撮影:中村卓

撮影:中村卓

【V系】大雨の中の熱演に“新生BugL
ug”の真髄を見た! 日比谷野音ワンマ
ンライブ濃密レポート

ヴォーカル一聖のステージ復帰から、ツアーを経てアルバム『KAI・TAI・SHIN・SHO』をリリースするに至ったBugLug。今回はアルバムの名を冠したワンマンライブとして設定された、日比谷野外大音楽堂ワンマンのレポートをお送りする。

最新フルアルバム『KAI・TAI・SHIN・SHO』をリリース、ツアー『ANIMANIA』で全国をまわり、先日9月1日には日比谷野外大音楽堂にてキャリア3度目のワンマン公演を行ったBugLug。
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アルバム『KAI・TAI・SHIN・SHO』の出来も素晴らしかった。そして、過去2度行ってきた今までの野音のワンマンも、いずれも素晴らしい出来だった。
だからこそ、今回3度目のBugLugの野音ワンマンについて、筆者は実は少し心配する部分もあった。つまり、3度目の野音ワンマンに対して、周囲から期待されすぎる部分が大きく、気負いすぎてしまうのではないかと。
しかし、当日のライブを観て、BugLugに関してはそのような心配は無用であることを、心底実感した。
荒天の中でも笑顔の幕開け9月1日は、前日から降水確率60%との予報で、雨天の野外ライブになるだろうことが予想されていた。開演時にはギリギリ曇天といえる天気だったが、18:00開演時間になると、たくさんの雨雲が日比谷の上に集まってくる……。
オープニングムービーでは、メンバーが真剣にワンマンについての意気込みを語っている……かと思いきや、語っていたのは「幕の内弁当」についてだった、というギミックをかましつつ、1曲目『(●Θ●)』へ。
この時点で、待ち構えていたように大粒の雨がポツポツ降り出してくる。そして『Die s Kill』の演奏が始まった瞬間にザーザー降りに! まるでライブスタートを待ったかのようなタイミングに、ちょっと笑えてくる。
ステージも客席も瞬間にびしょ濡れになったのに「雨やべえな! でも、それを跳ね飛ばすくらいの気力を見せてこい!!」という一聖の激励を聞いて、客席が奮い立つ。
“ヴィジュアル系”という形容詞も形無しなくらいの冗談みたいなびしょ濡れなのに、メンバー全員もう笑っちゃっているのがBugLugらしい。『KAIBUTSU』では雨の中頭を振り回すファンに向かって一聖が「雨粒を飛ばしながら頭振ってんの、いいね!」と笑顔。
『-7-』では全員水浸しの中、手拍子・シンガロングを全力でこなすファンたち。雨の中で音も光も拡散されてしまっているはずなのだが、不思議とよく響いてくる。宵闇の中で、カラフルなライトが効果的に踊る。
なぜかMCに入ると雨が止むなど、天候を逆味方に付けたような状況でありつつも、「雨もオレらの力になる!」と一聖が宣言。客席全員が『アリゲイターjr』で披露した濡れ髪での全力ヘドバンも、雨の日比谷を印象的に彩っていた。
また降り出した大粒の雨の中、エモーショナルに響かせた『Heroin』、曲後に風が吹いたり、スモークと相俟って空気感をいつも以上に感じた『神隠し』、完全な暗闇になった中久しぶりの『Live to Love』……。
聴かせるパートも、雨の中でも注意力を逸らすことなくしっかり聴かせにかかったBugLugに、天候や太陽の光さえも彼らに味方しているように錯覚される。もちろん、計算し尽くされた演出やライティングのおかげだとは知りつつも。
多彩なアプローチで、憂鬱も吹っ飛ばす!
多彩なアプローチで、憂鬱も吹っ飛ばす!続いて、モニターにてメンバーがアテレコした(ド●えもん風)アニメが始まり、なぜ??と思いきや……なるほど『SxNxO』か!! 念のため解説すると、『SxNxO』は今アルバムに収録された曲で、「金持ちをカサに着たイヤミな男」に対するヘイトソングなのだ。つまりはス●夫のこと……この導入に、なるほどなぁ、と変に感心したりした(笑)。
『JAPANNEEDS』で盛大に「わっしょい!!」を合唱し、びしょ濡れタオルをぶん回す。『猿』ではカッパを着たまま、みんなモンキーダンスをする。こういう何というか、一種お祭りロック的な変なノリは、BugLugの得意とするところだと筆者は思う。そして、ファンもそれを楽しみにきている部分も多分にあると思っている。
かと思えばレーザーライトバリバリでメカニックな世界観を作り込む『SINGULARITY』、おどろおどろしい雰囲気を全開にした『ASHURA』、うねるベースラインで全員をトランスさせる『言刃』……実にさまざまなアプローチで客席を掴んでくる。
客席もずぶ濡れの中充分に疾走していると思うが、一聖の「もっとパワー出せるんじゃないの!?」の声に一層奮い立つ。そして始まった『SHISHIMAI』では、あまりにもカッコいいファン一同のローリングヘドバン姿に、心の中で喝采を贈った。
彼らの言う“完全世界”を体現したような『絶交悦楽論』、雨の中のコーラスが何かを奮い立たせるようなエモい『V.S』、そしてラストの『解体心書』へ。
日比谷野外大音楽堂の白いステージ全体を使った、プロジェクションマッピングのような映像をバックに、心の限りにメッセージを歌い上げる一聖。
「生きていたら、きっと笑顔になれる日もある。俺にとってそれは、今日だと思ってる」
この語りから、一聖がこの日のライブを心底楽しんでいたことがしっかりと伝わってきた。BugLugのロゴをバックに、本編ラストソングが終わる。
音が空気中に拡散していく野外会場の難しさ、3度目の野音という期待、雨天という悪コンディション……それらの逆境を見事にはねのけ、想像もしなかった形でワンマンを成功に導く。“逆境に強い”と言われるBugLugの負けん気は、こういうところでものすごく良い形で発揮されるのだ。
野外ならでは、ビジュアル崩壊!?
ビジュアル崩壊!? それも野外ライブの醍醐味!雨も小降りになり、ほぼ止んできた中で、カッパを直したりタオルで身体を拭いたりしつつ、アンコールの声を上げていた会場のファンはさすがだ。そしてメンバーがステージに再登場すると、大きな拍手を贈る。
アンコール1曲目『[Boy]Adolescence[Girl]』は抜けるようなクリーントーンの歌声が気持ちいい。雨で少し冷えた身体も、左右にモッシュで暖める。
そしてアンコール2曲目はBugLugのライブでは本当に久しぶりであろう『Hu.Mor.Box』を演奏。デビュー時の1stシングル『ASOBIZ』に収録されているカップリングソングだが、ライブで聴けたのは本当に何年ぶりか?くらいレアな選曲だと言えるだろう。
MCではメンバーが一人ずつライブの感想を述べる。
一樹(Gt)は、「このライブは映像になる予定なんだけど、俺のこのクルクルヘアー、映像に残せない(笑)!!」と雨で崩れたヘアメイクを自嘲しつつも、「雨天だけど、メッセージと音は一生懸命届けているつもりです。楽しんで行ってね!」とさすがの一樹クオリティのMCを披露。
将海(Dr)は「今まで生きてきて、今日ほどドラムで良かったと思ったことはない。メンバーびしょ濡れ、俺、ほぼ無傷ww」と自慢! 確かにドラムセットはステージ上の屋根の奧にあるため、将海だけほぼ濡れていない状態……。なるほど、雨天ライブ時はドラムが有利なのか(笑)。
「人生で3度も野音でワンマンを出来るとは思ってませんでした」と喜びの声を上げたのは燕(Ba)。「雨の中みんなのこと見て、やっぱBugLugファンってカッコいいなって思ったよ! 4度目の野音もできるようにがんばる」と決意表明した。
優(Gt)はというと、異様にテンション高く独白を開始。
「俺は今日、よからぬことを考えた……雨の野音で公式レインコートを売ったら儲かるんじゃないかって……(客席爆笑)。だから罰が当たって、今までひた隠しにしてきたデコが出てしまった!!」
これには爆笑した。アンコールではタオルで隠してしまっていたので、あのデコはこの日会場に来ていた人のみのスペシャルシークレットとして、思い出に刻まれただろう(笑)。
一聖(Vo)は「いつも以上の暴れっぷりを見せてくれたファンのみんな、ありがとう!」と真っ先にファンへの感謝を述べた。
「こんなに最高なことはねぇぞ!」
「こんなに最高なことはねぇぞ!」「まだまだ叶えたいことがたくさんある。夢を見るっていうのは、すごい大事なことだと思う。みんなも夢を持って生きて欲しい」という一聖の語りかけから、雨がすっかり上がった空に広がるように『Dream Rush』が響き渡る。
続いて久々に聴く気がする『KILLER×KILLER×KILLER』。
<ぶっ壊したその先に見えたのが 真っ暗闇だったっていいぢゃん 案外限界なんてないでしょ?>
BugLugはこの歌詞を地で行っているようなバンドだな、とこの曲を聴くたびに思う。
そしてラストソングは『ASOVISM』。客席全員が手を繋いで「みんなで手を繋いでジャンプ」する光景に、一聖も「よく出来ました!」と笑顔が輝く。一聖が「今日一番デカい声!!!」と求めると、ファンの全力のアンサーが野外にもかかわらず大きく耳に響いた。
「こんなに最高なことはねぇぞ!」と最高級のファンへの賛辞をステージに置いて、メンバーたちはステージを後にした。この日のライブを観ていて、客席もメンバーも「雨の野音」を全力で楽しんでいるのがよく見て取れた。
服が濡れたって、カッパを着て動きにくくたって、メイクが落ちたって、髪がはりついたって、ライブができて音楽があるだけでゴキゲン。逆境であればあるほど燃える。
そんなBugLugの熱がファンに伝播し、ファンも全力のアンサーを返すからこそ、雨のライブもこんなに楽しくなる。
過去2度の野音ワンマンに負けるとも劣らず、プレッシャーにも雨にも負けず……BugLug史上伝説のライブを創り上げたと言っても過言ではない1日だった。
これからのBugLugは、対バンシリーズ“バグサミ”主催に、ニューシングル発売と、精力的な活動が続く。
こうして経験を積んで、逆境をはねのけて、もっともっとカッコいい“最強のライブバンド”としてその名を唱えられるバンドになってくれることを、ぜひ期待したい。
■INFO■
2018年10月30日 ニューシングル『Wally?』発売
「バグサミ Extra Edition」開催
vol.1●11月5日(月) TSUTAYA O-EAST <出演>BugLug / Psycho le Cému / 己龍
vol.2●11月27日(火) マイナビBLITZ <出演>BugLug / LM.C / MERRY
vol.3●12月10日(月) 渋谷WWW X <出演>BugLug / R指定
vol.4●12月28日(金) 渋谷ストリームホール <出演>BugLug / DEZERT / DIAURA
全公演●<開演/開幕>17:00 / 17:30 <チケット>前売¥5,000/当日¥6,000(税込み・ドリンク代別)
詳細情報はオフィシャルHPを参照

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