リストカット勉強法で集中力アップ!
? 一部高校生の間で危険なブーム

　1月18と19日に実施されたセンター試験。もう社会人になっている皆さんも受験シーズンには、合格に少しでも近づけるために色んな策を試みたはず。
　例えば、カフェインで眠気を吹き飛ばす、図書館などに行って環境を変えてみる、大好きな映画鑑賞を断つ、背中に薪を背負って本を読むなど、枚挙に暇がない。しかし現役高校生のごく一部の間で、あまりよろしくない受験法が密かなブームになってるという。ここではこの問題に警鐘を鳴らすため、あえて採り上げる。
　それは「リストカット勉強法」というもの。中身はその名の通り。勉強をしている最中に、腕を……なんとも単純明快だが病んだ勉強法である。都内に住む高校生に話を聞いた。
「勉強に集中できなくて、しばらく困ってました。僕の場合、コーヒーを飲んでも眠くなるし……。でもリストカットすると、目の前の課題に集中できるんですよね。余計なことが頭に入らなくなるというか。傷がどんどん増えていきますが、『僕はここまで勉強したんだ』と達成感も得られます」（現役高校生）
　ちなみに元素記号も、このリストカット勉強法で覚えたとのこと。果たして実際にリストカットで脳に影響はあるのだろうか。

「腕に傷を付けることによる痛さで、アドレナリンが発生するということは考えられます。しかしそれもわずかな時間なので、長期的な勉強には繋がりません。自傷行為による異常な空間に関連づけて、単語が記憶に定着しやすいということはありそうですが…。単純に健康を害しますので、結果的に勉強には悪影響を与えます」（脳科学に詳しい研究者）
　そもそも血がドバドバ噴出したら命の危険があるし大変危険な行為だ。しかしなぜ、リストカット勉強法が一部でブームになってるのだろうか。
「LINEで友達がやってるのを知って、僕も試しにやってみました。リストカット勉強法について、学校で大っぴらに話すことはないですね。みんなひっそりとやってんだと思います。一時期、スマートドラッグが学校内で話題になったこともありましたが、購入するのに多額のお金がかかるので、定着しませんでしたね」（現役高校生）
　スマートドラッグといえば、集中力をあげて記憶しやすい状態にするドラッグ。それよりも、手っ取り早いリストカットの方が、質素な高校生には定着しやすかったということなのだろうか。末恐ろしい世の中である……。

(※進学における精神的な不安定、不平不満等が自傷の原因と思われる可能性が高く血中ヘモグロビン値が低下するなどとても危険な行為のため絶対に真似しないでください。また現状で自傷行為のつづく方は、専門医・カウンセリングの診察を受けることをおすすめします。)

 （文・編集部）写真：auremar / 123RFオススメ書籍：『中高生のためのメンタル系サバイバルガイド』[ムック]（日本評論社）／編：松本俊彦