを開けてください』というお話をしています。昨日も吉澤さんが突然腰の曲がったおばあさんとして出てきて、彩乃さんが笑って歌えなくなるということがありました(笑)今はとにかく与えられた枠の中をはみ出して、みんなが自由に稽古を進めているところです。予期していなかった瞬間というのがたくさん生まれつつある稽古場です」と、稽古場でのエピソードを披露。
今回のキャストたちのコメントを聞いての感想を求められた小林は、「今初めてみんながこの作品に対して何を思っているかを聞きました。いっぱい役をやってるやってるって言いますけど・・・そんなに大変だったんですね」と発言。このマイペースなコメントに、思わずキャストと会場の報道陣から笑いが漏れた。
小林は続けて、「稽古を見ている私は楽しくて、なんだかすみません。確かに今日、吉沢さんが稽古が始まってもう2キロ痩せたとおっしゃっていて、私が気づかないところでそんなに大変だったんだなと。でもよく考えると、2時間の中で役を変えていくことはものすごくエネルギーがいることですので、そのエネルギーをかけた分、弾力のある力強い作品になると思います。そこは楽しみにしていただけたら嬉しいです」と締めくくった。
取材・文・撮影=松村蘭(らんねえ)

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