葉加瀬太郎 ソロ・ヴァイオリニスト
初の単独武道館公演、全国50公演ツア
ーの千秋楽で11,000人を魅了

葉加瀬太郎の全国ツアー最終公演が12月30日に日本武道館で行われ、11,000人の観客を魅了した。このツアーは9月11日より始まり、今年50歳となった葉加瀬にちなんで全50公演を開催。ソロ・ヴァイオリニストでの単独武道館公演は葉加瀬が初めて。
開演時間になると、場内には「ムーン・リヴァー」のBGMが流れる。舞台下手に立ったコンサート・スタッフから開会の挨拶が告げられると、暗いステージの中央、スポットライトの中、葉加瀬太郎が浮かび上がり、静かにヴァイオリンを奏でる。幻想的な照明の中、バンドが徐々にサウンドを紡ぎ重ねていく感動的なオープニングでコンサートがゆっくり始まった。
葉加瀬太郎
アルバム『Traveling Notes(2003)』に収められた3曲が冒頭に演奏された後、葉加瀬から、まずは満員の客席に感謝のコメント。演奏される曲は8月にリリースされた葉加瀬のクライズラー&カンパニー時代から現在までのキャリアを総括したベスト盤『ALL TIME BEST』から構成。「今日は懐かしい曲から新しい曲まで、僕の思い入れの深い曲を演奏します! じっくりと葉加瀬の音楽を楽しんでいってください!」と客席の期待を煽る。
このツアーで葉加瀬太郎をサポートするのは8人の熟練ミュージシャンたち。葉加瀬が「僕の大切な音楽のパートナーです!」とバンドマスターの鳥山雄司を紹介し、鳥山のユニット、PYRAMIDの楽曲「Time and Time again」を演奏。鳥山のギターと葉加瀬のヴァイオリンが各々ソロを披露するロマンチックなナンバーだ。
ACT1(前半)のラストは葉加瀬の"初心忘るべからず"という想いを込め、葉加瀬デビュー時のグループ、クライズラー&カンパニーの楽曲をメドレーで3曲演奏してオールド・ファンを沸かせる。
葉加瀬太郎
休憩を挟んだ後半のACT2は「ARAB EXPRESS」でスタート。ビリンバウ、ダラブッカ、バラフォンといった民族楽器に、アラビア風の衣装を身にまとった6人のダンサーが登場し、エスニックな香り漂う同曲に色を添える。続いては葉加瀬が初めてドバイに訪れた際に作った曲や、ナポリの連絡船で作った曲など、旅情ムードあふれる楽曲をメドレーで披露。さながら世界一周旅行に行ってるような気分にさせてくれる。
「太郎さんとヴァイオリンを弾こう!」コーナーでは、客席からヴァイオリンを弾きたい人を募る。葉加瀬に指名され舞台に上がってきたのは中学1年生の女の子。初めてヴァイオリンに触れる彼女に、葉加瀬がその場で手ほどき。ある程度弾けるようになったタイミングで、バンドが「エトピリカ」のリズムを刻み始める。なんと、そのまま女の子を演奏に参加させ、見事に完奏に導いた。この鮮やかなマジックに客席も惜しみない拍手を送る。
葉加瀬太郎
こうして会場が温まると、コンサートも後半パートに入る。アイリッシュ・フィドルを彷彿させる葉加瀬の超絶速弾きに乗って、ステージ両脇から6人のダンサーが登場。アイルランドの賑やかなパーティー会場にいるような楽しげな演奏で客席も一緒にクラッピングで応じる。この勢いのまま、葉加瀬の「そろそろ行こうか! Let's Have A Party!!」の掛け声のもと、始まったのが、サンバ調にアレンジされた「情熱大陸」。色とりどりの羽根をつけた10名のサンバ・ダンサーズに、ジュリアナ風のディスコ・ダンサー隊がステージに表れるやムードは最高潮に。オーディエンスも葉加瀬太郎人気グッズのジュリ扇ならぬ葉加センスを大きく左右に降って応える。広い武道館は一挙にサンバ・カーニバル会場に化し、大興奮の中、本編が終了。
葉加瀬太郎
アンコールはトワイライト・エキスプレス瑞風をイメージして書かれた美しい楽曲でスタート。曲の後半にはサンバ・ダンサーズ、ジュリ扇隊にダンサーもステージに再結集し、賑やかに楽しく年の瀬を締める。最後に葉加瀬から、50歳になったことについて、心理学者ユングの言葉を引き合いに出し、自身が人生の正午に差し掛かったと感慨深けに話す。これからも皆様に喜んでる頂ける音楽を作っていきたいと続け「今年の締めにもう1曲。万ずを讃える曲です」と「万讃歌」をじっくりと演奏し、全50公演に及んだツアーを締めた。演奏が終わるとメンバー全員が横一線に並んで深々とお辞儀をし、名残惜しそうにステージを降りた。最後は葉加瀬がひとりピアノの前に残り、「万讃歌」の1フレーズを弾いて満来の拍手に応えた。
これで葉加瀬太郎のソロツアーの全日程は終了。この後、葉加瀬は、高嶋ちさ子、古澤巌と共に4月から始まる『HATS MUSIC FESTIVAL Vol.4』全国ツアーに参加する。 2019年も葉加瀬の勢力的な活動は続きそうだ。
葉加瀬太郎

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