ポップなテイストのなかに胸をえぐる
セリフが散りばめられた、月刊「根本
宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、
そして家族の話』ゲネプロレポート 
 

月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』が2018年12月20日、下北沢・本多劇場で開幕した。同劇団公演としては2年ぶりの本多劇場での公演となる。初日を前に行われたゲネプロ(※総通し舞台稽古)の様子を写真とともにお伝えしたい。
(積極的に書いているつもりはありませんが、ネタバレが一部含まれます。承知の上ご覧ください。)
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子

作・演出を務め、役者としても出演している根本宗子が、舞台として今回選んだのは「家族」。普遍的でありながら、人によって捉え方、感じ方が変わる難しさもあるテーマだろう。主人公のハナは、四姉妹の末っ子。他の3姉妹は結婚をして夫婦で暮らしているが、四女のハナだけが独身である。愛犬のポリーが死んでしまい、悲しみにくれるハナだったが、ポリーにそっくりな男性に恋をしてしまい……というあらすじだ。
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子

どこから語ればいいのだろうと悩むほど情報量の多い舞台だった(それが月刊「根本宗子」の面白さだと個人的には思っている)。
 
物語の主軸はハナであることは間違いない。間違いないのだけれど、3姉妹夫婦のストーリーもしっかりと描かれている。マザコンの夫、家事は女がやれという夫、浮気性の夫と、とにかく個性豊かな登場人物のオンパレードで、それぞれでまた1本芝居ができそうなぐらいだ。家族の“問題”はいつも些細だけれど複雑で、客観的に見れば大した問題ではないかもしれないけれど当人たちにとっては大問題だったりする。それでも何故家族であり続けるのか、それでも何故人を想うのか。人は何を信じるのか、人はどこまで人を愛せるのか。問わずにはいられない。全体的にポップなテイストを貫いているが、胸をえぐられるようなセリフが散りばめられていたように思う。
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子

チャラン・ポ・ランタンの小春が提供した劇中歌を使って、ハナの幼少期をミュージカル風に振り返ったり、転換で役者一同踊りまくったりして、シリアスになりすぎないところがまたいい。そういえば客入れの時の音楽は、ミュージカル『アニー』の『Opportunity』、『ファン・ホーム』の『Ring of Keys』、『マチルダ』の『When I grow up』など子どもが歌う、ポップなミュージカルナンバーばかりだった。雰囲気が重くなりすぎず、爽やかに見せるのが上手いと思った。
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子
また、詳しくは書けないが、ラストシーンへ向けての残り20分間は色々と衝撃的である。急遽出演が決まったハナ役の藤松祥子の無邪気さ、村杉蝉之介の「犬」っぷりと貫き通したミステリアスな感じなど、魅力的な俳優たちの演技にも注目してほしい。公演は31日まで。上演時間は約2時間10分。お見逃しなく。
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子
月刊「根本宗子」第16号公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』のゲネプロの様子

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