エスパスルイ・ヴィトン「消失の痕跡
」展は諸行無常。グミのステンドグラ
スと平和の檻

今回はアンヌ&パトリック・ポワリエ(Anne and Patrick Poirier)、カスパー・コーヴィッツ(Kasper Kovits)、畠山直哉、袁廣鳴(ユェン・グァンミン)ら4組によるグループ展。

会場には二つの巨大な作品がインパクトを持ってたたずむ。中央にそびえる高さ7mの円錐の檻はポワリエによるインスタレーション「The Soul of the World(世界の魂)」だ。内部には平和を象徴する白い鳩8羽が飛び交い、床には憎しみ、魂、香り、欲望、未来、瞑想、儚さなどの言葉が記され円錐を囲む。「儚さはずっと使ってきたイメージ。白い鳩は魂・平和の象徴だ。しかし共に儚いもの。床の言葉はこの鳩のように常に頭の中を飛び交っている」とポワリエ夫妻。

コーヴィッツの直径7mのステンドグラス「The Sheer Size of It(その大きさたるや)」はこの円錐を照らすように、据えられている。開口付近に設置され、差し込む外光により、色とりどりの光を会場に降り注ぐ。作品を構成しているのはお菓子のグミだ。約12万個380kgものグミが細密画のように彼が考える楽園のイメージを描き出した。時の経過と共に温度で溶け、変形し、色が混ざり合って、天国は朽ちていく。「あの世の芸術を考えた。制作するうちに圧倒感も考えるようになり、この大きさとなった」とコーヴィッツは話す。

畠山の写真作品「ヴァントゥ山」はフロアを囲むように展示。外光が差し込む中での写真作品の展示は珍しいこと。袁のビデオインスタレーション「Disappearing Landscape- Reason to be a leaf(消滅する風景-葉である理由)」は会場エントランス、1階のルイ・ヴィトンショップ内に据えられる。

キュレーターを務めた、ミュリエル・ラディック(Murielle Hladik)とエヴァ・クラウス(Eva Kraus)は、「時の流れをどうやって物質化すればよいのか?ということを考えた。すべては時間と共に変化する。世界は儚く、変化し、腐敗し、朽ちる。これらを詩的に表現するアーティストを選んだ。作品同士、また来場者とも対話が生まれるだろう」と話した。


【イベント情報】
Traces of Disappearance(消失の痕跡)」
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
会期:1月18日から4月13日
時間:12:00から20:00
入場無料

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