SATOKO、
CD付き絵本を出版!
個展&ソロライブも控えた
彼女の心境に迫る
2003年にFUZZY CONTROLのドラマーとしてデビューし、DREAMS COME TRUE、稲葉浩志、吉川晃司、DAITA、スガシカオ、山本彩、大黒摩季など、数多くのアーティストのサポートも務めるSATOKO。その一方で、絵画や執筆でも才能を発揮しており、2013年には書籍『たった、少しの覚悟で冒険するドラゴン』を光文社より出版。多彩な才能をふりまく彼女が、『11月を守る本』を発表した。12曲が収録されたCDと、絵と物語が楽しめる絵本が一体化したこの作品は、彼女のこれまでの創作活動の集大成とも言えるものだろう。11月には、この作品をひっさげたライブも予定しているSATOKOに、作品に込めた想いを聞いた。
音楽も絵も詩も、
すべて一緒な感覚で生まれてきます
――『11月を守る本』は絵本とCDが一緒になっている作品ですが、こういう作品を作ろうと思ったきっかけは?
SATOKO:FUZZY CONTROLが活動休止になった時に、DREAMS COME TRUEのマサさん(中村正人)が“SATOKOは絵本を描いたり、個展をやったりしているんだから、音楽絵本みたいなモノを作ったらいいよ”って、CDが封入された絵本をプレゼントしてくれたんですよ。それで、なるほど、こういうのもアリかなって(笑)。そもそもソロアルバムを作りたいと思ってて。同時に、本もまた出したいなって思ってはいたんで、一緒にやるのもいいなと。
――音楽と絵というのは、自分の中でリンクするものなんですか?
SATOKO:そうですね。自分の中に“ぐわぁ~”っとあるものが外に出てくるという意味では一緒です。絵を描くのも、メロディを作るのも、詩を書くのも、すべて一緒な気がします。自分が生きているとそうなってしまうというか……そもそも、好きでやっているだけだし、あまり分けて考えてはいませんね。音楽も絵も詩も続けているうちに一緒になっちゃった気がします(笑)。
――ソロアルバムを作りたいと思っていたということですが、以前から構想があったんですか?
SATOKO:すでに出来ていた曲があったので、それをいつか形にして出したいなと思っていたんです。それに、これまでにいろいろな人と一緒に演奏してきて、この人は天才だなって思う人がたくさんいるんですよね。そういう人たちと一緒にやったら面白いだろうなって、漠然と考えていて。例えば、UVERworldのTAKUYA∞君は、歌声も素敵なんですけど、話している声も良いんですよ。それで、今回は朗読で参加してもらったんです。ほかにも、こういうビートの曲だったら、DAITAさんはきっとこういう感じのギタープレイをしてくれるはずって思っていたし、KenKenやROLLYさん、浦嶋りんこさんはティム・バートンの映画に出てくるキャラクターのような人たちなので、彼らと一緒にハロウィンの曲をやったら楽しいだろうなとか(笑)。
――では、そういうソロアルバムの構想が発展していって音楽絵本という形になっていったわけですね。
SATOKO:そうなんです。勝手に集約されていった感じなんですよ……最初は6曲くらいの作品にしようと思っていたんですけど、気がついたら12曲になっていたし(笑)。(大黒)摩季ねえさんとか、“聞いたわよ! あなた、レコーディングしているんでしょ? 私、○日だったらできるから”って連絡をくれて(笑)。それで急遽、摩季ねえさんの曲を作ったりしていたら、曲がどんどん増えていって。だったら12ヵ月それぞれをテーマにした曲を、1曲ずつ作ろうと思って、12曲になりました(笑)。
取材:竹内伸一
SATOKO:FUZZY CONTROLが活動休止になった時に、DREAMS COME TRUEのマサさん(中村正人)が“SATOKOは絵本を描いたり、個展をやったりしているんだから、音楽絵本みたいなモノを作ったらいいよ”って、CDが封入された絵本をプレゼントしてくれたんですよ。それで、なるほど、こういうのもアリかなって(笑)。そもそもソロアルバムを作りたいと思ってて。同時に、本もまた出したいなって思ってはいたんで、一緒にやるのもいいなと。
――音楽と絵というのは、自分の中でリンクするものなんですか?
SATOKO:そうですね。自分の中に“ぐわぁ~”っとあるものが外に出てくるという意味では一緒です。絵を描くのも、メロディを作るのも、詩を書くのも、すべて一緒な気がします。自分が生きているとそうなってしまうというか……そもそも、好きでやっているだけだし、あまり分けて考えてはいませんね。音楽も絵も詩も続けているうちに一緒になっちゃった気がします(笑)。
――ソロアルバムを作りたいと思っていたということですが、以前から構想があったんですか?
SATOKO:すでに出来ていた曲があったので、それをいつか形にして出したいなと思っていたんです。それに、これまでにいろいろな人と一緒に演奏してきて、この人は天才だなって思う人がたくさんいるんですよね。そういう人たちと一緒にやったら面白いだろうなって、漠然と考えていて。例えば、UVERworldのTAKUYA∞君は、歌声も素敵なんですけど、話している声も良いんですよ。それで、今回は朗読で参加してもらったんです。ほかにも、こういうビートの曲だったら、DAITAさんはきっとこういう感じのギタープレイをしてくれるはずって思っていたし、KenKenやROLLYさん、浦嶋りんこさんはティム・バートンの映画に出てくるキャラクターのような人たちなので、彼らと一緒にハロウィンの曲をやったら楽しいだろうなとか(笑)。
――では、そういうソロアルバムの構想が発展していって音楽絵本という形になっていったわけですね。
SATOKO:そうなんです。勝手に集約されていった感じなんですよ……最初は6曲くらいの作品にしようと思っていたんですけど、気がついたら12曲になっていたし(笑)。(大黒)摩季ねえさんとか、“聞いたわよ! あなた、レコーディングしているんでしょ? 私、○日だったらできるから”って連絡をくれて(笑)。それで急遽、摩季ねえさんの曲を作ったりしていたら、曲がどんどん増えていって。だったら12ヵ月それぞれをテーマにした曲を、1曲ずつ作ろうと思って、12曲になりました(笑)。
取材:竹内伸一
2003年にFUZZY CONTROLのドラマーとしてデビューし、DREAMS COME TRUE、稲葉浩志、吉川晃司、DAITA、スガシカオ、山本彩、大黒摩季など、数多くのアーティストのサポートも務めるSATOKO。その一方で、絵画や執筆でも才能を発揮しており、2013年には書籍『たった、少しの覚悟で冒険するドラゴン』を光文社より出版。多彩な才能をふりまく彼女が、『11月を守る本』を発表した。12曲が収録されたCDと、絵と物語が楽しめる絵本が一体化したこの作品は、彼女のこれまでの創作活動の集大成とも言えるものだろう。11月には、この作品をひっさげたライブも予定しているSATOKOに、作品に込めた想いを聞いた。
■音楽も絵も詩も、すべて一緒な感覚で生まれてきます
――『11月を守る本』は絵本とCDが一緒になっている作品ですが、こういう作品を作ろうと思ったきっかけは?
SATOKO:FUZZY CONTROLが活動休止になった時に、DREAMS COME TRUEのマサさん(中村正人)が“SATOKOは絵本を描いたり、個展をやったりしているんだから、音楽絵本みたいなモノを作ったらいいよ”って、CDが封入された絵本をプレゼントしてくれたんですよ。それで、なるほど、こういうのもアリかなって(笑)。そもそもソロアルバムを作りたいと思ってて。同時に、本もまた出したいなって思ってはいたんで、一緒にやるのもいいなと。
――音楽と絵というのは、自分の中でリンクするものなんですか?
SATOKO:そうですね。自分の中に“ぐわぁ~”っとあるものが外に出てくるという意味では一緒です。絵を描くのも、メロディを作るのも、詩を書くのも、すべて一緒な気がします。自分が生きているとそうなってしまうというか……そもそも、好きでやっているだけだし、あまり分けて考えてはいませんね。音楽も絵も詩も続けているうちに一緒になっちゃった気がします(笑)。
――ソロアルバムを作りたいと思っていたということですが、以前から構想があったんですか?
SATOKO:すでに出来ていた曲があったので、それをいつか形にして出したいなと思っていたんです。それに、これまでにいろいろな人と一緒に演奏してきて、この人は天才だなって思う人がたくさんいるんですよね。そういう人たちと一緒にやったら面白いだろうなって、漠然と考えていて。例えば、UVERworldのTAKUYA∞君は、歌声も素敵なんですけど、話している声も良いんですよ。それで、今回は朗読で参加してもらったんです。ほかにも、こういうビートの曲だったら、DAITAさんはきっとこういう感じのギタープレイをしてくれるはずって思っていたし、KenKenやROLLYさん、浦嶋りんこさんはティム・バートンの映画に出てくるキャラクターのような人たちなので、彼らと一緒にハロウィンの曲をやったら楽しいだろうなとか(笑)。
――では、そういうソロアルバムの構想が発展していって音楽絵本という形になっていったわけですね。
SATOKO:そうなんです。勝手に集約されていった感じなんですよ……最初は6曲くらいの作品にしようと思っていたんですけど、気がついたら12曲になっていたし(笑)。(大黒)摩季ねえさんとか、“聞いたわよ! あなた、レコーディングしているんでしょ? 私、○日だったらできるから”って連絡をくれて(笑)。それで急遽、摩季ねえさんの曲を作ったりしていたら、曲がどんどん増えていって。だったら12ヵ月それぞれをテーマにした曲を、1曲ずつ作ろうと思って、12曲になりました(笑)。
――そもそも、“11月を守る”というコンセプトはどのように生まれたものなのでしょうか?
SATOKO:5~6年前くらいから、なんだか“ただの秋”がないなと思っていたんです。ちょうど10月31日のハロウィンが盛り上がってきて、ハロウィンになるとカップルが過激な衣装を着てイチャイチャしているじゃないですか。それで12月にはクリスマスがあって、以前はツリーの点灯式とか12月に入ってから行われていたのに、最近は11月中にやっていたりして、あれれ、11月を侵害しているのでは?って思ったんですよ。11月ってそれまでは“ただの秋”だったのに。10月はだんだん寒くなっていって“秋が来たな”なんて、ちょっとキュンとするじゃないですか。でも11月はそういうこともなくて“ただの秋”。それが失われるのはなんだか嫌だな、ピンチだ!と思って、“11月を守る会”というものを結成しましたってブログに書いたんですよ。活動内容は“11月には何もしない”ってことなんですけど(笑)。それでお客さんも“私も守ります!”なんて言ってくれて。ただ、それだけのことだったんです。でも、次の年もみんなに“そろそろ11月ですよ、今年も守りましょうね”なんて言われて、ああそうだった、じゃあ秋の味覚を楽しみながらライブをやっちゃおうとか、会員証を作っちゃおうって感じで、ちょっとずつ盛り上がってきていたんですよ。考えてみたら、私、サポートの仕事は忙しくやらせてもらっているんですけど、ソロでやってきたことって“11月を守る会”くらいで。だったら、今回作る本は『11月を守る本』にしようと思ったんです。
――そこでコンセプトが決まって、12ヵ月それぞれの曲を作ったり、ストーリーを作ったりしていったんですか?
SATOKO:ストーリーはすでにありました。私、お話を書くのが好きで、夜な夜な書いているんです。「うんこの話」は、2013年に『たった、少しの覚悟で冒険するドラゴン』という本を出した時に、最初のプレゼンで光文社に提出したものです。逆に「泡と雲」は最近書いた物語ですね。
――では、12ヵ月というコンセプトに基づいて話を作っていったわけではないんですね。
SATOKO:心のままに書いたらこうなったという感じです(笑)。でも面白いもので、自然と辻褄が合っていくものなんですよね。曲で言えば、摩季ねえさんに歌ってもらった曲は、チョコレートがテーマの曲ができて、これ2月だな、完璧!みたいな(笑)。そんな感じで12ヵ月が“そろっちゃった”というか(笑)。麻雀で言うと、この手で上がろうとしていたら、違う手が出来ちゃったみたいな感じかな。私、麻雀やったことがないんで、よくわからないですけど(笑)。
■アナログで原始的、それが今の私のテーマ
――ところで、11月には愛着があるんでしょうか?
SATOKO:えっと、最初はそれほどでもなかったんですけど、それがいつしか、これほどまでに守ることになってしまいました(笑)。いろいろな文化が入ってくることで、日本の風流なものが失われていくような気がするんですよ。明らかに間違っていることやよくないこと、戦争がなくなるとかだったらよいと思うんですけど、“ただそうだっただけのこと”までもがなくなってしまっているような気がするんです。例えば、音楽は、今はMP3の音源をスマホで聴くのが主流になっていますよね。私はカセットテープに好きな音楽を録音して聴いていた世代で、好きな音楽を聴くために必死になって録音したりしていたんですけど、今はYouTubeで検索すれば造作もなく見つけられて聴くことができる。それは便利でよいですけど、でも、聴きたい音楽を必死になって探して聴くってことがなくなるのはどうかなって。便利になることで消えていくものもあって、その中には“風流なもの”もあると思うんですよね。
――確かに便利ならばよいというわけでもないですよね。
SATOKO:そうですよね。この『11月を守る本』にしても、そんな便利で楽ちんなものではなくて、アナログなものが作りたいなと思ったんです。CDはプレイヤーに入れないと聴けないし、本はちょっとかさばったりもするし、ページを自らめくらないと読めない。CDも本も売れなくなったと言われる時代に、完全に時代錯誤かもしれないですけど、でも、ページをめくるドキドキ感を感じてもらえたらいいなと思っています。人間、いつ死んでしまうかわからないわけで、これが遺作になるかもしれない。私が死ぬ瞬間に“これが作れたから後悔はない”って思えるかなと考えたら、やっぱりこういうモノを作りたいなと。なんて言いつつ、次の作品はめちゃくちゃデジタルなものかも知れないですけど(笑)。
――10月に東京、11月に京都で開催される個展は、どんな内容になるのでしょうか?
SATOKO:5回目の個展になるんですけど、絵本の原画を展示販売します。絵は1点モノなので……リトグラフなら、複数枚作れますけど、それでも数は限られていますよね。だから、この絵が欲しかったのに、先に買われてしまったっていうことがあるんですよ。でも、絵は持っていないと見ることができない。CDや本はたくさん作ることができるので、多くの人が持つことができますけど、絵はそうじゃない。私も、売れてしまったらもう見ることができません。そういう意味で、すごく縁を感じるものだと思うんですよね。アナログなものが作りたいって言いましたけど、絵は究極にアナログな世界かもしれないですね。原始的だと思います。アナログで原始的、それが今の私のテーマなのかも。
――ちなみにいつ頃から絵を描いているんですか?
SATOKO:子供の頃から。意外と美術の成績は良かったので、向いているんだと思います。母と美術展に行って“アンタの絵も行けるんちゃう?”なんて言われて、“そうかなあ”なんて、その気になったり(笑)。それで、何年か前に、吉田美和さんのバースデイパーティーがあって、プレゼントに困ってしまって。美和さんはもう何でも持っていると思うんですよ。好きな服も持っているだろうし、私が選ぶのもおこがましいし。じゃあなぜプレゼントをするんだろうと考えたら“愛している、いつもありがとう”という気持ちを伝えるためだなと思って。気持ちが伝われば、あとはポイっと捨ててしまってもいいものがよいなと。それで小さい紙に絵を描いてプレゼントしたんです。そうしたら、美和さん、涙ぐんで喜んでくれて。ベッドルームに飾ってくれているみたいで、捨ててもらっても構わないって思っていたくらいなので、すごく嬉しくて。そのうち、今年も絵がいいなってリクエストされるようになりました(笑)。それで美和さんに、私はあなたの絵が素敵だと思うから、個展とかやったらいいと思うよって言われて、それがきっかけなんですよ。
――そして11月3日には、初のワンマンライブ<11月を守るライブ>も予定されています。どんな内容になりそうですか?
SATOKO:まだどんな内容になるかは未定で、『11月を守る本』が世に出て、みなさんの反響を見てから内容は詰めていきたいなと。まあ、その時の心のままにやりたいなと思っています。CDに収録されている曲は全曲やるつもりです。というか、私、これしかないので(笑)。この12曲をやらないで何をやるんだってことですよね。
――ドラム・ソロはやらないんですか?
SATOKO: ドラム・ソロって好きじゃないんですよ。
――本当に!? でも得意ですよね?
SATOKO:得意なのかなあ。本当に気持ちが乗ったらやりますけど、あらかじめここでソロをやろうっていう風に決めてやったことはないです。考えてみると、私はいつも何も決めていないですね。朝起きて漠然と今日を迎えているというか。でも、後悔はしたくないので、これでいいんだと思えるように過ごしているつもりです。えっと、そういう感じなので、何も決めてはいないんですけど、全力で、命がけでやることだけは確かなので、それだけは約束します!
取材:竹内伸一
■音楽も絵も詩も、すべて一緒な感覚で生まれてきます
――『11月を守る本』は絵本とCDが一緒になっている作品ですが、こういう作品を作ろうと思ったきっかけは?
SATOKO:FUZZY CONTROLが活動休止になった時に、DREAMS COME TRUEのマサさん(中村正人)が“SATOKOは絵本を描いたり、個展をやったりしているんだから、音楽絵本みたいなモノを作ったらいいよ”って、CDが封入された絵本をプレゼントしてくれたんですよ。それで、なるほど、こういうのもアリかなって(笑)。そもそもソロアルバムを作りたいと思ってて。同時に、本もまた出したいなって思ってはいたんで、一緒にやるのもいいなと。
――音楽と絵というのは、自分の中でリンクするものなんですか?
SATOKO:そうですね。自分の中に“ぐわぁ~”っとあるものが外に出てくるという意味では一緒です。絵を描くのも、メロディを作るのも、詩を書くのも、すべて一緒な気がします。自分が生きているとそうなってしまうというか……そもそも、好きでやっているだけだし、あまり分けて考えてはいませんね。音楽も絵も詩も続けているうちに一緒になっちゃった気がします(笑)。
――ソロアルバムを作りたいと思っていたということですが、以前から構想があったんですか?
SATOKO:すでに出来ていた曲があったので、それをいつか形にして出したいなと思っていたんです。それに、これまでにいろいろな人と一緒に演奏してきて、この人は天才だなって思う人がたくさんいるんですよね。そういう人たちと一緒にやったら面白いだろうなって、漠然と考えていて。例えば、UVERworldのTAKUYA∞君は、歌声も素敵なんですけど、話している声も良いんですよ。それで、今回は朗読で参加してもらったんです。ほかにも、こういうビートの曲だったら、DAITAさんはきっとこういう感じのギタープレイをしてくれるはずって思っていたし、KenKenやROLLYさん、浦嶋りんこさんはティム・バートンの映画に出てくるキャラクターのような人たちなので、彼らと一緒にハロウィンの曲をやったら楽しいだろうなとか(笑)。
――では、そういうソロアルバムの構想が発展していって音楽絵本という形になっていったわけですね。
SATOKO:そうなんです。勝手に集約されていった感じなんですよ……最初は6曲くらいの作品にしようと思っていたんですけど、気がついたら12曲になっていたし(笑)。(大黒)摩季ねえさんとか、“聞いたわよ! あなた、レコーディングしているんでしょ? 私、○日だったらできるから”って連絡をくれて(笑)。それで急遽、摩季ねえさんの曲を作ったりしていたら、曲がどんどん増えていって。だったら12ヵ月それぞれをテーマにした曲を、1曲ずつ作ろうと思って、12曲になりました(笑)。
――そもそも、“11月を守る”というコンセプトはどのように生まれたものなのでしょうか?
SATOKO:5~6年前くらいから、なんだか“ただの秋”がないなと思っていたんです。ちょうど10月31日のハロウィンが盛り上がってきて、ハロウィンになるとカップルが過激な衣装を着てイチャイチャしているじゃないですか。それで12月にはクリスマスがあって、以前はツリーの点灯式とか12月に入ってから行われていたのに、最近は11月中にやっていたりして、あれれ、11月を侵害しているのでは?って思ったんですよ。11月ってそれまでは“ただの秋”だったのに。10月はだんだん寒くなっていって“秋が来たな”なんて、ちょっとキュンとするじゃないですか。でも11月はそういうこともなくて“ただの秋”。それが失われるのはなんだか嫌だな、ピンチだ!と思って、“11月を守る会”というものを結成しましたってブログに書いたんですよ。活動内容は“11月には何もしない”ってことなんですけど(笑)。それでお客さんも“私も守ります!”なんて言ってくれて。ただ、それだけのことだったんです。でも、次の年もみんなに“そろそろ11月ですよ、今年も守りましょうね”なんて言われて、ああそうだった、じゃあ秋の味覚を楽しみながらライブをやっちゃおうとか、会員証を作っちゃおうって感じで、ちょっとずつ盛り上がってきていたんですよ。考えてみたら、私、サポートの仕事は忙しくやらせてもらっているんですけど、ソロでやってきたことって“11月を守る会”くらいで。だったら、今回作る本は『11月を守る本』にしようと思ったんです。
――そこでコンセプトが決まって、12ヵ月それぞれの曲を作ったり、ストーリーを作ったりしていったんですか?
SATOKO:ストーリーはすでにありました。私、お話を書くのが好きで、夜な夜な書いているんです。「うんこの話」は、2013年に『たった、少しの覚悟で冒険するドラゴン』という本を出した時に、最初のプレゼンで光文社に提出したものです。逆に「泡と雲」は最近書いた物語ですね。
――では、12ヵ月というコンセプトに基づいて話を作っていったわけではないんですね。
SATOKO:心のままに書いたらこうなったという感じです(笑)。でも面白いもので、自然と辻褄が合っていくものなんですよね。曲で言えば、摩季ねえさんに歌ってもらった曲は、チョコレートがテーマの曲ができて、これ2月だな、完璧!みたいな(笑)。そんな感じで12ヵ月が“そろっちゃった”というか(笑)。麻雀で言うと、この手で上がろうとしていたら、違う手が出来ちゃったみたいな感じかな。私、麻雀やったことがないんで、よくわからないですけど(笑)。
■アナログで原始的、それが今の私のテーマ
――ところで、11月には愛着があるんでしょうか?
SATOKO:えっと、最初はそれほどでもなかったんですけど、それがいつしか、これほどまでに守ることになってしまいました(笑)。いろいろな文化が入ってくることで、日本の風流なものが失われていくような気がするんですよ。明らかに間違っていることやよくないこと、戦争がなくなるとかだったらよいと思うんですけど、“ただそうだっただけのこと”までもがなくなってしまっているような気がするんです。例えば、音楽は、今はMP3の音源をスマホで聴くのが主流になっていますよね。私はカセットテープに好きな音楽を録音して聴いていた世代で、好きな音楽を聴くために必死になって録音したりしていたんですけど、今はYouTubeで検索すれば造作もなく見つけられて聴くことができる。それは便利でよいですけど、でも、聴きたい音楽を必死になって探して聴くってことがなくなるのはどうかなって。便利になることで消えていくものもあって、その中には“風流なもの”もあると思うんですよね。
――確かに便利ならばよいというわけでもないですよね。
SATOKO:そうですよね。この『11月を守る本』にしても、そんな便利で楽ちんなものではなくて、アナログなものが作りたいなと思ったんです。CDはプレイヤーに入れないと聴けないし、本はちょっとかさばったりもするし、ページを自らめくらないと読めない。CDも本も売れなくなったと言われる時代に、完全に時代錯誤かもしれないですけど、でも、ページをめくるドキドキ感を感じてもらえたらいいなと思っています。人間、いつ死んでしまうかわからないわけで、これが遺作になるかもしれない。私が死ぬ瞬間に“これが作れたから後悔はない”って思えるかなと考えたら、やっぱりこういうモノを作りたいなと。なんて言いつつ、次の作品はめちゃくちゃデジタルなものかも知れないですけど(笑)。
――10月に東京、11月に京都で開催される個展は、どんな内容になるのでしょうか?
SATOKO:5回目の個展になるんですけど、絵本の原画を展示販売します。絵は1点モノなので……リトグラフなら、複数枚作れますけど、それでも数は限られていますよね。だから、この絵が欲しかったのに、先に買われてしまったっていうことがあるんですよ。でも、絵は持っていないと見ることができない。CDや本はたくさん作ることができるので、多くの人が持つことができますけど、絵はそうじゃない。私も、売れてしまったらもう見ることができません。そういう意味で、すごく縁を感じるものだと思うんですよね。アナログなものが作りたいって言いましたけど、絵は究極にアナログな世界かもしれないですね。原始的だと思います。アナログで原始的、それが今の私のテーマなのかも。
――ちなみにいつ頃から絵を描いているんですか?
SATOKO:子供の頃から。意外と美術の成績は良かったので、向いているんだと思います。母と美術展に行って“アンタの絵も行けるんちゃう?”なんて言われて、“そうかなあ”なんて、その気になったり(笑)。それで、何年か前に、吉田美和さんのバースデイパーティーがあって、プレゼントに困ってしまって。美和さんはもう何でも持っていると思うんですよ。好きな服も持っているだろうし、私が選ぶのもおこがましいし。じゃあなぜプレゼントをするんだろうと考えたら“愛している、いつもありがとう”という気持ちを伝えるためだなと思って。気持ちが伝われば、あとはポイっと捨ててしまってもいいものがよいなと。それで小さい紙に絵を描いてプレゼントしたんです。そうしたら、美和さん、涙ぐんで喜んでくれて。ベッドルームに飾ってくれているみたいで、捨ててもらっても構わないって思っていたくらいなので、すごく嬉しくて。そのうち、今年も絵がいいなってリクエストされるようになりました(笑)。それで美和さんに、私はあなたの絵が素敵だと思うから、個展とかやったらいいと思うよって言われて、それがきっかけなんですよ。
――そして11月3日には、初のワンマンライブ<11月を守るライブ>も予定されています。どんな内容になりそうですか?
SATOKO:まだどんな内容になるかは未定で、『11月を守る本』が世に出て、みなさんの反響を見てから内容は詰めていきたいなと。まあ、その時の心のままにやりたいなと思っています。CDに収録されている曲は全曲やるつもりです。というか、私、これしかないので(笑)。この12曲をやらないで何をやるんだってことですよね。
――ドラム・ソロはやらないんですか?
SATOKO: ドラム・ソロって好きじゃないんですよ。
――本当に!? でも得意ですよね?
SATOKO:得意なのかなあ。本当に気持ちが乗ったらやりますけど、あらかじめここでソロをやろうっていう風に決めてやったことはないです。考えてみると、私はいつも何も決めていないですね。朝起きて漠然と今日を迎えているというか。でも、後悔はしたくないので、これでいいんだと思えるように過ごしているつもりです。えっと、そういう感じなので、何も決めてはいないんですけど、全力で、命がけでやることだけは確かなので、それだけは約束します!
取材:竹内伸一
【ソロライブ情報】
11月03日(土) 東京・品川プリンスホテル クラブeX
<チケット>
指定席¥4,500(税込)
1F後方 ペアシート¥9,000(税込)
■お問い合わせ:DISK GARAGE(平日12:00〜19:00)050-5533-0888
■チケット情報:https://goo.gl/bF65ez
<チケット>
指定席¥4,500(税込)
1F後方 ペアシート¥9,000(税込)
■お問い合わせ:DISK GARAGE(平日12:00〜19:00)050-5533-0888
■チケット情報:https://goo.gl/bF65ez