今泉佑唯「芝居をすることをいちばん
にしたい」 舞台『熱海殺人事件 LA
ST GENERATION 46​』

劇作家つかこうへいの代表作、舞台『熱海殺人事件』が『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46​』 として、3月に大阪、4月に東京にて上演される。主人公の木村伝兵衛刑事が熱海で起きた殺人を大事件に仕立てようとする本作は、これまでにも様々なキャストによって幾度となく上演されてきた。この度、本作のヒロインにして伝兵衛の愛人・水野朋子警察官役を務めるのは、昨年11月に欅坂46を卒業したばかりの今泉佑唯だ。
今泉抜擢の理由について、演出の岡村俊一は「『卒業』という表現ではあるが、何かの集団から外に出ようとする場合、大きな決断力が必要であり、強い意志を秘めているもの。『熱海殺人事件』に登場する人も、全員が決断力を持って大きく旅立とうとしている人たちなので、演じる側でそういう状況にいる人間は、それだけでもうかなり合格ラインを超えている」と語る。加えて岡村は今泉について「気が強そうじゃないですか!」と笑いながら語っていた。そう表現された今泉は、卒業後初となる舞台で務める大役に何を感じているのだろうか。
今泉佑唯
ーー先ほど岡村さんが気が強そうとおっしゃっていましたが、それは事実(笑)?
人に迷惑をかけない程度には気が強いと思います(笑)。
ーーむしろ人に害を与えるくらいの気の強さが必要になってくる……かもしれない今回の役どころですが、このお仕事の話が来た時、どんなお気持ちでしたか?
不安な気持ちはもちろんあったんですが、すぐ「やらせてください」とお返事しました。今はもう「やってやるぞ!」という気持ちで毎日過ごしています……ってやっぱり気が強いのかな(笑)?
ーー今までは、女子だけの世界で活動してきたかと思いますが、今回の仕事は味方良介さんはじめ男性とやり合う事になりますが、その点について抵抗はありませんか?
私は兄がいるので、どちらかというと年上の方とコミュニケーションを取る方が得意なんです。緊張よりむしろ話しやすいと感じています。先ほども味方さんにいろいろ教えていただいたので、ちょっとホッとしました。
ーーそれを聴いてこちらもホッとしました(笑)。さて今回出演される『熱海殺人事件』ですが、上演映像などを見ての感想はいかがでしたか?
一つの作品の中でいろいろな感情に包まれました。笑ったり泣いたり、グッと来たり……観るのにすごく体力を使いました。最後は胸を締め付けられる気持ちにもなって。自分が演じる役を分かった上で観ていましたが、あまり考えすぎると観た事をそのまま真似して覚えてしまうので、あまり深く考えないようにしていました。
今泉佑唯
ーーそもそも演劇をいつかやってみたい、という気持ちは以前からあったんですか?
欅坂46にいた時から舞台の仕事をやりたいと思っていたんですが、なかなか触れる機会がなかったんです。以前、一度個人でドラマに出させていただいた時、演技の楽しさを体感したんです。そして自分は歌ではなく、お芝居をすることをいちばんにしたいと思うようになり、いつかこのグループを飛び出して舞台の世界に進みたいと考えて、今回卒業を決意したんです。やりたい事が見つかったらすぐに決断するタイプなんです。
ーー満を持して舞台役者としての第一歩を踏み出そうとしているんですね。今の時点では何か準備されている事はありますか?
体力が絶対必要だと思うので定期的に運動をしています。あと歌う時の声と舞台で出す声は違うと思うので、そこは苦戦するかも。でも自宅で練習しようとすると近所迷惑になってしまうし(笑)。元々話す声は大きい方で、むしろ声が大きすぎてうるさいって言われるくらい。うるさすぎてクレームが入るくらいなんですよ。
ーーつか作品ですと、発声の迫力もさることながら独特の台詞回しやマシンガントークが印象的ですよね。
はい。映像を何度も観て聴きとろうとしているんですが、深くやり過ぎると何もできなくなりそうなので、稽古が始まってから必死に考えようと思っています(笑)。
今泉佑唯
ーー本格的な稽古はまだ先ですが、今の時点で岡村さんから何かアドバイスをいただけましたか?
舞台って毎日台本を読みまくって覚えるものなのかなと勝手に想像していたんですが、岡村さんから、そうではないよと教えていただいたんです。「文字で覚えると文字を覚えたものを“読んでいる”状況になる。でもその場面の“光景”を覚えるようにすると自分が見た事があるものを覚えるので、いくらでも頭に入っていく」って。自分が体験したことだ、と思って覚えるとどんな長い台詞も忘れないんですって。
ーー確かに! こういう演技の仕方って今までした事は?
ないです! 岡村さんは「このやり方を覚えておくと後ですごく役に立つよ!」っておっしゃっていました。「『熱海』出身の人、つか作品出身の人は役者として長く生きていけるんだよ」って(笑)。
今泉佑唯
ーーこれまでは歌が本業だったこともあるので、その経験も役に立ちそうですしね! ちなみにカラオケでよく歌うのは?
えーっと、小柳ゆきさんの「あなたのキスを数えましょう」とか……。
(インタビューを聞いていた岡村さんが「それ、芝居に入れておくわ。この作品は結構皆歌うんだよ」と口にする)
ひぃーっ!言わなきゃ良かったー(笑)!
ーー(笑)。最後に、役者として憧れの人、目標にしたい人はいますか?
北川景子さん。彼女が感情剥き出しにしている姿を映像で観ていると自分も同じ表情になってしまうくらい惹きこまれるんです。私もそんな演技が出来るようになりたいです。
今泉佑唯

取材・文・撮影=こむらさき

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